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神隠し
気がつくと、辺りは静まり返っていました。
作者の作り上げた世界には、私の作者の姿だけありませんでした。
その事で、少々、荒っぽい意見交換を伯爵と交わし、折角の背広の腕が破れてしまいましたが、意識を統一して、軽く触るだけで元の形状に戻るのだけは、アストラル界の利点と言えるでしょうか。
身なりを整えて、落ち着くと、心配そうに水の精霊グアニンが私を見つめている。
「伯爵から、お茶にお誘いするように申しつかりました。」
心配そうに私を見上げるグアニンに笑いかける。
作者が見えないこの世界で、グアニンの主人は伯爵と、言うことなのでしょう。
少し不満はありますが、彼女たちを怯えさせるわけにも行きません。
そして、作者を探すには、あの忌々しい伯爵の力も必要です。
「わかりました。案内をお願いします。」
私の言葉にグアニンは頷き、そして、深い霧のカーテンを作り出し、瞬間で伯爵の部屋へと私を誘った。




