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ラノベ作家と予言の書  作者: ふりまじん
アストラル トリップ
55/56

四つの世界6

うす紫に霞む空に新月が白く浮いています。

そして、果てなく続くヒースの道。


それは、カバラの生命の樹の9を司る場所…イエシェドに続く道…


伯爵の導くその道を…作者は選ぶのでしょうか?


作者は、白く輝く月を見つめ、大きく深呼吸した。

「全く…、やるしかないのよね?」

作者は、困った顔で私を見て、呟くように「ごめん」と言って伯爵の元へ歩いて行く。


「私は、貴方の精神世界を使ってメガバースを作るわ。かつて、電子計算機ソフトを作成したプログラマーがインドの哲学に影響されたように…」

作者が叫ぶとヒースの紫の道の端に池が生まれ、赤紫の蓮のはながポンポンと咲き乱れた。

「私はメガバースの生命の樹を作るので、次元の概念が入るわ。(ゆえ)に、中央の柱には奥行きが生まれる。」

作者の発言で、真ん中の柱が奥行きを持つ。

すると、中央のセフィラ、ケテル、ティファレト、イェソド、マルクトが叡知の霧に包まれた。


「面白い。」

伯爵はグアニンの肩を抱いて叫び、作者の不機嫌を買う。

「ふっ…この世界の、次元とは、他者とのリンクを意味するわ。


一次元は、小説、音、思想…一人の人間の想像の世界。」

作者が叫ぶと、伯爵がそれに答える。

「アズリールの概念か…ふふっ。様々な人間の呟きや願望が生まれては消える…それが貴女の形成界(アツィルト)。エン・ソフ…と言うわけか。」


「し、しらないわ…ええと、とにかく、小説や文章は、姿形を他者と共有(リンク)しないわ。小説やプロットが、イラストや漫画になる。これが私の二次元。

メガバースの階層を表すの。

ネット社会において、どこまで共有(りんく)するかで、やれることは変わって行くわ。その代わり、具現化すれば、好き嫌いが生まれるから、世界の幅は小さくなる…ねぇ、理解できる?」

作者が不安げに私を見る。

私は笑顔を向けた。


正直…完全には理解できませんが…言いたいことはわかる気がします。

「とにかく、小説が一次元(アツィルト)なのですね?

で、ファンが増えて、コミカライズしたら、二次元侵出…と、言ったところでしょうか?」

私の言葉に、作者は、微妙な笑顔を返した。


「う、うん…まあ、そんなとこよ。で、私はとりあえず、画像共有なしで、物語を終わりまで…最終テーマ『ケテル』に向かって突っ走るのよっ(>_<。)

あああっ…ハズイ…」


くそっ…と、作者は赤面しながら呟いて、息を吐きながら、紫のフードに身を包む。


それから、シトシンに新たな呪歌(マントラ)を唱えるように命じる。


シトシンの高く響くアルトが、心地よいリズムに乗り辺りに広がると、伯爵がグアニンに演奏を命じる。

グアニンは、作者の作り出した霧の水滴を使い、きらやかな音を添える。


世界がゆっくりと開いて行くのを感じました。

と、作者の横に伯爵が、エジプトの神官コスでつきました。


メイザースの写真より、少女漫画よりのスタイルは…伯爵が作者に媚びているからなのでしょうか。


「邪気を払うからね、暫く、大人しくして貰うよ。」

伯爵は、タロットカードの世界の『時の夜の偉大なる者』に命令をする。

すると、伯爵のつれていた萌え系ケルビムが荘厳な姿に変身し、四方を守護します。


伯爵は人の姿のケルビムに向かい直立する。

それから、右手の方指と人差し指を突き刺して手刀を作るとその手を額に当てる。


「カバラ十字」で辺りを聖別するつもりでしょうか…


辺りの空気が怪しく伯爵に呼応(こおう)し、一瞬、私が不安を感じた瞬間、辺りが闇に包まれた。


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