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ラノベ作家と予言の書  作者: ふりまじん
アストラル トリップ
54/56

四つの世界5

「私、やっぱり流出界で、始めるわ!」

作者は、強い意思で伯爵を見た。

その声に従うようにシトシンが作者の横につく。


「どうしましたか?」

呆れたように伯爵は作者を見た。

が、作者は怯まずに不敵な笑いで返す。

「人生、最初で最後の少女小説になるかもしれないのよっ。読者(ひと)は喜ばせることは出来なくても…自分が感動できる…納得できる話を作りたいのよっ。」

作者は、強く夢を語り、その力はシトシンを強くさせますが…


『魔法の呪文』と言う未完少女向け作品を既に発表しているので、私の心は複雑です。

「作りはじめは…力を抜いた方がうまく行くと思うよ。」

伯爵はやれやれとクルミ材のビクトリア調の丸テーブルを出して椅子に座り、グアニンにお茶をオーダーする。

「いいえっ!命短し、灯籠流しよっ。いつ、お迎えがくるか分かんないんだから、毎日が一本勝負よっ。」

作者の強い言葉に…剛さんへの気持ちが(にじ)んでいます。

「ふっ…一本勝負か、面白い。で、流出界で何をするつもりかな?まあ、ハイ・ティーでも飲みながら教えてくれないかな?」

伯爵の言葉は、魔法がかかっていました。


ビクトリア期のお茶会は女主人が司る社交場であり、ハイ・ティーは、晩餐会前の少し、豪華なお茶の会でした。

水を司るグアニンの衣装は、伯爵の言葉と共にレースで飾られた豪華なティー・ウェアに代わり、それにあわせて、伯爵が作者の衣装を可愛らしいピンクのティー・ウェアに変えました。

グアニンが飛ばす招待状は、作者すら凌駕する強い拘束力を発揮し、作者は誘われるまま席につきました。


と、言うか…ただ、好きなんですが。

ホームズ

ドレス

乙女小説(レディース・マガジン)

作者(あのひと)は、ビクトリア時代が大好物なのです。


あの、美しい銀のティースタンドに、あがらえるわけもないのです。




「私ってさ、凄く頑張って構成しても、脱線してエタるじゃない?

だから、完結するために基礎から固めたいのよ。」

作者は、嬉しそうにグアニンから紅茶をついでもらう。

ハイ・ティーを(そそ)ぐ栄誉は、女主人の特権です。


基礎(イエシェド)か。」

伯爵が私に意味深げな流し目を向ける。


イエシェド…それは、生命の樹の9を司る場所…


そこへ向かえと、言うのでしょうか?

私は作者を見た。作者は面倒くさそうに伯爵を睨む。

「はぁ?しらないわよ。私はね(///∇///)、花嫁さんのプレゼントを思い出したのよ。」

「ブルーのガーターベルトか?」

伯爵の怪訝(けげん)そうな顔に作者は憮然(ぶぜん)と返す。

「なによ、エッチねっ、違うわよ。花嫁さんはね、

新しい物、

古い物、

友達に貰ったものを手にすると幸せになれるのよ。」

夢見るように作者が言うと、グアニンのライフがワンランクupしました。


「サムシング・フォー か。ひとつ足りないようだね。」

「え?」

「マザーグースの詩だろ?」

と、伯爵がグアニンを見ると、グアニンは立ち上がり、可愛い声で歌う。


♪サムシング・フォー


サムシング・おーるど

サムシング・NEW!

サムシング・ブルー

サムシング・借物(ボロウ)

&6ペンス イン 彼女(はー)シューズ(^-^)




「身に付けるもので4つかぁ(゜-゜)だから、ブルーのガターベルトが出るのね。」

作者の恥ずかしそうにうつむくのを伯爵は楽しそうに見つめる。

「で、それがどうしたのかな?」

伯爵の質問にぶっきらぼうに作者は答えた。

「花嫁さんみたいに、物語にも必要だと思ったのよ。少女時代の古い夢。そして、ちいちゃな読者に贈る未来の夢。」

作者の言葉に伯爵がからかうように聞く。

「友達からの貰い物は?」

「悪かったわね、借り物…でしょ?あなたの生命の樹の概念よ。」

作者の言葉に伯爵が嬉しそうに笑う。

「嬉しいね。友達か…では、友人の私が『ブルー』をあげよう。」

「ガターベルトとかいらないわよっ!!」

反射的に叫んだ作者の手には、タロットカード。

それは、美しい青空に浮かぶ両性有具の天使。


世界のカードです。


作者が驚いていると、カードの天使が飛び出してきました。


「我は『時の夜の偉大なる者』」

天使は、この世のものとは思えない、すずやかな声でそう言うと、空を指差した。

すると、美しい満月が現れ、満開のヒースの咲く…紫の道が現れた。


『時の夜の偉大なる者』は黄金の夜明け団で多分、メイザースが名付けた大アルカナの『世界』の秘密の称号です。翻訳者は誰なのかわかりませんでした。とりあえず、『』で囲み、引用としました。


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