四つの世界
「これで、なんとか設定できたわ(>_<)」
作者は叫び声をあげた。
「これが貴女のセフィロトなのか。」
伯爵は、物珍しそうに世界を眺める。
「うん。ゲームをベースにしたから、次元も分かりやすいわよ。
例えば、火のプリンセスが司る一次元は、ゲームのシナリオの世界よね?
文章で描かれるシトシンを火のプリンセスとして読者は想像が出来るけど、この時点では、皆、シトシンの公式の姿は分からないわ。
そこで、2次元の世界の漫画やイラストが出てくるわけよ。」
作者は嬉しそうに笑う。
「では、円盤のゲームの世界が3次元…グアニンの世界と言うわけか。」
伯爵は、作者の世界を理解し始めたようです。
「うん。円盤のゲームは立体の世界で、基本は個人プレー。他の人と時間を共有していないから、やり直しが聞くけど、他の人と繋がれるオンラインゲームは、運営の時間に縛られるわけ。」
作者は少し得意気に笑って続けた。
「だから、私の場合、更新が遅くて、読者と季節を共有できないから、3次元…アデニンの世界までしか表現できないのよ。
ライブで楽しめる…4次元のチミンの世界にたどり着くのは…当分無理。
でも、この表現だと、一つの物語を各次元で分けられるでしょ?
で、この4次元に残りの7つの次元をアイテムみたいに装備して楽しむのよ。」
作者は説明を終えて安心したようにため息をつく。
「7つの次元をアイテム…ねぇ。なんだか、面白い考えだよ。」
伯爵は苦笑した。
「なんでもいいのよっ、とりあえず、これで、私にも4つの世界を行き来出来るわ。で、剛とメフィスト探しにいかなきゃ…(>_<)」
作者は深くため息をつき、そして、生命の樹の図を取り出した。
「もう、アイツ、どこにいるんだろう?これ、双六みたく、一個づつ進まないといけないのよね〜ワープは出来ないのよねっ。」
作者はヤキモキしながら生命の樹の図を睨み付ける。
「まあ、まずはセフィラを探すのが先だよ。」
伯爵が作者の横でアドバイスをする。
双六に例えると、生命の樹は、駒が止まるゲーム盤の丸である。
10個の球体は、それぞれ異なる性質がある。
基本は世界を表すマルクトから、王冠を表すケテルへと向かう事を目的とする。
が、今回は、球体の何処かに隠れたメフィストを探すのが目的です。
「そうよね?アイツ、どこに隠れたんだろう?」
作者はしかめっ面をする。
「捕まるのを目的としているなら、ヒントがあるはずだよ。」
「ヒント?ヒントって何よっ。」
作者はほほを膨らませて不機嫌そうに伯爵を睨む。
「何だろうね?貴女に分かるように隠されているはずなのだが。
まあ、分からなくとも、マルクトから上に進むには道は3つ…三択だ。」
「三択…栄光、基礎、勝利のどれかかぁ…これ、すっ飛ばせないの?」
作者が甘えるように伯爵をみる。
「私は出来るが、生身の体がある貴女は無理だ。」
伯爵はキッパリと答えた。
「無理…かぁ。」
作者は悔しそうに図をみる。
「アストラル・トリップを甘くみてはいけないよ。
ここは、ラノベの異世界では無いのだからね。マジでとり殺そうとする怪物が徘徊する世界。そのまま、肉体に帰ることが出来なくなったら困るだろう?」
伯爵の淡々とした話ぶりに作者はリアルな恐怖を感じたように押し黙った。
「そうね…小説で稼ぐなんて無理だもん。
普通の仕事をするには、寝坊とかするわけにいかないし。」
作者は現実的な事を言って納得した。
その様子に伯爵は安心したように笑う。
「まずは、美を目指して道を選んでみたらどうかな?」
伯爵の提案に、作者は生命の樹の美をみる。
ティファレトは、調度、真ん中辺りにあり、他の球体への道が多いのです。
「わかったわ。とりあえず、はじめの三択では、どれを選んでもティファレトに行けるし、まあ、適当でいいわよね?」
作者は面倒くさそうにぼやくと私をみた。
「時影!」
「はいっ?!」
「くじ運良かったよね?選んでいいわ。」