次元2
シトシンは片膝を地につけて作者に挨拶をする。
その自信ありげの美しい所作に少女時代の作者の嗜好が透けて見えました。
「シトシンはワンドのプリンセス…トート…じゃなく、貴方の世界では流出界の属性…動機を表すと解釈すると、次元に例えるなら一次元。」
作者が伯爵を見ながら、確認するように説明をする。
「まあ、そのようなもの…かな。それを電子ゲームに例えるなら、スイッチ…もしくは電気か…。」
伯爵が楽しそうに受け答えます。
「うん。でも、ここは電光掲示板位まであげるわ。先長いし。電工掲示板が世界にデビューしたのは1926年ニューヨークらしいわ。」
作者はそう言ってシトシンに笑いかけた。
シトシンは少し、生意気な感じの魅力的な笑い顔で作者に膝まづく。
それから、作者が頷いたのを合図に立ち上がり、大きく床を蹴りあげて飛んだ。
「そう、1926年、人類が電工掲示板の存在を認識し、その美しさに心を奪われたその時から、電子ゲームと…私の生命の木が始まるのよっ。」
作者の声に合わせ、シトシンが花火のように光で花を描きました。
「マスゲームですか。」
私が作者に聞く。
「うん。まあ、そんなところ。一次元って、点であり、つけたり消したりしか出来ないでしょ?
でも、これがなきゃ、現在のゲーム世界は存在できないわ。
そして、蟻は動くし木にも上るけれど、電球は動かないし、マスゲームのヒトコマは、自分が何を描いているのか、全体を見渡すことは不可能よ。
これが、私の一次元でシトシンの世界なの。」
作者は嬉しそうにオレンジ色に輝くUFOの光の絵画を見つめていた。