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ラノベ作家と予言の書  作者: ふりまじん
アストラル トリップ
43/56

さすなろ

「ブラボーっ!!」

いきなり伯爵が作者を抱き上げてたかいたかいをしながら回転します。


高い高い…私だって、気を使ってしてないのに!


いくらラノベの人気キャラでも…やりすぎです。


不機嫌になる気持ちをクールダウンしました。


そう、適当な攻撃では、作者のプリンセスを使って防御されてしまいます。


本気でそれを潰してしまっても…作者の信頼を失うだけです。


攻撃は、スマート&クールに、しかも一撃でキメなくくては!


モヤモヤと考える私の耳に伯爵のろくでもない野望が入ってきます。


「ではっ、是非、一緒に新世紀のフルデッキを考えよう!!」

伯爵は嬉しそうに作者を持ち上げて目線を合わせながら叫ぶ。

「フルデッキって…トートの?」

作者は渋い顔で伯爵に聞く。

伯爵は、嬉しそうに頷きながら作者を椅子に座らせ、宙から取り出した銀のポットからコーヒーをカップに注いで渡す。


「そうだ!いや、ちがうか…彼奴(きゃつ)の付けた名前など、使いたくはないからな。

すべてを新しく、そして、全てを上質にしたフルデッキ、それを作り上げるのだ!」

「えっ(°∇°;)な、なにそれ?」

「ふふっ、私が世から消えてから100年。その記念すべき年に、貴女はイマジネーションの世界にやってきた!!」

「いや、Web小説を書き出しただけだよ…」

作者は混乱しながら、ハエを追うように、頭上で演説する伯爵を目で追う。

伯爵は、一度、止まり、作者の言葉に、満足そうに頷きながら彼女の左肩に軽く手をのせる。

「そう、記念すべき年に、我々は出会い、貴女が私について書き始めた頃、彼奴の著作権が切れたのだ!

これは、必然と言う名の運命だとは思わないかっ!!」

伯爵が激しく捲し立てるので、作者は嫌な顔をしながら、持っていたコーヒーカップに手で蓋をする。

「ツバ飛ばしながら演説しないでよ。もう、その偶然、一万人近くの人間と共有してると思うし…」

作者は不機嫌そうにコーヒーを口にする。

伯爵は作者のとなりの椅子に座って、少しトーンダウンしながら、甘えるように話を続ける。

「一万人?そんなに私を呼び行ける人間がいるはずもない。貴女は…とても貴重な…珍しい存在なのですよ?」

伯爵の甘ったれた台詞を作者は赤面しながら嫌な顔で聞いていた。

「あんまり、話を盛らないでくれる(///-///)

底辺を這いつくばる不人気作家が、有名人に誉められる…すごい人間とか言われるっ話を投稿するのって、死ぬほど情けないからさぁ。」

作者は渋い顔でコーヒーを口にし、そこで、思い付いたように顔を上げて

「さすなろだっ!!」

と、叫んだ。


「さ、さすなろだっ!!私、さすなろされてるっ( 〃▽〃)

おおっ…すごいっ!これがっ、さすなろなんだわっ。」

作者は嬉しそうにコーヒーを飲み干して立ち上がった。

それから、私を見て、嬉しそうに叫ぶ。


「時影っ!!わたし、私!さすなろゲットしたよぅ!!」



(-_-;)…


私は恥ずかしくなる。


さすなろ…さすが、なろう主人公の略である。

勿論、いい意味では使われない言葉だ。


なろう系と呼ばれるファンタジーでは、一部、読者が不快に思うほど主人公が厚遇されるシーンが登場する。


これを揶揄した言葉が『さすなろ』だ。


が、なんと言われようと、それらがトップに君臨し、それを追いかけたいと思えば、まず、出来なくてはいけない。


作者はそれについて考えていた。

彼女の言葉を借りれば、『さすなろ』とは、芝居の掛け合いのようなもので、

「よっ、金さん日本一!!」

のラノベ版らしい。


時代劇の掛け合いのタイミングはわかるが、なろう系ファンタジーの『さすが…』は、どうしたらいいのか…理解が出来ず混乱していました。


でも…ここで、そんな事を叫ばれても…私も何と答えてよいのか…迷ってしまうのです。


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