4つのエレメント5
「ふふっ…そんなにカードバトルがしたいの?
男の子は幾つになってもバトル、好きよね?
はははっ…じゃ、私も、参戦しようかな…」
作者は、うつむきながらキレぎみに呟き、顔を上げて、カッと目を見開くと、地獄からの呻き声のようにエコー増し増しで叫んだ。
「アッシャーの姫、チミン召喚!時影、伯爵に攻撃!」
言葉と共に大地が光り、地響きをたてながら、光の中からダイヤのプリンセス チミンが登場しました。
白人の長身の女性…と、言うか、昭和の少女漫画のような華やかで中性的な女性で、黒いスーツに金の羊の角の冠と、華やかな黄金の羊毛マントを粋にかけています。
彼女は少し宙を浮き、杖を手にしていました。その杖は樫の杖にブドウの蔓が1本巻き付いているものです。
アクレピオスの杖のつもりでしょうか…(--;)
私は、ギリシアの神話と医術を作者と調べたことを思い出していた。
ギリシア神話の医術の神アクレピオスは、大地的治癒力を表すと言われています。
が、チミンは不敵で、決して我々を癒してくれる存在には見えません。
彼女は杖を持たない右手で優雅に前髪をはらいながら特殊能力を発動してきました…
『シュバルツシルト』
ドイツ語を直訳すれば『黒盾』ですが、能力に重力を加算されたチミンの盾を訳すなら
『事象の地平面』
そう、ブラックホールのきわに存在するといわれる…ラノベ的に表現するなら、全ての物理法則が崩壊する場所です。
これを発動された我々は、時を止めたように動けなくなりました。
もう…こうなると、何でもアリな気がしてきました。
異世界名物チートと言うやつです。やれば出来るじゃありませんか。
その上、ちゃっかりライオン娘達は影響ないのですから…本当に、物理法則なんてブラックホールに飲まれてしまっているのです。
チミンの攻撃は、動けない我々を無視し、ワンドのプリンセス…シトシンに向けられました。
『重力崩壊』
これにより、一時的にシトシンの太陽は膨張し、赤く大きく膨れて、彼女の杖から離れました。
その巨大な太陽は、足を組んで宙に座るチミンが指を鳴らした途端、驚くほど呆気なく縮小を始め、こぶりのスイカ程度の大きさになると縮小を止め、青白く輝き始めた。
それは、とても穏やかで…仄かに温かい熱を発しながらゆっくりと、チミンの杖の飾りとして杖の頭を飾った。
白色矮星…
恒星がその生涯を終えたときに残る星の残骸…
高圧の炭素で作られるそれは、ダイヤモンドであるとも言われている…
それは、なにか、晩秋の切なさのような、物悲しさを思わせる光を放ちながらチミンを飾っていた。
「すばらしい!ディスクとは、ダイヤの意味がありますが…丸く輝くダイヤとは、貴女の創造力には本当に、驚かされます。」
なぜか、どうしたのか、シュバルツシルトを脱出した伯爵が作者を抱き締め、作者が驚いた瞬間、私にかかっていた術が解けました。
作者は、嫌な顔をしながらボヤいていました。
「やめてくれよ…。術、効いてないじゃん…。」