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ラノベ作家と予言の書  作者: ふりまじん
アストラル トリップ
33/56

クラウン

「チョコレートって、イギリス発祥なんだ。」

作者はチョコレートとその始まりの話にすっかり手懐けられてしまいました。

「ふふっ。1947年ジョセフ・フライが作ったのが始まりだと言われてます。」

伯爵は優雅に指をならして秘書っぽい女性にお茶を頼んだ。

「1947年かぁ〜メイザースが生まれた頃にチョコレートが出来たのね。」

作者は嬉しそうに箱に入ったチョコをつまんだ。

「数年ずれてはいますが…まあ、そうですね。彼もまた…初めのチョコレートのようにほろ苦く、荒削りな一面がありましたね。」

伯爵は昔を懐かしむように目を細める。


そんな伯爵を見つめて作者は悲しい顔をした。


「でも…もう、そんな豆知識はいらないわ。

少し前に『パラサイト』って作品を完結させたけど、ポイント貰えなかったもの。

変な豆知識や社会事情に影響されて、いいエンディングにはならなかったから。

この話は…もう、そう言う変な豆知識とかを気にしないで、俗に言う『なろうテンプレ』って言う筋書きで進めるんだから。」

寂しそうな作者の声に…この世界の終焉を感じて切なくなりました。


この5年、私は貴女に思い出してもらい、そうして、様々な物語を二人で作り続けてきました。


小さな貴女との空想世界にはない、奥深い…夢の世界を作り続けるのは、本当に幸福な時間でした。


私の胸に彼女と過ごした時間が流れて行きます。


もしも…これから作る物語が、最後の長編になるのだとしたら、

貴女にも…素敵なエンデングを用意して差し上げたいのです。


私の気持ちなど知らず、作者は伯爵を見つめていました。

仕方ありません。2年越しの連載のエンデングが失敗したのです。

物語を作る方だって、傷つくのです。


伯爵は作者を見て、楽しそうに笑いだしました。


「ミニ知識…ふふっ。貴女にはそれくらいの認識なのですね。この…世界が。」

伯爵は感極まって立ち上がり話を続けた。

「小麦色の肌のカップのプリンセスですよ?」

伯爵はマナーを責めるようないいぶりで作者をみる。

「だって、ワンドのプリンセスは太平洋を示してるわ。ハリスの絵をみてもそれはわからないわ。緑色の肌なんですもの。」

「そんな顔しないで、別に、批判はしてませんよ。

頭にマテ茶入りの白鳥のカップをのせたプリンセス。

おや?これは、神呪(マントラ)ですか?」

伯爵はカップの横についている文字をみる。


私も、それが見たくてプリンセスにマテ茶をもらう。

白い白鳥のカップの横には確かに文字が書かれていました。


MTーDNA


確かに、これはマントラではありません。


ミトコンドリアDNA


太鼓の昔、人の細胞に寄生し、取り込まれたミトコンドリアのDNAの事である。


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