世界
ワンドのプリンセスは、杖を木刀にしたために、10の剣士と木刀を従える。
なんだか、昭和の学園ものの様な怪しい雰囲気に私も混乱する。
「これ…なろう系異世界転生の設定なのですよね?」
私は綿菓子のように甘い、少し露出高めのケモ耳ヒロインを思う。
「そうよ…でも、その前に、この世界を安定させなきゃ(>_<。)
生命の樹って、4層あって上下が回転したり、大変なんだよ…しらんけど。
まずは、4精霊と生命の樹を設定しないと。」
作者は叫びますが、量子からDNAまで、このまま設定が進めば、逆に陳腐になりそうです。
「でも、これは空想の世界ですから、そこまで必死にならなくても。塩基とか…やりすぎで、逆に読者が逃げますよ。」
私の言葉に、作者は上目遣いで私を見た。
まだ、納得できてないようですね。
私は、作者が文句を言い出す前に言い負かしてしまおうと口を開きました。
「ふっ…それは危険だよ時影くん。アストラストリップを甘く見てはいけないよ。」
メフィストですか?( ̄- ̄;)
声と共に煙が沸き上がり、4人のヒロインを従えたちょいワル風味の西洋人が現れる。
「あ、あんたはっΣ( ̄□ ̄)!」
作者は驚いたように叫びます。
私は、突然の侵入者に緊張しました。
確かに、空想とはいえ、人の思念と繋がる空間、一応の結界は仕掛けたはずです。
男は、4人のラノベ風の美少女を従えていました。
秘書風のタイトスーツの黒髪少女。
巨乳を強調するホルスタイン柄のキャミソールの巻き毛の少女。
ライオンのたてがみの様なふわふわのファーを首に巻いた…ライオン耳の獣人の幼女
鷲の羽毛で作られたコートに体の線があらわになる全身スーツの鳥人。
5年…なろうで活動をして来ましたが、作者との世界に…これほど、『なろう主』な雰囲気を醸す人物を見たことはありません。
「ごっ、ご主人様に『あんた』とか失礼ガオッ。」
可愛らしい声でライオン娘が作者に抗議します。
(///∇///)…
作者はその愛らしさにほほを染め、嬉しそうに私を見ました。
「とかげっ…聞いた?ライオン娘が『ガオッ』ていったよぅ〜」
作者は12才の姿で嬉しそうにぴょんぴょん跳ねました。
「ああっ…かーいーねっ(///ー///)」
作者は恥ずかしそうに目を細めます。
「そうですね。」
可愛いのは貴女の方です。
私も、つい、現状を忘れて和んでしまいます。
いけません。
ここにきて、なろう系異世界ハーレムも悪くはないものだと思いました。
が、コレはそんな可愛らしいものではありません。
一見、可愛らしく見えますが、人、牛、鷲、ライオンが象徴するのはケルビムです。
これは、大アルカナ XXI 『世界』の象徴。
我々は、気づかないうちにマルクトから外れてしまったのかもしれません。
生命の樹のパスワーキングには、道しるべとしてタロットカードが使われます。
10の球体を小アルカナが
それを繋ぐ道を大アルカナが表しています。
『世界』のカードは、大アルカナですから、その象徴が見えると言うのは、球体を離れた…と、解釈が出来るのです。