外枠
「それは残念でしたね。心配しなくても、メイド様はご主人様に恥をかかせたり致しませんよ。」
メフィストがいつの間にか作者のとなりに座っていた。
「メイド…様(-_-;)」
「貴女のような方には『奥さま』と、声かけをしてくださいます。」
「奥さま(°∇°;)」
「それに、ご主人様たちは、皆様、『紳士』でいらっしゃいますから、誰も貴女の容姿などを嘲笑など…しないのですよ。
時は金なり!
皆様、全神経を集中させて、メイド様をご覧になるのですから。」
「全……集中……(;゜゜)」
作者は不気味なモノを見るようにメフィストを見る。
メフィストは、そんな作者の様子を楽しむように微笑を漏らす。
「そうです。だから、貴女もメイド様に身を委ねたら良かったのですよ。」
メフィストの説明が熱を帯びるが、作者は少し考えて私に話しかけてきた。
「やっぱり…この感覚で間違いない気がするわ。
全てのものには境界線があるわ。
自分と他人、
ドアの中と外。
そして、自分の知らない世界、テリトリー以外の場所には、畏れを感じるのよ。
異界の入り口…なんて言うと、私の時代は押し入れの中とか、神社の縁の下…暗くて不気味な場所立ったけれど…
ここの異界は…なんか、テンションが高くて無駄に明るくて、フレンドリーなんだわ…」
作者は妖怪の話でもするように顔を歪めた。
「異界…ですか。」
私は、小さな作者と押し入れの探検をした事を思い出した。
懐中電気で暗い押し入れを灯すと、仄かな灯りの中に、別世界の何かと出会えるような気持ちになるのです。
補修のために張られた昔の新聞紙をめくりながら、知らない昔の世界に想いを巡らしたり、それは楽しい日々でした。
「明るくて、フレンドリーでも、見せ方で畏れが作れるのは分かったわ。
もえもえきゅんは、どうにもならないけど、外枠から埋めて行くわよ。」
作者はそう言って立ち上がる。
「酷いですね…私は、放置されるのはきらいなんですよ?」
メフィストも文句を言いながら立ち上がった。
が、作者はもう、メフィストの事は意識に無いようで、ただ、切ない顔で剛さんのアバターの元へと向かう。