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ラノベ作家と予言の書  作者: ふりまじん
メタバース
16/56

異世界転生…

「異世界転生ですって( ̄□||||!!」


作者は聖なる言葉に苦しむ悪魔のように顔を歪める。


まあ、仕方ありません。

我々のサイトでは、異世界ファンタジーについては厳密な約束ごとがあるのです。



何故、こんなことになったかと言うと、

一時、サイトのファンタジーが、この『異世界転生』に染まってしまい、他のファンタジーの検索が難しくなったから、と、言われています。


その上、人気ジャンルですから、不正もあとがたちませんし、そうと知らずに色々する人もいました。


ポイントを貰うためにはとにかく、見てもらう必要があります。

そこで、少ないポイントでランキングに乗ることが出来る純文学やその他のジャンルで異世界転生を書いたりする人がいたのです。

色々ありました。


そして、ルールが新しく追加されて行きます。


そんな事もあり、異世界転生は、何となく、我々には近寄りがたいジャンルなのです。


「その構成(テンプレ)ですよね?」

私は、先程の作者の話を思い出す。


突然死の不幸な男。

彼を幸せにしようとする女神。

別の世界に生まれ変わるなら、異世界転生です。


「えっ…(°∇°;)嫌よぅ。異世界転生なんて!

私の書く物語は…あのカテゴリーに相応(ふさわ)しいの?


なんかさぁ…違う気がするんだよね(T-T)


ほら、昭和のアニメの『おに太郎』ってあったじゃん?

あれ、令和版と白黒じゃ、全く別物よ?

昭和白黒版は、子供トラウマレベルだもん。


あんな感じで違う気がするんだよね…

何が違うか…私にはイマイチ良くわからないんだけど。もう少し、グレー部分で練習したいところだよ。」

作者は顔面蒼白になりながら呟いた。


まあ、我々のデビュー当時の異世界人気は激しかったですから、おじける気持ちも分かりますが、

基本、あのジャンルはランキングの表示枠も別になっていて、逆に目立つ訳でもありません。

「まあ、異世界ものも、人気とはいえ、昔ほどではありませんし、人気ジャンルは更新が早いですから、基本、我々の作品は埋もれてしまうと思いますから、そんなに気にしなくても平気ですよ。」

私は笑った。


そう、異世界ファンタジーは人気がある分、投稿数も多く、這い上がるのは至難の技なのです。

だからこそ、上位に上がる人たちは必死に工夫をし、そして、それが過ぎれば、不正の警告を受ける人達も登場するわけです。



「でも…出すからには上を目指したいわ…

なんかね、異世界転生のジャンルは離れている分、300位まで特別に表示されるんだよ…300位は20ポイントあれば載る可能性があるんだよ…頑張りたいわ。」

作者は嬉しそうに笑う。

その笑顔に私はホッとした。

また、書く元気を取り戻したようなので。



と、ほっとした私に白い煙幕が広がり、メフィストが飛鳥時代の官職の衣装を身に付けて登場する。


「安心してください。私、何時でも憑いてます!!」

バーンと(しゃく)を天に向け、元気に登場するメフィストに作者が驚く。


「あ…ありがとう。」

取って付けたような礼の言葉にメフィストは機嫌良く笑顔で答える。

「いいんですよ。お悩みですね。異世界転生…現在人気のなろう系ファンタジーを書きたいけど、なにか違う、その正体をしりたい。

わかりますっ。

わかりますよ。数多(あまた)の有名作家も模倣したくても出来ない、なろう系ファンタジー。

web小説作家なら、一度は挑戦し、称賛されたい。

わかりますともっ。


それでは、このイチイの私が、分かりやすく解説して差し上げましょう。」


メフィストの芝居がかった台詞を聞きながら、イチイの木になど変身させたことを後悔しました。


イチイの木は、西洋では墓地に生やす木です。

花言葉は「残念」


しかし、日本では、その材質に笏などに使われ、

イチイ…1位と言う名前を貰った木でもあります。

日本の花言葉は「高尚」真逆の意味を持つのです。

メフィストは、その装束で笏を優雅に振りながら作者を19世紀のメイドの衣装に変えました。


「分かりやすく『メイド喫茶』に例えてみましょう。」

メフィストはそういいながら、作者の右手にコーヒー入りの盆を持たせた。


それから、思い出したように私にかご一杯のイチイの実を渡した。

「お礼です。種まで美味しくいただいてくださいね。」

メフィストはそう言ってニヤリと笑う。


私は、その篭を手に渋いかおになる。


イチイの実は、熟したものは食べることは可能です。

しかし、それ以外は毒で…種の誤飲は死亡事故に繋がる猛毒があるのです。


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