表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/20

第六話 嵐の前の静けさ

「じゃあ玄関で待ち合わせましょ」

姉さんはそう言って自分の教室に戻っていった。俺達も各々の教室に戻る。

「…ねえ、唐松くん」

俺と白松さんが自分の教室に向かって歩いていると、白松さんが不安気な口調で問いかけてくる。

「何?」

「…ちょっと待って、聞きたいことがありすぎて頭の中がごっちゃになってるから」

酷く混乱した様子で、こめかみに手を当てて「ウ〜ン…」と唸っている。

「…別に今無理して聞くことはないと思うけど?姉さんは全部話すつもりらしいし」

俺は白松さんに提案するが

「えー?だってなんかスッキリしないと、気持ち悪くない?」

と食い下がる。

「じゃあひとついいかな?」

どうやら纏まったようだ。

「唐松くんは最初から全部知ってたんだよね?」

「知ってたも何も、俺は当事者の内の一人だし」

「………あなた何者なの?」

いきなり核心をついてきた。疑うようなの目線をこちらに向けている。でも彼女は一つ勘違いをしているようだ。

「何言ってんの白松さん。君も同じじゃないか」

「…えっ?どうゆうことよ?」

「俺も君も同胞だってことだよ。姉さんは俺達を『血統で選んだ』って言ってたろ。有り体な言い方をすると、俺達は『選ばれし血族』なんだよ」

俺は至って真面目な口調で説明すると

「ぶふっ!あははははは!」

白松さんは、声をだいにして笑っていた。流石に頭にくる。

「…何がおかしい」

「いやっ、だって、フフッ、そんな、真面目な顔で、クククッ、そんな、中二病全開の、アハハッ、セリフ言うなんて、傑作すぎる、あははははは!!」

白松さんは、腹を抱えて呼吸困難になりそうなくらい大爆笑していた。

ひとしきり笑って落ち着いたのか白松さんは

「で、でも、なんかスッキリした。ユーモアな冗談をありがとう」

と、方で息をしつつ屈託の無い笑顔を見せた。

これは決して冗談では無いのではないのだが、こんなに笑顔を見せつけられると何も言い返せなかった。


 ○○


 教室に着いた俺達が帰る支度をしていると

「いやぁ〜、やっと帰れるぅ〜」

「うぅ〜、頭痛い〜」

伸びをしながら三好と若松さんが教室に入ってきた。

「おぉ、お疲れー」

「そっか、二人は放送委員だっけ。お疲れ様ー」

俺達は労いの言葉をかける。

「お前らもこんな時間まで残ってたんだな。お互い大変だな」

「ねー」

時計の針は既にてっぺんを回っていた。腹の虫が鳴く頃である。

「お前ら昼どうする?どっかで食べてくか?」

三好の質問に

「あたしは家にあるからパス」と若松さん

「俺は急いで直帰せねば」と俺

「私も……」と白松さん

「うげっ、マジかー。…しゃーない、俺も帰るか」

残念そうにする三好であった。


 ○○


 三好達と談笑しつつ下駄箱に向かうと

「…遅い!」

姉さんがキレていた。他の面子は昼食の為にそれぞれの自宅に帰ったという。またしても一番最後であった。

「あんたもう中学生なのよ?いい加減きちんと時間に気を遣いなさい。だいたいあんたは…」

と、いつも通り長ったらしい説教が始まるのかと思いきや

「ま、まあまあ落ち着きなさいって」

と横から姉さんをなだめる者がいた。彼女は三好 亜希。姉さんの親友で三好 健児の姉である。

「別にそこまで急いでるんじゃないんでしょ?そうカッカしないの。寿命縮むわよ」

「ぐっ…」

亜希姉になだめられ、姉さんは押し黙る。姉さんは何かと亜希姉には逆らえない節があるからなぁ。こうして見ると亜希姉が娘を叱る母親に見えてくる。

「…次から気をつけなさいよ」

姉さんは捨て台詞を吐いて、たったか歩いていってしまった。

「ありがとう亜希姉、助かったよ」

俺は、姉さんの折檻を未然に防いだ立役者に礼を言う。

「まあ、あの娘にやり過ぎな所があるのは否めないわね…。あと貸し一つね」

「えー、まあ仕方ないか」

「物分りがよろしいようで」

亜希姉に作った借りは、デニーズでパフェを奢るなり何なりして、亜希姉を満足させなければならない。まあ、姉さんに叱られるよりはマシだ。ちなみに、俺は今四つくらい借りを作っている。俺達は姉さんを追いかけ、駐輪場へ向かった。


 ○○


 帰宅する方向が違う白松さんと三好姉弟とは駐輪場で別れ、俺達は各々の帰路についた。白松さんとは後で『学園前』電停で待ち合わせとなっている。

「「ただいま〜」」

『おかえりなさいませ!遅かったですね。何かありました?』

家に着き、出迎えてくれたのはハイラである。姿は見えないが、出迎えてくれる人が居ることはとても心地いい。

「あれ?そんなに掛かった?」

『いえ、予定からはそこまで遅れていませんが、美月様達が『昼はまだか、姉さんはまだか』と仰ってまして…』

「あら、それは悪い事したわね」

現在時刻は12:45(pm)。育ち盛りの子供には空腹状態がさぞ堪えただろう。姉さんは、これまたいそいそと家に上がりリビングへ駆けていく。もちろん、ちゃんと靴も揃えていく。姉さんはせっかちではあるが、ドジっ子ではない。

「ただいまー、今お昼作っちゃうからね」

「あ、お姉ちゃんおかえりー。早く作ってあげて、このままだと勇雄が餓死しちゃう」

「は、早く……早く飯を……」

開いた扉から勇雄のグロッキーな声と、美月のそこまで心配そうでない声が聞こえてくる。俺もリビングに入る。

「ただいま」

「おかえりーお兄ちゃん」

リビングでは、勇雄がソファーで仰向けに寝そべって「飯を……飯を……」と呻いていて、美月はポテトチップス片手に「ちゃお」を読んでいた。

「あれ、空は?」

「帰ってからずっと部屋に引きこもったままだよ。また勉強でもしてるんじゃない?春休みぐらい遊んだらいいのに」

「美月は逆に遊び過ぎだ。少しは空を見習ったらどうだ。あとついでに言うと、春休みはもう終わったぞ」

「あ〜、あ〜、聞こえない〜」

お約束の聞こえないフリをする美月に嘆息しつつ、俺は自室に戻った。


 ○○


 着替えながらテレビでも見ようかと、俺はホログラフィをTVモードで起動する。ちょうどお昼のニュースの真っ最中である。

『…次のニュースです。

 天皇陛下は本日、国立丸ノ内学園の入学式に名誉校長として参加なさり、お言葉を述べられました』

テレビの映像が切り替わる。

『新入生の諸君、入学おめでとう。

今日此処に諸君等が健康でいられるのは、諸君等の御両親のお陰である事を忘れてはいけません。また、諸君等が此処にいられるのは、諸君等の努力の結果であります。諸君等が此処にいる事は誇らしい事なのです。

 諸君等は今日から数年間、この学園で学業に励み、この国の未来を担う人材に育つ事を期待しています』

『陛下はこのように述べられ、生徒に対するご期待の気持ちを顕にしました』

どうやら陛下はきちんと公務を全うしているようだ。俺達は一時期、皇居に数年間滞在したことがある。もちろん、陛下とも面識はある。今の生活があるのも陛下のお力添えによる部分が大きい。陛下は俺達の命の恩人である。

映像は再びキャスターを映し出す。

『…次です。

 山形県新庄市で家族3人の遺体が発見されました。中継です。水戸さん』

映像が現場の記者を映し出す。

『…はい。私は今、現場の近くに来ております。あそこに見える白いテラスハウスの一室が、遺体が発見された現場です。

 遺体となって発見されたのは、この部屋に住む唐松 半造さん三十歳、娘の早苗ちゃん七歳、そして、妻のみどりさんと思われる二十代の女性です。

 警察によりますと、近隣住民から『テラスハウスから異臭がする』と通報があり、警官が調べたところ遺体が発見されたという事です。死因については、半造さんが溺死、早苗ちゃんが刺された事によるショック死、二十代女性が焼死ですが、現場に濡れた跡や焼けた跡などが無く、また、扉や窓の鍵は閉まっており完全な密室だったという事で、警察は事件と事故の両面で捜査を進めております』

「…畜生、またか」

俺は思わず声に出してしまった。最近はこの手の事件が急増している。そしてこの事件も、例に漏れず未解決事件としてお蔵入りとなるだろう。

「ハイラ」

『はいっ!お呼びですか?』

俺が呼びかけると、画面の端に幾何学模様表示される。

「この事件について情報を纏めておいてくれ。どんな些細な事でも構わない」

『了解しましたっ!』

ハイラは快諾して、画面の幾何学模様を消していった。普通の「H・M・A・I」ではここまでの仕事はできない。うちのハイラは特別製なのだ。

「大輝〜、空〜、ご飯出来たわよ〜」

家中にいい匂いが漂い始めた頃、姉さんは俺達をリビングから呼んだ。ちょうど腹の虫も鳴り、俺はリビングへ向かった。

前回説明フェイズに入ると言ったな。あれは嘘だ。

…はい、すみませんm(_ _)m

次こそはいけると思いますのでしばしお待ちを

いつも通り次回は未定ですのであしからず

(*´∇`)ノシ ではでは~

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ