第四話 生徒会
「じゃあ、今日決める事は終わったから本日はこれまで。生徒会委員と放送委員は今日から活動するらしいんで、生徒会委員は生徒会室、放送委員は放送室にそれぞれ集合との事です。須藤さん、号令お願い」
「きりーつ、きをつけー、れー」
『ありがとうございましたー』
クラス代表になった須藤さんのやる気のない挨拶で、本日は解散となった。
○ ○
放課後、俺と白松さんは生徒会の会合に出席するため、生徒会室を目指して廊下を歩いていた。
「思ったんだけどさ、なんで生徒会委員だけ強制指名っていうシステムがあるんだろ。選ぶ人数変わんないのに、分ける意味あるのかな?」
白松さんが抱いた素朴な疑問に、俺は推測で答える。
「問題児を名指しして更正させるとか?」
「えっ!?私事案になるような問題起こした覚え無いよ!?」
「いや冗談だよ。俺もそんな覚え無いし」
「だよね。今一瞬焦ったよ、私知らないうちに何かしちゃったかなって。そーゆー冗談は真顔で言わないでよ」
「いや、真顔で言わないと面白くないだろ」
「ビックリするからやめてって言ってるの」
「えー」
○ ○
そんな他愛の無い会話をしていると、目的地である生徒会室に到着した。
コンコン、と扉をノックして
「「失礼します」」
と断りを入れて入室すると、冷たい視線が俺達を射抜いた。中には顔見知りもちらほら見受けられる。
「…えっ?」
他クラスから選出された委員達は既に着席していて、空席は二席のみだった。つまり、俺達が一番最後である。
「えっと?」
俺達が動揺して突っ立っていると
「何をしている。早く席につきなさい」
「「あ、ハイ」」
先輩からのお叱りを受けた。俺達がいそいそと席につくのを確認した先輩は、席を立って話し始めた。
「これより第零回生徒会を始める。第一回は明日やる予定なので、ここでは第零回としておくぞ。まずはじめに、新入生に生徒会役員の紹介をする。ここにいるのはあくまでも役員のみだ。本当はもっと大所帯だからあしからず。新入生共は、せめて役員の名前くらいは覚えていてくれ。
私が生徒会長の高2E組 杉崎 健だ。これから一年間よろしくする。
じゃあ、副会長から行こうか。自己紹介する奴は、立ってするように」
と言って会長は座り、机の上に足をかけてふんぞり返った。なんと言うか、会長は長身なので威圧感が半端ない。
そして自己紹介をするために会長の両隣に座っていた男女が起立する。
「じゃあまずは、私からね。
初めまして。中3Dの唐松 光与です。第一副会長を務めさせていただいてます。これから一年間よろしくお願いします。」
と、第一副会長が挨拶を終える。
(って姉さんかよ!)
危うく声に出す所だった。てゆーか聞いてねえぞ。姉さん役員やってたのかよ。
「次は僕だね。
皆さん初めまして。高校2年A組の齋藤 圭一です。第二副会長やってます。よろしくね。」
爽やかなイケメンの先輩が挨拶を終える。イケメンな先輩の登場に女子がザワつく。やはり、いつの時代も顔が良いとモテるようだ。
副会長達が座ると、次の役員が起立した。
「書記・会計の高1G黒松 彩花です。ウフフ♪よろしくお願いしますねー」
なんか不思議な先輩だ。しゃべり方はフワフワした感じだが、目の奥が笑ってない。
「はい!庶務のやまd
「よし!全員紹介できたな」
「ちょっ待って私まだおわっt
「それじゃあ、これから仕事内容を説明する」
「ねえ!無視しn
「注意して欲しいのは「ねえ!」教室選考組と「ちょっと!」強制指名組では「無視すんな!」仕事内容が違うことだ。」
「ちょっと先輩落ち着いてください!新入生達の前ですよ!」
自己紹介をスルーされ怒り心頭である庶務の先輩を、姉さんが小声で諌める。
「だって会長が、かいちょうがぁ、ひぐっ、ふえぇーーん」
「ありゃりゃ、泣いちゃった。ほーらよしよし」
「うぅぅ、けーいちくーん。ふえぇぇ」
会長による仕打ちを受け、怒りを通り越し泣いてしまったようだ。一方会長は
「よし圭一、子守は任せた」
「うん、任された」
どうやらいつもの事らしい。会長親指立ててんぞ。
「で、仕事内容についてだが、教室選考組はざっくり言うと雑用が主な仕事だ。支持はそこの庶務に仰げ」
会長丸投げしやがった。ここまで来ると庶務の先輩がかわいそうだ。まだろくに名前も聞けてないし。
「確か、二人共強制指名の組があったよな。そこはどっちかが兼任してくれ」
……なん…だと…!?
「唐松君、お願いね?」
「うん、知ってた」
ものすごく自然な流れで仕事を投げられた俺なのであった。
「本日はこれまで。強制指名組はまだ説明する事があるので残ってくれ。それ以外は解散!」
会長の合図により、新入生のほとんどが生徒会室を後にした。
「じゃあ、後は任せたぞ唐松。きちんと戸締りしとけよ」
「…気にする所そこなんですね。私は会長とは違って仕事を丸投げしないんで、安心して任せてください」
「ははっ!頼もしい限りだ」
会長は姉さんとそんなやり取りをしてほかの役員と共に帰っていた。
『あっ!逃げんな健!』
『そう言われて止まる奴が居るか!』
『待てコラー!さっきの仕返しをさせろー!』
…どうやら庶務の先輩が会長に仕返しを試みているようだった。
「いいんでしょうか?あれをほっといて」
生徒会室に残った新入生の内の1人が、途方に暮れつつも気にかけるが
「いいのよ別に。いつものことだから」
と、姉さんは呆れ半分で返す。
「それよりも、これから話すことの方が重要だから。彩花先輩、議事録お願いしますね」
「はいは〜い」
どうやら黒松先輩も残るらしい。先程書いていた議事録とは別の議事録を取り出した。
「では、これから会長に強制指名された生徒会委員、強制指名組の仕事内容を説明します。皆さん心して聞くように」
姉さんが宣言すると、先程とは別の緊張感が漂いだした。
この時から、俺達の非日常が始まったのかもしれない。
どーもdragonknightです。
あけおめ!(今更感)
遅れてすみませんm(_ _)m
いつも通り次回は未定です。
ではまた