第三話 非日常の始まり
無事(?)に入学式も終わり教室に戻った俺達は、新学年恒例の自己紹介タイムを始めた。この学校は毎年クラス替えがあるので、皆恥ずかしがる様子もなく、むしろ、自己紹介に趣向を凝らしてさえいる。なので、全員の自己紹介は割愛してクラス名簿を載せておこう。
市立第七学園中学校
1-C
担任:藤原 麗子
副担任:トーマス アインシュタイン
1、 青木 聡子 11、加藤 菜穂子
2、 荒井 章 12、唐松 大輝
3、 飯塚 千代 13、城崎 未来
4、 和泉 聡 14、工藤 誠治
5、 今泉 凛 15、佐藤 凛
6、 上野 武志 16、佐藤 蓮
7、 上原 京子 17、白石 誠士郎
8、 江藤 大志 18、白松 玲子
9、 大石 藍 19、須藤 ひなた
10、大野 大悟 20、田代 翔平
21、千種 祥子 31、三井 優子
22、堤 圭 32、三好 健児
23、遠野 真 33、茂木 優奈
24、沼野 正史 34、山下 永輔
25、野口 晶 35、山本 優香里
26、野田 啓造 36、メアリー ラデッシュ
27、野村 美波 37、李 愛華
28、樋口 和喜 38、林 士文
29、不破 綾子 39、若松 飛鳥
30、真柄 健治 40、渡辺 浩司
「それじゃあ、自己紹介も終わったのでこのまま委員会と係決めをパパッとやっちゃいましょ」
先生も早く済ませたいのか、進行が投げやり気味である。
俺はこうゆう役職決めなんかの時は、あまり積極的に手を挙げるタイプではない。無難な役職に就いて一年を過ごしてきた。今年もそうするつもりである。
「皆は今日から中学生なので、教室内の係の他に学校全体の委員会にも所属できます。ただし、委員を決める際に注意事項があるので気をつけるように」
委員会か。それもいいかも知れない。
先生が黒板に委員会名または係名を書き、その下にそれぞれの募集人数を書いていく。
「はーい、それじゃあ委員会の方から決めていくわよ。まずは生徒会から、と言いたいんだけど……
今年はこのクラスからは、生徒会委員を選出しません」
「先生、何でですかー?」
と、即座に後ろの方から疑問の声が上がる。あの声は確か、渡辺だったか。これを起爆剤に、教室中が疑問や不満で爆発した。てゆーか、割りと生徒会委員になろうとしてた人多いな。この学校に入ってしまえば内申点なんて関係無かろうに。
「はいはーい、静かに!今から説明するから」
と言って、先生は懐から紙を取り出した。
「厳密には既に選出されている、って言った方が正しいのかな?本来なら、生徒会委員は毎年各クラス二人ずつ選出されて、その方法が校則にはこう書いてあるの。
『校則 第3条第1項 生徒会委員は生徒会長による強制指名がクラスに0ないし1名、クラス内での協議によって1名ないし2名選出されるものとする。※例外アリ』
とまあ、とても不穏なことが書いてある訳ですよ。
で、今まではこの例外に当たる事が発生しなかったんだけど、今回生徒会に問い合せた結果このクラスで例外が発生しました。」
今度は驚愕と困惑で教室中が爆発した。無理もなかろう。
「察しのいい人ならもう勘づいてると思うけど、このクラスから2人強制指名されました。その2人は────」
皆が固唾を飲んで先生を注視する。
「─────唐松君と白松さんです」
「「………はぁ!?」」
俺と白松さんは声を揃えて驚いた。
「はい、という訳で生徒会委員は唐松君と白松さんに決定しました。拍手ー」
藤原先生が音頭をとると、教室中から拍手が沸き起こった。大喝采である。貴様らそんなに嬉しいか。さっきと行動が矛盾してるじゃねーか。
「先生!どうして私達が指名されたんですか!?理由を教えてくださいよ!?」
白松さんが先生を問い詰めるが、
「実は私もわかんないのよね。生徒会に問い詰めてもみたんだけど『とにかくそう言う事なんで』ってはぐらかされちゃってさぁ。会長に直接問いただしてみたら?」
真実は会長のみぞ知る、という事らしい。生徒会長偉すぎだろ。
「それじゃあ、他の委員会も決めてしまいましょ。他のは生徒会みたいにややこしくないから、さっさと決めるわよ」
こうして、俺の一年間平穏無事に過ごす計画は水泡に帰したのであった。
という訳で第三話でした。
ここまでご精読ありがとうございます。
いつも通り次回はいつ投稿できるか不明ですが次回もよろしくです。
また今回は同時に主人公達の通う学園の設定をコラムとして投稿してますのでそちらもご覧ください。
たまにこういう形でこの物語の設定を開示しますので。
それではまた次回。