第十五話 大人の話し合い②
「皆さんご署名ありがとうございます」
四枚の署名済み誓約書を纏めて『転移』させる。
「それでは、本題に入らせていただきますね」
全員に緊張が走る。
「まぁ、回りくどいのは嫌いですので、端的に言わせてもらいます。
あなた方のお子さん達を『近衛騎士団』に入団させていただきたいのです。
現在近衛騎士団は様々な事情により、人手が不足しているのです。現状でもまぁ維持は出来るのですが、替えがきかない状況です。海都市に関して言っても、私と大輝だけで警備しています。まぁ私は団長なので、実質大輝だけで警備をしている状況ですね。万が一海都市で非常事態があった場合、大輝だけで事態の収束を図るとなると、かなり心許無いのが現状です。
そこで、地の利があるあなた方のお子さん達に『近衛騎士団』に入っていただき、海都市の防衛力の強化を図りたいのです」
「ちょっといいか?」
彩花先輩のお父さん──大輔さんが口を挟む。
「何でしょうか?」
「それは俺達が代わりにやれないのか?」
「そ、そうだ! 何も子供達に危ない事をさせなくても良いじゃないか?」
赤松さんのお父さん──智也さんが、焦りながら食い気味に割り込んでくる。
確かに、智也さんの言う事も一理ある。けど……
「あなた達に代わりは務まりません」
「「何故!?」」
私は一息つく。
「まず一つ、大人には子供と違い成長の見込みが少ないからです。これから先のある子供と、言い方は悪いですがもう先の短い大人とでは、成長量が違います。そりゃもう圧倒的に。
二つ目に、あなた達大人には──特に智也さんには──社会的な地位があるからです。『近衛騎士団』は所謂表社会から隔絶され、存在を秘匿されていて、あまり表沙汰になる行動が出来ません。なので、社会的な地位が高い人が『近衛騎士団』に入ると、存在が露呈してしまう可能性があるのです」
私の説明に、一同考え込む。
「なぁ、どうしても俺らが代わりにってのは……」
「無理ですね。この中で『魔術』に一番明るい大輔さんですら、本土の団員には及ばないでしょう」
「マジかよ……」
大輔さんは顔を引き攣らせた。
「せやけど、そしたら何でウチらのボウズ達にそないに拘るん? その辺の子らと何ら変わらへん普通の子やで?」
省吾君のお母さん──京香さんが、もっともな疑問を口にする。どうやら、置いてけぼりにしちゃったらしい。
「ごめんなさい。まずそこから説明しないとですよね」
ここまで来て肝心な事を説明していなかった。いけないいけない。
「ええっとですね。まず、子供達を集めた理由として、子供達が『魔術師』の素質があるからです」
「素質……ですか?」
玲子ちゃんのお父さん──誠さんが意外そうな顔をする。
「えぇ。それも、やり方次第では、本土の団員にも劣らない程の力を身につけることが出来る、それ程の素質を持っています」
一同ざわついた。
「……ちょっと待ってくれ」
「なんです? 大輔さん」
「親としてこんな事を言うのはどうかと思うが、流石に買い被りすぎじゃあねぇか? 俺は子供達にそんな素質があるとは思え無ぇ」
困惑した表情を浮かべ、大輔さんは続ける。
「『外』に出た『魔術師』は、世代を追う毎に段々と力が衰えていくはずだ。違うか?」
私は「えぇ、その通りです」と肯定するが、
「ですが、我々はそれを克服する方法を開発しました。理論上、この方法を用いれば本土の団員と同レベルまで『魔術』を使いこなせる様になるでしょう」
「本当かぁ? 信じられんなぁ……」
大輔さんは、疑う素振りを見せる。
「まぁ、まだ大々的に公表してないので、胡散臭いのは否めませんけどね」
私は苦笑し、続ける。
「ですが、我々なら、この方法であれば、子供達の素質を、存分に生かせるのです。少なくとも、それぞれの家族を一人で守れる程度には成長出来るでしょう」
「そいつは本当か、嬢ちゃん!?」
私の言葉に、一同驚きの表情を見せる。
「えぇ、保証しますよ」
私は、ここぞとばかりに啖呵を切る。すると、大輔さんは数秒考え込み
「……よし分かった。その話、乗ろう!」
「あなた!?」
突然、宣言をした。夫の突拍子のない行動に、彩子さんも驚いている。
「別に悪い話じゃねぇ、と俺は思うんだ。そりゃあ、最悪死ぬかもしれねぇが、自転車に乗ってたって死ぬ時もあるだろ? 万に一つの危険性に怯えるよりも、乗りこなして便利になった方が良いと思うぜ。
……まぁ、子供達とも話し合って決めなきゃいけねぇけどな」
大輔さんの言葉に、皆さんそれぞれ神妙な表情を浮かべる。
しかし、私は内心ホッとしていた。
(とりあえず、彩花先輩と大河君は手に入れた。最低条件達成って所ね)
得られた結果に満足する。さて、あとは締めるだけね。
「では、今日はこの辺でお開きにしましょうか」
そう言うと、私は指を鳴らしてある物を『転移』させる。すると、机の上に「ドサドサッ」と分厚い封筒が4つ現れた。
「そちらはお持ち帰りください。その中には『騎士団』に入団する為の書類など、今後必要な書類が全て入ってます。必要事項を記入して、付属の封筒で郵送してください。それで手続きは終了です。
では、子供達を呼んできますね」
そう言って、私は居間を出た。
〇〇
『どうだった?』
地下にいる大輝と連絡を取る。大輝との電話は、いつも大輝から話すのが決まりだ。
「言質はとったわ。もうこっちのもんよ。後は本部の許可待ちね。そっちはどう?」
『こっちも終わったよ』
「よしよし、上々よ。本格始動は来週からかしらね」
じゃあ後で、と電話を切る。
(これからどうしようかしらね……)
心の内でボヤきながら、居間に戻る。はぁ……忙しくなりそうね。
どうもお久しぶりです。dragonknightです。
今月から執筆再開させて頂きます。
お待たせしてしまって申し訳ありません(。_。 (゜ㅂ゜ )(。_。(゜ㅂ゜ )
まずは√aからです。
今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m
(*´∇`)ノシ ではでは~




