第十三話 『魔術』とは
「あ、きたきた。やっほーお兄ちゃん」
「はいはい、やっほー」
司令室に入るなり美月の能天気な挨拶が飛んできた。俺は呆れつつも、返事をする。
「でもよぉ兄ちゃん。良いのか? だいぶ揉めてたらしいけど……」
やっぱり上の揉め事を聞いていたらしい。勇雄が上に残った姉さんを心配する。けどまぁ、それもいらぬ心配だろう。
「大丈夫だよ。姉さんなら何とかするさ。そういうの得意だし」
それに姉さんは、大人の話し合いをすると言っていた。こっちもこっちでやる事があるし、気にはなるが姉さんに任せよう。
「さてと。それじゃあ、昨日の続きから説明するから、集まってくれ」
そう言って、俺は壁際から白板を引っ張り出す。昨日と同じ様に、空達も含め皆が丸椅子に座った。
「昨日は『魔法』について一通り説明したね。今日は『魔術』について説明しよう」
俺は白板に線を引いて分け、左半分の上の方に三角形を描くように丸を三つ、下の方に横並びに丸を二つ書く。右半分には縦並びに丸を四つ書いた。
「話変わるけど、皆ってゲーム何やった事がある?」
「いや、だいぶ変わったな」
「それ今関係あります?」
黒松君と赤松さんの二人が「何言ってるんだお前」といった表情で俺を見る。
「いや、これを見てピンと来ないかなぁって」
俺は白板の左半分を指さす。けど、皆すぐには閃かない様子だった。なので、手がかりとして図に矢印を書き加えた。すると、五葉松が閃いたらしい。
「……これ属性相性のアレですよね?」
「お、正解~。じゃあ、何が入るか大体分かるかな?」
「上の三つは『火』『水』『木』で、下の二つは『光』『闇』ですかね?」
「うん、まぁ、大体合ってるよ。『魔術』では『木属性』じゃなくて『自然属性』だけどね。
この5つをまとめて『主属性』と呼んでるんだ」
「じゃあそっちの4つは……」
「そう、『副属性』と呼んでる属性だよ。まぁ、この4つは普通に考えても出て来ないから、もう書いちゃうね」
俺は白板に書き込んだ。
「まず1つ目。『物理法則属性』。これは文字通り、物理法則をいじる『魔術』の総称だよ」
「なんだそりゃ。魔法カッコ物理って事か?」
黒松君が、首を傾げつつも的を射てくる。
「いやまぁ平たく言うとそうなんだけど……。一応定義があって、『『魔術』によって仮定された存在を組み込んで、演算が成り立つ物理現象を総称する属性』って定義付けされてるんだ」
「……なんかすんごいややこしいんだけど。つまり、どゆこと?」
お堅いことを言われて、白松さんは頭の中がいっぱいいっぱいらしい。
「例えばさ、理科の問題で『ツルツルの床をボールが転がります』みたいなのがあるだろ? あれは『摩擦力は存在しません』という仮定をしてるけど、実際にはありえない。でも、その仮定を実際に可能にするのが、この『物理法則属性』の『魔術』なんだ」
「じゃあ、さっき宙に浮いた時もこれを使ったの?」
「あれは色々混ざってたけど、大元はそうだね。
『物理法則』については、大体こんなもんかな。皆大丈夫?」
皆から頷きが返ってくる。
「よし、じゃあ次行くよ。
2つ目。『暗黒物質』。俗に言う『ダークマター』」と同じ物だと思って」
「「「「「「「…………は?」」」」」」」
いきなりダークマターと言われ、皆の驚いた顔が並んだ。流石に面食らったらしい。
「……どういう事ですの? ダークマターは架空の物資では?」
赤松さんは、納得いってない様だ
「確かに赤松さんの言う通り、ダークマターは『科学的には』存在を直接確認出来てない。でもダークマター自体は、この世界に存在している。『魔術』は『科学』じゃないからね。科学的云々の話は意味無いよ」
「……なんだか、物凄い屁理屈をこねられた気がするわぁ」
黒松先輩が呆れた顔をした。
「まぁ実際屁理屈ですしね……。ちなみに、これ以上に扱いづらい属性も無いと言われてるんだ」
「それまたなんで?」
白松さんが尋ねてくる。
「単純だよ。見えないし触れないからさ。そんなあるようなないような物を、どうやって扱えば良いのかわからないだろ? だからだよ」
「な……なるほ……ど?」
「確かに一理あるが……」
皆はあまり納得いってないようだが、まぁこればっかりは仕方ない。
「じゃあ次行くよ。
3つ目。『無属性』。今まで説明してきたどの『属性』にも当てはまらない『魔術』を、『無属性魔術』と呼んでいるんだ」
「例えばどんなのがあるんですか?」
五葉松が食い気味に聞いてくる。
「うーん……『身体強化魔術』や『転移魔術』がそうかな。『無属性魔術』って自由度が高いから、具体例はいくらでも挙げられるんだよね。
短めだけど『無属性魔術』についてはこんなもんかな。次行くよ?」
皆から頷きが返ってくる。
「4つ目……って数えていいのか分からないけど、一応4つ目。『超能力』。そのまま『超能力』の事だよ」
「「「「「「「「…………は?」」」」」」」」
またもや、皆の驚いた顔が並んだ。今度は超能力と言われ、面食らったらしい。
「え?『超能力』って……あの超能力?」
白松さんが驚いた様子で聞いてくる。
「多分、皆が思っているのと同じ物だと思う」
「じゃあ、『超能力』=『魔術』って事?」
「いや、全く別物だよ。でも違いを説明するには、まず『魔力』について説明しないとね」
「『魔力』……?」
赤松さんが首を傾げる。
「そう『魔力』。まぁ、ゲームでも出てくるお馴染みの要素だよね。難しく言うと、『『魔術』の発現に必要で『魔術』の源』と、定義付けされてる。車で言えば、『魔力』はガソリンみたいな物だ。
で、『魔力』には2種類ある。それが『生命力』と『活用魔力』だ。
『生命力』は文字通り、全ての生物が持っているんだ。生物が生きる時に消費する『魔力』で、これがゼロになると死ぬ。でも『生命力』がゼロになる事なんてそうそう無いし、動物なら寝たら基本的に全快するから、あまり気にする事は無いよ。
『活用魔力』は『生命力』とは別枠の『魔力』で、これも全ての生物が持っている。けど、全ての生物が『魔術』を発現できる程『魔力』を持っている訳じゃない。それに比べると『魔術師』はかなり特殊な種族で、産まれながらにして、それなりの数の『魔術』を使いこなせるんだ。
そして、『超能力者』も『魔術師』と同じ様に、『魔力』を消費して『能力』を発現させる。ただ『魔術師』と違うのは、使う『魔力』が『活用魔力』じゃなくて『生命力』なんだ。つまり『超能力』と『魔術』は、発現する過程や結果が同じでも、使ってる『魔力(燃料)』が違うんだ」
「……でも、それって『超能力者』がとても大変なんじゃ?」
「お、鋭いな、五葉松。確かに『超能力者』は、自分の命を削って能力を発現させているから、消耗が激しい。最悪の場合、自らの能力によって死ぬ事もある」
「そんな……」
「まぁ、だからと言っちゃあれだけど、俺達は『超能力者』を見つけ次第、一応保護する事になっているんだ」
「へぇ~。じゃあここにも居んのか?」
黒松君が、興味津々な様子で聞いてくる。
「いや、ここに『超能力者』は居ないよ。設立されてから日が浅いからね。それに『超能力者』って認められている人は、そうそう居ないんだ。自分から名乗り出る『超能力者』は、大抵偽者だしね」
「なんだよ。つまんねー……」
黒松君がぶうたれるが気にしない。
「よし、これで『魔術』の基本的な事は説明し終えたけど、何か分からない事ある?」
皆の様子を見る限り、特に問題ないようだ。
(さて、そろそろかなぁ)
俺がそう思ったと同時に
『──ピリリリリン、ピリリリリン』
司令室の内線が鳴る。俺は腕時計型携帯端末で電話に出た。相手は姉さんである。
「どうだった?」
『言質はとったわ。もうこっちのもんよ。後は本部の許可待ちね。そっちはどう?』
「こっちも終わったよ」
『よしよし、上々よ。本格始動は来週からかしらね。じゃあ後で』
そう言って、姉さんは電話を切った。どうやら、大人の話し合いは無事(?)終わったらしい。
「じゃあ、皆戻ろうか」
俺の音頭を合図に、俺達は地上へ戻った。
どうも~dragonknightです。
前回に引き続き13話をお届けします。
今回は魔術の基本について説明してきました。
分からない事がありましたら、コメント等よろしくお願いします。
いつものように次回は未定です( ̄▽ ̄;)
(*´∇`)ノシ ではでは~




