第十二話 親、参上?!
ピンポーンと家の呼び鈴が鳴った。
『マスター、お客様です』
そう言ってハイラは、門扉の前に立つ白松さん達と──その他大勢の皆様方を映し出した。
「………いや、多すぎだろ!」
パッと見た感じ14,5人はいた。
『ごめんね唐松くん。なんか、皆親に話通してたみたいで…こんな大所帯に…』
白松さんが申し訳なさそうに弁解する。
「スリッパ用意するから、ちょっと待ってて。
ハイラ、人数分スリッパ用意して」
『了解しました!』
しばらくして、玄関先の床がひっくり返り、中からズラリとスリッパが出てきた。
『中へどうぞ』
門扉が開き、玄関扉が解錠される。
「……お邪魔しま~す」
『お待ちしておりました!』
白松さんが扉を開け入ってくるのを、ハイラが出迎える。その間に俺達は、急遽増えた客人をもてなすために、ソファーを拡げ、食卓の椅子を居間の大机の周りに並べ、人数分が座れるようにした。
居間の扉が開き、客人が入室する。
「ようこそお越しくださいました。どうぞ、お座り下さい。今お茶を淹れますね」
姉さんは客人に挨拶をし、台所に引っ込んだ。
客人達は挨拶もそこそこに、各々好きなように腰掛けた。
このまま気まずい空気になるのもなんなので、俺は姉さんを手伝いに台所へ向かった。お茶運び位ならできる。姉さんが淹れたお茶を、俺が盆に乗せ居間まで運ぶ。
「粗茶ですが…」
決まり文句にお茶請けを添えて、俺は長机にお茶を並べた。姉さんもお茶を盆に乗せてきた。お茶を全員に配り終えた後、姉さんの挨拶から始まった。
「本日はようこそお越しくださいました。どういったご要件でしょうか?」
「…うちの娘に妙な事を吹き込んだそうだな?」
見た目は若いが、紳士的な雰囲気が滲み出ている男性が、代表して口を開いた。どうやら、赤松さんのお父さんらしい。
「…妙な事とは?」
「とぼけるな!貴様らの妄言に付き合っている暇はない。うちの可愛い娘が、気でも狂ってしまったらどうするんだ!」
「お父様、落ち着いてください」
「そうですわよ、智也さん。こんな大勢の前で、はしたないですよ」
激昂して立ち上がるお父さんを、赤松さんと赤松さんのお母さんが宥める。
「………すまない。取り乱してしまった」
落ち着きを取り戻したお父さんは、自分の席に座った。そして、今度は疑いの目線をこっちに向ける。
「しかし、先程も言った通り貴様らの事は信じられん。あまりにも突飛すぎる」
頑なに信じようとしない赤松さんのお父さん。だが、ここで思わぬ所から助け舟が出た。
「何でそう頑固になってんのかは知らねーが、俺はその子等の肩を持つ…てゆーか、あんたからすりゃ俺らもこの子等側の人間になるな」
そう言ったのは、黒松姉弟のお父さんだ。
「お前は信じるのか!こいつらの──『魔術』なんて荒唐無稽な子供の妄想を!?」
赤松さんのお父さんは、再び声を荒らげる。
「信じるもなにも……実在するモノだからなぁ~。そうだろ?嬢ちゃん」
姉さんは「えぇ」と頷き
「それでしたら証拠でも見せましょうか?」
と赤松さんのお父さんに対して、不敵に笑いかけた。
「あぁ、是非とも見せてもらいたいね!その証拠とやらを」
赤松さんのお父さんも、嘲笑と共に姉さんに応えた。
「…わかりました。ではお見せしましょう。大輝、何かやって」
「………俺がかよ!?」
思わぬお鉢が回ってきた。
「私が何かしたって、手品だのなんだの難癖つけて、あちらさんは納得してくれないわよ。あんたがやった方が信憑性はまだ高いんじゃなくって?」
「……一応俺もこちら側の人間なんですが?」
「何回も言わせないでよ。
ほら、さっさと浮いた浮いた」
「いや浮くのかよ!?」
「何?出来ないの?」
「出来なくはないけど…」
「じゃあやりなさい」
無茶振りにも程があるだろ……。けど、ここで反抗しても話が進まないので、大人しく従っておこう。
しかし、自分の体を浮かせるというのは結構難しい。これが『物を浮かせる』あるいは『天井に立つ』だったら、話はまだ簡単だった。
『物を浮かせる』のであれば『念動力』で浮かせるのが楽だ。例えるなら、透明な手を作ってそのまま物を掴む感じだろうか。
人や物が『天井に立つ』状況を作るには『重力魔術』あるいは『反転魔術』で、人や物にかかる重力を反転させればいい。
しかし、『自分の体を浮かせる』となると『念動力』は使えない。自分の事を自分で抱っこなんてできないだろ?
(うーん、どうやって浮こうか…)
あれこれ考えて、俺は一番楽な方法を選んだ。
「ちょっと失礼しますね」
そう言って俺は立ち上がり、邪魔になるような物は退かして、ちょっとした空間を作った。
そして俺は、勢いを付けて跳ねて、最高点に達した時に──重心の座標をその場に固定した。
「うぐっ!?」
そのまま俺は宙ぶらりんになった。てゆーか、これどちゃくそ痛え…。この状況を例えるなら、針の上にへそで跨っているような感じだ。俺は、手元にあった空気を手当り次第圧縮して、上半身を乗せる台を作る。…やっぱり『物理法則』で重力を打ち消した方が早かったかな。とりあえず落ち着いたので、顔を上げてみる。そこには、皆の驚いた顔と姉さんの苦笑のような失笑があった。
「……本当に浮いてる」
「これで信じていただけましたか?
あ、大輝はもういいわよ」
そう言われ、俺はかかってた『魔術』を解いて、床に降りた。
「さて、ここからは大人の話し合いをしましょう。
大輝、皆を下に連れて行って、昨日の続きをしておいて」
「話はまだ終わってn
「あいわかった。
皆、行くぞ~」
赤松さんのお父さんの声を遮り、俺は皆を連れて地下の司令室へ向かった。
〇〇
「先程はお父様が失礼しました」
「いいよいいよ、気にしないで」
エレベーターの中で赤松さんは頭を下げた。
「ああいう反応はこっちも想定してるし、むしろ当然だよ思うよ。驚くなって言っても無理な話だし、だから気にしないで」
「……ありがとうございます」
赤松さんは軽く頭を下げた。
どうも~dragonknightです。
ご無沙汰してます。
生存報告も含めて投稿しました。
まだ生きてますからね~
いつものように次回は未定です( ̄▽ ̄;)
(*´∇`)ノシ ではでは~




