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第八話 この世界の構造

「はい、というわけで改めまして

 ようこそ魔法学研究所へ。私がここの所長である唐松 光与です」

姉さんが司令室の真ん中で話し始める。俺達は用意された丸椅子に座らされていた。

「まずはこの世界の構造と私達の関係から説明しましょうか。大輝達には一度話したけど、復習だと思って聞いてちょうだい」

そう言って、姉さんは淡々と語り出した。


 ○○


 今から約138億年前、宇宙が誕生しました。しかし、それよりもはるか昔に二つの空間が造られました。ええ、そうです。この二つの空間を造った張本人が居ます。それが『神』です。これは宗教的な意味での『神』ではありません。絶対的な真実として『神』は存在します。まぁ『神』と言ってはいますが、私達は『ソレ』を信仰している訳ではありません。二つの空間を造った創造主的存在を、便宜上『カミ』と呼称しているのに過ぎません。そしてしばらくの間は、二つの空間で安定して存在していました。しかし、偶然にも第三の空間が誕生します。それが、今我々がいる『宇宙』です。ここで重要なのは『宇宙』は決して『神』が望んで造ったものではないという事です。『神』からすると我々が住む『宇宙』は、二つの空間で安定しているのに勝手に出てきて不安定な状況を作り出している元凶、言わば目の上のたんこぶな訳です。なので、『神』は『宇宙』をどうにかして除去しようと躍起になります。もちろん、そんな事をすればこちら側にも影響が出ます。その結果が、数回にわたる生物の大量絶滅です。『神』は何回も『宇宙』を滅ぼそうとしますが、その度にしぶとく生き残ってきたのが現在の動物の祖先達です。このままでは埒が明かないと思ったのか、『神』は自らが造った二つの空間の内の片方に定住し、『宇宙』に直接手を下そうとします。ここで『神』が定住した空間を『天界』もう片方を『冥界』と呼称することにします。『天界』に降り立った『神』は『宇宙』を滅ぼすために何度かちょっかいを出しますが、ある生物がこの地球に誕生した事で『神』は『宇宙』を攻められなくなくなります。その生物とは──『人間』です。より正確に言うと、我々『魔術師』です。ここで重要なのは、そこら辺に75億人位いる『人間』と我々『魔術師』は違う種族だと言うことです。と言っても、馬とロバ程違うわけではありません。『人間』は『魔術師』の突然変異なので、その差はとても軽微なものです。では、何故『神』は我々がいると『宇宙』を滅ぼせないのでしょうか。それは『魔術師』が『天界人』と『冥界人』のハーフだからです。…少し時代を遡りましょう。『宇宙』は何かの事故で偶然誕生した空間ですが、『天界』と『冥界』は少なからず『神』の意図があって造られた空間です。そして、その中の生物も『神』が何かしら意図を持って根絶したり創造したり残したりしている事が推測されます。その中に我々の祖先にあたる──そうね…『異界人』とでもしておきましょうか──その『異界人』も含まれていたようです。その時はまだ『天界』と『冥界』の区別がまだはっきりしていなかったらしく、二つの空間の行き来は今で言うEU加盟国の国境を超える感覚と同じようなものだった様です。しかし、『宇宙』の誕生により、二つの空間には物理的な壁が出現します。そして、この壁は『宇宙』が拡大する程長く巨大な物になっていき、現在は二つの空間は壁でほとんど分かたれています。この壁の影響で『異界人』は『天界人』と『冥界人』分かれてしまったという訳です。この人種の違いは、我々で言う所の黒人と白人の違いと大差ありません。そして、この壁の影響でいつしか「『天界人』と『冥界人』との間に子を成してはならない。それが神の意思だからだ」という不文律が定着しました。もちろん『神』にそんな意思は毛頭ありません。『神』にとって『異界人』は手塩にかけて育て上げた子供の様なものです。自分の子供が不幸になるのが許せない親がいる様に、『神』は『宇宙』のせいで『異界人』が不幸になるのが許せなかったのです。なので、『神』は本格的に『宇宙』を滅ぼそうとします。これは先程も話しましたね。しかし、いつどの世界にも禁断の恋という物はあるんですよね。『神』が攻め入る直前に、先程の不文律を破った『天界人』と『冥界人』のカップルが駆け落ちし、『宇宙』に逃げ込んだんですよ。それを知った『神』は、自分の子供達の幸せを願い『宇宙』を滅ぼすのを諦めました。その後も『天界人』と『冥界人』の駆け落ちカップルや、身分差カップルなどが次々と『宇宙』に逃げ出し、そのカップル達の子孫が我々『魔術師』

 なのです。


 ○○


「──ここまでで何か質問があるひとー?」

話を終えた姉さんが、皆に対して聞いてくる。しかし、現実離れした話の内容に、皆は暫くの間呆然としていた。

「………これ、全部本当の話ですか?」

白松さんが、未だに信じられないという顔で姉さんに質問した。

「ええ、多少推測の域を出ない物もあるけど、概ね事実よ。まあ、あなた達の気持ちも分からないでもないわ。『科学』の世界で今まで生きてきたあなた達に、こんな荒唐無稽な話が今すぐ信じられるとは思ってないし。実際、科学的な証明は現時点の科学力をもってしてでも不可能だしね。」

でも、と姉さんは続ける。

「『魔術』を用いれば話は別。今の話がある程度の根拠がある上で成り立っていることは簡単に証明できるわ」

姉さんは自信満々に言い切った。

「俺からもいいか?」

黒松君が切り出す。

「あんたらがさっきから言ってる『マジュツ』って何だ?俺らに何か関係があんのか?」

黒松君も、やはり分からないといった様子で姉さんに質問した。

「うーん、それじゃあこの際だから『魔術』の事も教えちゃおっか」

そう言うと、姉さんは俺に向かってちょいちょいと手招きをしてきた。……どうやら姉さんは、俺に説明しろと言っているらしい。俺は面倒だったので

「それくらい自分でやれよ」

と、明確な拒絶の意を示す。だが姉さんは食い下がった。

「だって私、人に物事教えんの下手くそだし。大輝だって知ってるでしょ?」

「………」

それが事実だからタチが悪い。

「……仕方ないかぁ」

俺は姉さんの代わりに真ん中に立ち、こう切り出した。

「──それじゃあ、これから『魔術』について話します。少なくとも、さっきの話よりは難解になるのでメモの準備をお勧めします」


どうもdragonknightです。

やっと説明フェイズに入れました。(´Д`)ハァ…

次回も説明フェイズの続きです。

いつも通り次回の投稿日は未定なのでよろしくお願いします。

(*´∇`)ノシ ではでは~

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