世界と結末と前皇妃
念願の完全説明会
前皇妃。
フェルは目を輝かせて聞いているが、その言葉を聞いた瞬間私と母の顔から表情が抜け落ちた。
前王妃のプリムローズ様は隣国『ラクア帝国』からこの国『インフェルノ帝国』へ嫁いできた巫女姫。
当時の魔族と言う一部モンスターを使役する種族との抗争から生じた魔王討伐の旅のメンバーで、若き日の王弟にしてわたしの母方の祖父である現公爵、夫の前皇帝、元侯爵令嬢の現砂漠の国『ファンローズ』女王と共に生ける伝説と言われている。
未だあった事の無い、私とフェルの父方の祖母である。
母からしてみれば義理の母になる予定だった人にしてかつて愛した、最も憎悪すべき存在の母。
ゲームでは前皇妃は母である公爵令嬢を可愛がりつつも息子には自由な恋愛をさせる中立ポジションだった。
だが現実ではどうなのだろうか、今は息子の皇太子が即位し、ヒロインと結ばれた後は、表を退いていると言うが。
そう、現皇妃はヒロイン
ならば何故第二皇子であった父・・・とも呼びたくない男が母との婚約をありもしない罪で破棄したのか。
簡単である 逆ハーエンドだ。
ヒロインは攻略対象の皇太子 第二皇子 公爵家嫡男である叔父 騎士団長の全員を攻略したのだろう。
少なくとも皇太子と結婚し第二皇子の婚約を破棄させ、母を濡れ衣で追い出しながら公爵家が存続しているなら間違いは無いだろう。(恐らく裁かれるべきは母だけだの何だの皇太子か第二皇子かヒロインが言ったのだろう)
ゲームと違うのは公爵が未だに母の父、前王弟であることだ。
逆ハーエンドでは婚約者の居ない騎士団長以外の全攻略対象が断罪イベントを同時に行い正妃であるヒロインの懐妊お披露目と即位式が同時に行われゲーム終了である。
そして嫡男は公爵に 皇太子は皇帝となるはずだが、なんと公爵嫡男・・・名前を出すのも不快だがセルクリードは皇太子即位後妻を迎え子供まで設けていると常連さんから聞いた、何故知ってるのかは知らないが。
常連さんがヒロインである正妃マリア(ヒロインのデフォルトネーム)の事を話す顔は苦々しくその評判は悪いものの、息子の皇太子イアン様の評判が高い様で2人の評判の差はこの帝都の隅まで聞こえてくる。
「それがオベントウってので・・・って、私ったら すまなかったよロベリア、今日は休んで・・・ね? 嫌な事を思い出させちまったね」
「ご・・・ごめんなさい」
母は顔を真っ青にして震えている、妹のフェルは不思議そうな顔をしながらも母を家まで連れて行く。
わたしも慌てて後を追う、こんな事は私達姉妹は知らない筈なのだから。
余計な事まで書いてありますが母からの知識と設定資料の内容です
情報屋の方が儲かってたかもしれない
09/02 王妃→皇妃に統一しました