薬草の存在感
森に着いて木の実を採取する、見た目ラズベリーな木苺のように甘酸っぱい赤い実とプルーンにしか見えないブルーベリーの様な味のする実、この2つはドライフルーツとしてこの世界ではポピュラーな存在で、赤いのがフランの実、青いのがリアの実である・・・。
「フェル、もうそろそろ帰ろう?ね?」
「もう少しとっとこうよ、ね?ね?」
「はいはいあと少しだけね」
渋るフェルを引きずって帰路につく、昔からフェルはフランの実が大好きで この茂みを見つけた時から森に入っては食べていた。
ふと、ナニカに遭遇した(?)場所を見ても何も無い、気にしてはいけ無いと分かっていても気になる。
「エルねぇ、早く帰ろう?」
「うんー・・・」
「ねえねえエルねぇ、デザートはフランの実が良いなぁ〜って」
「うんーそうだねー」
「エルねぇってば‼︎」
「ごめんごめんっ着いたよ、中に入ろう?」
「おかえり、エルにフェル 今日も遅かったねぇ」
「アニさん‼︎エルねぇったら酷いのよ‼︎あのねあのね・・・」
「あらあら・・・」
店の奥から優雅に母が現れ、食事を済ます様に言われる、そして茂みに入って出来た私の傷に顔をしかめて
「エル、また怪我をして来たの、まったくこの娘ったら、何時になったら大人しくなるのかしら」
記憶を取り戻す前からフェルを連れて森でワイワイキャーキャーしていた私はぐぅの音も出ない。
「ご飯出来てるけど、あのパンの味の保証はしなくてよ」
そうして私達の前に置かれたパンは綺麗な緑色、うーん これは・・・前世の抹茶パンに見えなくも無いようなそんな・・・とりあえず食べてみよう、手を洗ったフェルも恐る恐る
パンを口に運ぶ
「「・・・」」
重なる沈黙
「あ・・・あるぇ?」
「どうかしたのかい?」
「普通のパンだ・・・」
予想に反してラストスのあの苦味は一切しない、風味も残さず消え去っている 薬草の霊圧なんて無かった。
「あら、パンに混ぜて加熱しても傷は消えるのね」
母の言葉に我に返って傷を見れば薬草効果で綺麗に傷は消えていく わぁ便利。
「と・・・とにかく、実験は成功だよね?フェル」
「ちょいと、そのパンも売るつもりかい?」
「はい、貯めたお金で小麦粉を買うんです」
パンの焼き方は母とアニさんに軽くではあるが教わっているので練習で自分達の分を焼きつつ売っていこうかと思っていた。
「それ、私達にも1枚咬ませておくれよ」
「アニさんも?」
「私が、と言うよりうちの宿屋でね、ちょいと考えがあるのさ」
「考え?ですか?」
「そう、昔記者の時に前王妃様から聞いたことから思いついたんだが、なんでも友人からオベントウ なる文化を紹介されたらしくってねぇ」
フランとリアの実の元ネタに気付いた貴方はきっとニコニコユーザー