良薬口に苦し?
今日も宣伝を聞いた冒険者さん達が一晩の寝所とラストスを求めてやって来た
お陰でラストスは売り切れ、私達は家でのんびり夕飯を待って過ごしていた。
結論を言うと作戦の第1段は概ね成功したと言って良いと思う。
偶に森に薬草摘みにさえ行けば供給は安定し、冒険者とモンスター有る限り薬草の需要は尽きないのだ、しかも正規より半額。
まぁ実はラストスの葉の銅貨2枚の内半分はギルドへの薬草摘みの依頼料やら手間賃らしいが。
多くある宿屋からアニさんの宿屋を選ぶメリットは増える、わざわざ買いに出なくても良いのだから
小さな私達に文句を言う人も居ないのは嬉しい、宿屋の利用が半額購入の条件だからかもしれないけどね? 実は普通に買った方が安上がりの場合もあるかもしれない。
しかしながら真似した宿屋が出てきたのはまぁ仕方ない。質はうちの方が上だがな‼︎
「一枚二枚三枚・・・」
「エルねぇ顔が怖いよ・・・」
「だってこれだけあったらパンたくさん買えるよ‼︎」
「でもエルねぇ、貯金してるじゃん」
「まだやりたいことたっくさんあるの」
そう。私は、私達はここで止める訳にはいかないのだ、ここで止まれば同業者にすぐ追い越される
元大貴族の母や元新聞記者のアニさん、宿屋の主人でアニさんの旦那さんのアルフさん(私達は旦那さんと呼んでいるが)に読み書き計算、異国語に政治(プロの女2人の解説付き)を教えてもらっている私達だが本職の商人にはまだまだ勝てるはずが無い。
「まだやるの?」
「薬草だけじゃダメ、もっとユニークに‼︎」
「ゆにーく?」
「あ、でもまだまだ薬草には可能性があるんだよ‼︎」
「そうなんだ‼︎私も考えてみるね、エルねぇばっかりに任せっきりじゃダメだよね‼︎」
「頼もしいな妹よ‼︎」
「エルねぇ、早速だけどさ薬草の苦味をどうにか出来たら良いと思わない?」
「うーん、確かに」
私達の必死の手入れ(あれこれ試した)の結果、質の良く渋みも多少改善された薬草が取れたがやはり苦味はキツイ
(オブラートみたいになにかで包んだり出来ないかなぁ・・・)
ふと、宿屋の方からパンの匂いが漂い鼻をくすぐる、母さんが焼いているのだろう。
もうすぐ夕飯だ、宿屋の収入がラストス効果で増えたお陰でアニさんが食事を三食出してくれる事になった、彼女は余裕が出来て漸くしっかり食べさせれると言ってくれている。
「あ」
「エルねぇ?」
「そうか、パンだ。」
アニ・アルフ夫妻は苗字がありません
理由はアルフの父が移民で平民に苗字がない国から来たからですがまたこれは別のお話
過去編を書くことがあれば詳しく書きます
9/17 ラストスの葉と薬草全般 といった意味の薬草がわかりづらかったので一部をラストスに差し替え ラストスの葉の価値を追記します