安いよ安いよ(事実)
土の入った麻袋と薬草の入った籠を二つ持って、家に着くのは中々に大変でなんやかんやで夕方になってしまった。
「エ・・・エルねぇ、お腹すいたよ・・・」
「庭に土適当に蒔いて籠一つ持ってお母さんの居る酒場に行こうか・・・」
「ごはんー・・・」
土を庭にぶち撒けた私達はふらひらになりながら宿屋の酒場のドアをくぐる。
「あら、エルにフェル、どうしたのそんな格好ではしたないわ。」
私達に気付いた母ロベリアは呆れた顔で声をかけてくる、シンプルなエプロンに身を包む母は黄金色の豊かな金髪に青い目で妹と良く似ており、華やかな美貌は二児の母である事を忘れさせる程若々しい、こんな妖艶美女を捨てるとは正気だったのか第二皇子
「た・・・ただいま母様・・・」
「ただいま母さん・・・」
「お昼も顔出さずに、朝から何も食べてないんじゃないのかしら?」
「うん・・・」
事実森で木の実食べたり水飲んだりした以外何も食べてない。
「アニさんがご飯用意してくれてるわよ」
アニさんは少ししか手伝えない私達にも偶にではあるが賄いをくれる本当にいい人だ、アニさんにもいつかしっかり恩返しをしたい
「ご飯‼︎」
空いたテーブルに着くとアニさんが暖かいスープと焼き立てパンに魚を用意してくれる、確かこの魚は・・・
「ほら、しっかりお食べ 今日はアジのフライだよ」
そう アジ ただし川魚である、私達は一匹のアジを2人で分けながら食べる。
流石に味はアジでないが何を思ったのだ作者達・・・まぁあんなゲーム作るくらいだしな・・・あれ、でも設定資料集は内容濃密だったし後日談除けば割としっかりしたものだった気がするな?
「おいしかったぁ」
「フェル、薬草売っちゃおうよ」
「そうだね」
「アニさんアニさん、お願いが・・・」
アニさんに酒場内で薬草を売って良いか尋ねると普通にOKをくれる。
因みにこの薬草は傷に効くもので名前はラストス、普通に森で生えてる危険もなく安価なのであっさり許可してくれたのだろう、高い物ならトラブルにもなりかねない。
だが言質はとった、これから売る商品を増やしていくのだ。
「フェル」
「頑張ろうエルねぇ‼︎」
そして私達は声を張り上げる
森から帰る途中に決めた掛け声だ、勿論発案は私である。
「安いよ安いよ‼︎宿屋ご利用の人に限ってラクトス一枚銅貨一枚‼︎相場の半額だよー‼︎」
難しい言葉にも噛まずに言えた、フェルも頑張って大きな声をあげる
設定資料集によると銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨10枚で小金貨1枚、小金貨10枚で大金貨1枚
普通のラクトスの葉は一枚で銅貨2枚、下級ポーションとなると銅貨20枚
高級になると銀貨が必要になるらしい。
平民の平均月収は銀貨5枚
母は銀貨3枚で三人家族を切り盛りしている、これは宿屋の収入が芳しくないせいだ。
ならば私達の収入+宿屋で安く薬草が買える付加価値で収入が増えるならば給料も増えるかもしれない。
私は外に向かって、フェルは酒場のお客さんに声をあげる。
さて、頑張りますか
漸く母様登場。
いただきます ごちそうさま を言わないのは異国だからです 文化が無い。
日本でも地域によってあったりなかったり動作が違うみたいですね。
手合わせたり膝に手置いたり。