やる事は
思い出して謎の意気込みを頭の中で語ったものの、何をどうすればいいのか。
「エル姉様?」
一人思い悩む私に双子の妹、フェルローゼが話しかけてくる
フェルは可愛い、非常に可愛い、金の髪に青く輝く瞳は正に天使である、そんな天使は私と同じく少し痩せている。
決めた、いや、他にやる事など無い。
可愛い妹が痩せ細らない環境を作るしかないだろう。
返事の無い私に業を煮やしたのかフェルは腕を引っ張る
「エル姉様・・・エルねぇってば‼︎」
「あぁ、ごめんごめん、水汲みの時間だったね」
「もう、エルねぇったら寝ぼけてないでさっさと行こうよ‼︎」
「解ってるわよ」
「・・・エルねぇなんか大人びたね?」
「そうかし・・・そうかな⁉︎」
「むむぅ・・・好きな人でも出来た?」
「違う違う‼︎ほら行こう行こう」
「怪しいなぁ」
水汲みに外にでるとゲームのスチルで見た光景が広がる、とは言っても私達の家は王都の端にある為確か襲撃イベントか何かのスチルだった気がするが。
「よっこらしょと・・・」
桶に水を汲み既に働き始めているであろう母の働く向かいの宿屋に向かう
「おや、ご苦労様だねエルちゃんにフェルちゃん」
「おはようございます、アニさん」
「おはようございまーす‼︎」
アニさんは元女性新聞記者で宿屋の主人に嫁いだ後、没落した母を宿屋で働かせてくれた人だ、救いはあった。
なんでも記者時代に貴族の不興を買った所を母の父・・・公爵に助けてもらったらしい、その恩返しといった所だ。
「母さんは?」
「今台所よ、仕込みをして貰っているの。さて、掃除始めちゃいましょう」
私達も恩返しにと宿を手伝っている、小さなことしか出来ないが恩は大きいのだ。
掃除が終わり次第、作戦を実行しようと思う
フェルにも手伝ってもらう事にしよう。
ここは宿屋だ 冒険者や旅人はたくさん来る・・・きっと成功するはずだ。