市場にて
おパン屋につき、小さなラスクを一袋購入する この世界では平民にとってまだまだお菓子は高価だ 私はパンが成功したらお菓子屋に手を出そうと思っている・・・
(ってそんな事考えてる場合じゃない)
フェルの手を引き素早く場所を変え、観光するフリをしながら彼方此方に行く
チラと後ろを見れば慌てて物陰に身を隠す人攫いの青年(仮) 案外尾行が下手なのかもしれない
しかし私の顔が露見すればどんな目にあうか分かったものではないし母似の妹はもっと危険かもしれない 油断は禁物だ
寄り道したり路地を回ってなんとか撒こうと試みるも多少疲れた様子をみせるだけでまだまだついてくる。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「どうしたのエルねぇ・・・疲れたよぉ〜」
辺りを見れば市場の様だ、人混みと喧騒が私達を隠してくれる。
「ちょっとね・・・少し休もう?」
「おや、エルにフェルじゃないか」
「アニさん‼︎」
見れば買い出しに来たのであろうアニさんが驚いた顔をして立っている アニさんを巻き込む訳にはと尾行青年を見れば既に居なくなっていた、大人を見て諦めたのかもしれない。
神様仏様アニ様である この世界に仏様は居ないが。
「アニさん‼︎買い出し手伝います‼︎」
「あら、ありがたいねぇ しっかり物の相場覚えておくんだよ?」
「はい‼︎フェルも行こうか‼︎」
できるだけ早く終わらせて家に帰りたい。
市場では客を呼ぶ声が飛び交い、活気溢れている。
「そこの別嬪さん方‼︎今日は新鮮なチョウザメの切り身が入ってるよ‼︎安いよ‼︎なんと一匹銅貨80枚‼︎」
「あら安いね、一体どこのだい?」
「勿論ラクア産さ 保存の魔術が掛かってるから何時でも新鮮‼︎」
「買った‼︎」
チョウザメは確かマグロの事だったかな。
食材は基本的にどの国でも取れるが、魚は前皇妃の故郷、ラクア帝国 果物や野菜はエルフの森(この世界にはエルフも居るのだ‼︎)が特産で穀物はどの国でも自給出来るくらいには取れる。
「アニさんアニさん、お肉はどこの国で取れるの?」
「この国でも沢山取れるけど、カウの肉が有名なのはゴルドニア帝国かねぇ」
カウの肉とは牛の事で、魔物化する物も居る やはり値段はそこそこするらしく、銀貨二枚位はするらしい。
ゴルドニア帝国はこの世界にある3つの帝国の一つで、インフェルノの次に軍事力を持つ国だ。
「ふぁ〜」
なんだかんだしているうちに夕方になってしまった。
「そろそろ帰るかね」
「もうこんな時間です」
「ちょいと手伝ってくれるかい?」
「勿論です‼︎技を盗むのです‼︎」
「ハハハ、頑張んなよ」
元々鮪はチョウザメの誤訳だったらしいですね ねぎとろ美味しい
この世界には多くの国があり、それぞれ特産や気候、国柄、抱えるものが違います。
もしかしたら主人公達の国、インフェルノ帝国が一番危ないかもしれませんね