#8.鬼神と終わり
~七無空間運営~
X「19番の行方は?」
アレン「現在水のエリアに向かって直進しているようです」
エド「ただ、風のエリアにも厄介なやつがいるようですね」
X「どれどれ…ああ…44番か…確かコイツは伝説の…」
アレン「…!!?ボス!これを!!」
X「何だ!?…これはいったい…!?」
ここは氷のエリア…
寒い中、アーニックとの戦いに勝利したフレッドが疲れたように座っていた…
フレ「ったく…何でここは寒いんだ!?イライラするぜ!」
それは氷のエリアだからだ。
フレッドはあることを思い出した。
フレ「そうだ!あの戦犯と戦うためにこの場所にいるんじゃない!氷の石を武器屋に届けるんだ!」
フレッドは左腕の手当てを早急に終えると、氷山のふもとにある石を取りに立った。
しかしそこには石はもうなかった。
誰かにとられてしまったようだ。
フレ「くっそー!ツイてねえなー!」
フレッドが悔しそうに空を見上げようとした時、氷山の近くで声が聞こえた。
???「ヘヘヘ…21番の帽子と88番のおっさんが戦ってるおかげで俺が漁夫の利を得たぜ!早速武器屋に持っていこうっと♪」
フレ「…」
フレッドは声の方を見た。
そこには番号『27』をつけた男がにんまりと笑って氷の石を持っていた。
まさにフレッドが持つはずの石だ。
フレ「…もちろん、俺がこれで終わると思うかい?」
フレッドは誰だかわからない何かに質問をした後、27番の男をすごい形相で追いかけ始めた。
フレ「おんどりゃー!待ちやがれえええええ!!!」
27「何だ!?うわっ!さっきの21番!」
フレ「俺の氷石返さんかー!!!」
フレッドはもはや鬼神と化していた。
強い殺気、鬼の形相、そしてものすごいスピード…もはや誰も止められない!
27「…うわあああああっ!!!」
27番の男はたまらず逃げ出した。
フレッドも負けじと追いかけてくる。
フレ「待たんかいワレエ!!」
2人は颯爽と氷のエリアから消えていった。
しかし27番の叫びとフレッドの罵声にも聞こえる鬼の声はしばらくの間こだましていた…
場所は変わりここは風のエリア…
采「…死ななきゃ……」
蒼い眼で腰にピストルを持っている女、采…しかし彼女の眼は死んでいた…
戦いたくないというわけではない…
何故か死んだ眼をしていた…
そしてあろうことか禁じられた自殺をしようとしていたのだ!
采「私が勝てるわけない…死ぬしか…ないんだ…」
采は力なく崖の方へ向かう…
その采の近くで様子を見て嘲笑う男がいた…
その男は番号『44』をつけており、まるでピエロのような恰好をしている。
そして采に向かって奇妙な指の動きを見せている…
44「ヘッヘッヘッヘ…このまま自殺させて滅亡させてやるよ…こうすりゃ人の数が減って良いからな!」
男はどうやら采に催眠術をかけているようだ。
采が崖っぷちに踏み込もうとした時だった…
ドドドドドドドド…
44「あぁ?なんだぁ?」
謎の地響きがしたので44番の男が振り向くと…
27「助けてくれえええええ!!!」
鬼フレ「ぶっ殺してやらぁ!!!!」
氷のエリアからものすごいスピードで27番の男とフレッドが44番の男めがけて走ってきたのだ。
44「わ!やめろ!こっちくんな!!俺の催眠術が解けるだろうが!!」
27「うわあああ!!!」
27番の男は絶叫しながらもなんとか44番をかわしていったが…
鬼フレ「どけやワレエ!!!」
鬼神フレッドは44番の顔に2発、鳩尾に3発パンチを高速でぶち込み、そのまま27番を追っていった…
44「グフォア!!!」
44番は体が変な方向にねじれて倒れこんだ。
ちょうどその時、采にかかっていた催眠が解けた。
采「あれ?私、何でこんなところに!?って!よくも私に催眠術をかけてくれたなー!!!」
采は顔がぐにゃりと曲がってしまった顔の44番を見てピストルを構えた。
44「お…の…れ……!」
44番はまたしても催眠をかけようとしたが、またしてもあの地響きが起こった。
采「え!?何!?」
44「ああもう…またか…」
44番は呆れ、采は戸惑った。
もはや風のエリアはそよ風の吹く場所ではなかった…
27「うわあああん!!!いつまで追いかけてくるんだよおおおお!!!」
鬼フレ「地の果てまで追いかけてやるぞぉぉぉっ!!!」
27番と鬼神フレッドがまたしても現れた。
44「ええい気にするな俺!伝説のさいみ…うおい!!」
催眠術師と言い終わらないうちに27番は44番をかわしていった。
そして…
鬼フレ「GRRRRRRRR!!!」
フレッドはもはや野獣の威嚇のような声で44番を突き上げて27番を追いかけに走り去ってしまった…
44「うわああああああ!!!」
44番は天高く舞い上がった。
そして予定では采が飛び降りるはずだった崖へと落ちていった…
44「馬鹿なああああぁぁぁぁぁ……」
44番は断末魔と共に消えてしまった。
采「…助かった~;;;」
采はホッとしてその場に座った。
采「風が気持ちいいなあ~♪」
采は気持ちよさそうにそよ風を浴びた…
采「sayaはどうしてるかな…」
『風のエリアにて44番脱落(21番)』
場所は変わり、ここは光のエリア…
saya「石を見つけなくちゃ!せめてチョコレートでいいから欲しい!」
sayaは食事販売所の食べ物のために石を探していた。
sayaの求めるチョコレートは白×2…つまり光のエリアにある石2個が必要である。
sayaは既に石を1個持っているため、あと1個見つけなければならない。
白い石を探していた時、近くに黒い影が…
???「…フッ」
saya「あった!これでチョコレートが買える!」
sayaが白い石を拾った時、その黒い影が近づいてきた。
???「貴方は『終わり』を知っていますか?」
saya「!!」
sayaは言葉を失った…彼女の目の前にいるのは、彼女が一番最初に見つけ、その後に大量虐殺を始めたあの『19番』だったのだ…
19番は冷静な口調と鋭い目つきでsayaに話を続けた。
19「どうやらその顔は知らないようですね…私は貴方にも教えなければならないようですね…」
saya「あなたは…!何者なの…!?」
sayaの問いには答えず、19番は謎のオーラを放った。
saya「どうしよう!死んじゃう…!誰か…助けて…!!!」
???「待て!」
19番とsayaは突然した声の方向を見た。
そこには番号『18』をつけた男が立っていた。
何故か顔に覆面マスクをつけている。
19「貴方は何者ですか?」
19番は覆面男に冷静な口調で聞いた。
18「俺は名乗るような程の人間ではない…世の中知るも知らぬも変わらないことが多いからな…」
覆面男はsayaに早く逃げろと合図している。
sayaは逃げようとしても足がすくんで動けない!
19番はその様子に気づいたようだ。
19「フッ…そういうことですか…」
18『しまった!勘付かれた!?』
19「貴方にも『終わり』を教える刻のようですね…」
18「『貴方にも』ではない…『自分に』だ!」
覆面男はとっさに19番に野球の球を投げた。
かなりの剛速球だ。
しかし19番は人差し指一本でその球を受け止めた。
18「くっ!」
19「やれやれ…もう諦めたらどうですか?貴方たちはもう『終わり』を迎えるのですよ?」
18「こうなったら…!」
覆面男は突然sayaに自分のリュックをつけた。
saya「えっ!?なんですか!?」
18「いいか?俺が投げて5秒後にその紐を引くんだ!いいな?」
saya「で、でもあなたはどうなるんですか!?」
覆面男はフッと笑ったようだった。
18「世の中、男は女を助けるべき存在だ…だから俺は君を助ける…では…さらばだ!」
覆面男はそう言うとsayaを力いっぱい投げ上げた。
saya「きゃああっ!」
sayaは19番と覆面男の様子もわからないまま投げ飛ばされた。
そして5秒後に約束通り紐を引くとパラシュートが開いた。
パラシュートからsayaは振り返った。
さっきいた場所からは光でできた柱ようなものが立っていた。
saya「18番の人…ありがとうございました…」
sayaは若干申し訳なさそうに地面に降り立った。
それと同時に空に情報が流れた。
『光のエリアにて18番脱落(19番)』
『砂のエリアにて39番脱落(100番)』
『闇のエリアにて55番脱落(34番)』
『火のエリアにて3番脱落(97番)』
saya「やっぱりやられちゃったんだ…うぅ…怖いよぉ…」
sayaはまだ震えていた。
光のエリアの優しい光でさえも今は恐怖の闇に見えるようだった…
~雷のエリア~
サカーン「お主は何にするんだ?」
アイス「やっぱり私はアイスクリームかな?」(アイスクリーム:青×2)
サカーン「それなら俺がおごってやろう。石はたくさんある」
アイス「ありがとう!サカーンさんは何にするの?」
サカーン「俺は牛乳だ」(牛乳:黄色×2)
アイス「どうして?」
サカーン「ツノが最近もろくてなぁ;牛乳でカルシウムを摂らなければならん;」
アイス「えぇ!?」
~七無空間運営~
アレン「どういうことでしょう!?2名がものすごい速度で移動しています!」
X「19番か!?」
アレン「いえ、27番と21番です!」
X「いったい何故だ?」
アレン「わかりません;」