#5.狙撃手と悪戯者、そして鱗を失った龍
~七無空間運営~
X「19番もそうだが前回に出場しているやつらもいるようだな…」
アレン「はい。だいたい10名ほどではないでしょうか…」
エド「その中でも1番、34番、54番、100番は厄介ですね」
アレン「47番も侮れませんね」
X「そうだな…」
ここは火のエリア…
火山が幾度となく噴火している…
一旦「おや?あれをターゲットにしてやろうかなァ…」
火のエリアの岩陰で一旦停止が狙いを定めた相手はまだ気づいていないようだ。
一旦「ショーの始まりだ!」
一旦停止は黒いパーカーを深くかぶってターゲットに向けてライフルを放った。
???「ぐはぁっ!」
銃弾は見事にターゲットの背中に命中した。
銃弾を食らったターゲットはそのまま倒れて、このエリアから消えていった。
一旦「成功だ…今日もいい調子だねェ…」
一旦停止は自分のライフルを丁寧に磨き始めた。
そこにまた一人現れた。
現れたのはジョーイだ。
ジョ「はぁ~あ;粉々銃持ってくればよかったなあ…」
ジョーイはレプリカの粉々銃を残念そうに見つめながら歩いている。
もちろん一旦停止が隠れていることには気づいていない。
そこにまた脱落者の情報が流れた。
『火のエリアにて82番脱落(97番)』
ジョ「火のエリアってここか~頑張ってるね~」
ジョーイは危機感を持っていないようだ。
一旦「ここは…やるか?」
一旦停止はジョーイに銃口を向けた。
ジョ「あれ?これって…」
ジョーイが拾ったのは銃弾の削れたようなカスだ。
ジョ「ここで誰か死んだんだね~」
ジョーイは呑気に銃弾のカスを肩にかけた。
やはり一旦停止には全く気付いていないようだ。
一旦『今だ!』
一旦停止はジョーイに向かってライフルを放った。
ジョ「うぐっ!?」
ジョーイはその場にヘタヘタと倒れこんだ。
背中からは血が流れている…
一旦「これで2人目ェ…」
しかし一向にジョーイが消えない。
一旦「なンでだ?確かに弾は当たった筈なのに…」
一旦停止は様子をうかがっている。
その時ジョーイは突然立ち上がった。
一旦「!?」
ジョ「あ~あ…俺のおやつのケチャップが…誰かさんのおかげで服がベトベトだよ」
ジョーイは黒い笑顔で一旦停止の方を向いているようだ。
一旦『気づかれてる!?いったい何故?』
ジョ「本当は使いたくはなかったんだけどな~♪」
ジョーイは黒い表情のまま懐からレプリカそっくりの粉々銃を取り出した。
一旦「!!?」
ジョ「じゃあ…またね~♪」
場所は変わってここは雷のエリア…
アイス「ここは…いったいどこなんだろう…」
アイスは雷のエリアの洞窟の近くにいた。
アイス「ここの管理人って…いったいどんな人なんだろう…」
アイスが隠れている洞窟に一人近づく黒い影が…
その影の正体は見た目はだいたい50歳近い男で、ところどころに戦った後のような傷がついている。
???「ん?あそこに誰か人がいるようだ…好戦的なやつでなければいいがなあ…」
男はアイスに近づいてきた。
アイス『どうしよう!見つかっちゃった!』
男は徐々に近づいてくる。
アイス「ヒィ!」
アイスは身構えているが男は戦う気はなさそうだった。
彼は54番をつけている。
男「別に俺ぁ戦おうと言うわけじゃねえ…安心せい…」
男はどこか疲れているようだった。
アイス「本当に?」
男は頷いた。
アイス「えっと…私はアイスです」
男「俺はサカーン。龍化できる人間だ」
アイスには少し聞きなれない言葉があったように聞こえた。
アイス「え?今龍化って…」
サカーン「ああ。龍化できる…」
アイスは驚いていた。
サカーン「だが俺の龍化はしょぼくれておる…」
アイス「でもその龍化、見てみたいな~」
アイスはもう彼に恐怖感を抱いてはいなかった。
サカーンは驚いている。
サカーン「…珍しいやつだ…今までに自分から見たいというやつがいるとは思わなんだ…」
アイス「よかったらでいいんだけど」
サカーン「いいだろう…フオオオオオ!」
サカーンが気合を入れた時に白い光があたりを包んだ。
アイスはそのまぶしさに思わず目をつぶってしまった。
アイス「まぶしい!…ん?」
アイスが目を覚ますと、そこにはまるで化石のような骨龍がアイスの目の前に立っていた。
アイス「もしかして…サカーンさん?」
サカーン(龍)「いかにも儂じゃ…やはり儂のような歳じゃとこのような骨の龍にしかなれん…」
アイス「でも、普通の人だったらなれないんだよ?すごいよ!」
サカーン(龍)「そうか…」
骨龍はフッと笑った。
サカーン(龍)「ところでお主は何故この世界に来た?」
アイス「私が参加した理由は単純に力試し…ってのもあるんだけど管理人が気になった時に、真実を探しに来ただけってとこの世界のこと、調べたいなーって」
サカーンはただ一言「そうか」と言うとその場に座った。
アイス「サカーンさんは?」
サカーン(龍)「儂か?儂は前にこの戦いに参加した…」
アイス「この戦いって、前にもあったの?」
サカーン(龍)「ああ。この戦いはもう200年も続いておるらしい…」
サカーンの話によると、サカーンは10年前に開催された大会に参加した。理由はアイスと同じで力試し兼管理人の正体探しということだったが、あと3人というところで敗れてしまったのだ…
アイス「そうだったんだ…じゃあ、私も協力してあげよっか?前に戦ったことがあるとしたら頼もしいし…」
サカーンはフッと笑ったようだった。
同時にアイスの目的が昔の自分に似ていることに親近感がわいたようだった。
サカーン(龍)「面白い奴じゃ…よかろう…儂もお主に協力しよう…ウムム…どうやら時間切れか…」
サカーンは骨龍の姿から人間の姿に戻った。
アイス「あれ?サカーンさん?」
サカーン「俺が龍化できるのはせいぜい10分くらいだ…だがよろしく!」
アイス「こちらこそよろしくね!」
アイスとサカーンは共闘することにした!
その時、轟音と共にモニターにいつもの情報が映し出された。
『光のエリアにて94番、60番、98番脱落(19番)』
『闇のエリアにて46番脱落(34番)』
アイス「嘘…一気に3人もやっつけるなんて…」
サカーン「もしや19番の男は…」
2人は驚愕していた。
いや、各エリアの人々は皆驚愕していた…
3人同時に倒した19番の存在が一気に大きなものとなった…
サカーン『待っておれギランザ…お前を倒すまでは俺も死なん…』
アイス「あの、サカーンさんって何歳なんですか?」
サカーン「ん?俺は今…130くらいかな…」
アイス「えぇっ!!?」