#33.刹那と闇の恐怖
※久しぶりの投稿となりましたね;ネタ切れが(微量ながら)解消いたしました。
※相変わらずの駄文ですがどうぞ…
氷のエリア…
フレ「くそっ…まだ体が…冷…てえ…」
血なまぐさい洞窟の中で体を横にして倒れていたフレッドは身体を起こすことすらもできないでいた。
フレ「あの男…なんでここに…」
フレッドは未だに彼を庇って犠牲になった27番の男が頭から離れない。
彼が何者だったのか、フレッドはわかってしまった。
しかしそのことも身体の痛みによってまともに考えることができない。
フレ「くっ…アイツがもしそれを望むなら…」
その時、フレッドのいる洞窟に1人の男が現れた。
彼は白衣を着ており、いかにも科学者のような姿をしている。
科学者「おや、ここには先客がいましたな」
フレ「だれ…だ………」
モル「申し遅れましたね…我はモル・ガナーシュ…主にこの地域を研究している者です」
モルは黒い鞄を冷たい氷の上に置いて、白衣のポケットに入っていた白い紙をカバンの上に広げた。
フレ「…なん…だ…それ……は…?」
フレッドは声も絶え絶えにモルに聞いた。
モルは紙に何かを書くとフレッドに見えるようにその紙を広げてみせた。
モル「私はこの地域の特性を研究していましてね…数回もこの戦いに出させていただきました…」
フレッドには何が何だかわからない。
モルは話を続けている…
モル「今日、闇のエリアを調べて全てを調べることに成功しました…後はこの研究結果を如何にして現実世界へと持ち帰るか…そこにかかっています。なにせこの空間での出来事は現実世界に帰れば『全て忘れてしまう』のですから…」
フレ「何…!?」
フレッドにはわけがわからない。
モルの言った『全て忘れてしまう』と言った意味が。
モル「その反応を見るに、君は一見さんでしたか。教えてあげましょう…この世界はあくまでも仮想の世界なんです…」
フレ「仮…想……?」
モルは静かに頷いて黒い鞄の中に入っていた紙を一枚取り出した。
フレッドはゆっくりと紙の方へと目を向けた。
モル「『七無空間…そこは何人も踏み入れることはできない刹那の空間。鍵となるのは開けてはいけない木の箱…その箱を開けしとき刹那が永遠のものとなるであろう…』と、私の研究室にあった本に書いておりました」
フレ「…で?」
モル「つまりはこういうことですよ…結局はこの世界は刹那のもの…つまり現実世界に戻れば木箱を開けた瞬間に逆戻り…結果ここでの記憶は全くなかったことになる…。そういうわけですよ」
モルは悲しげにフレッドに見せていた紙をたたんだ。
フレッドは何も言わずただ洞窟の天井を見上げるだけだった。
モル「この土地の成分がどういうものかがわかった時、私の研究は成功する。しかしそれも忘却によって潰されてしまう…刹那とはつまりそういうものなのですね」
フレ「なあ…1つ……いいか?」
モル「何でしょうか?」
モルは白い眼鏡を丹念に拭きながらフレッドの様子を見ていた。
フレ「もし俺が…ここで…死ん…でも……ここで…あったことは……全て…忘れちまう……のか…?」
モルは目をつぶりながら拭き終わった眼鏡をかけて立ち上がると、「さあ…どうでしょうね」と言葉を残して洞窟の出口へと足を向けた。
フレ「おい………俺を……殺さ…ない……の…か?」
フレッドは息も絶え絶えな状態でモルの方に顔を向けた。
モル「弱った者を殺すほど、私は落ちぶれておりません故…」
と静かに笑いながらモルはただ前を向いて洞窟を後にした。
彼がいなくなった後、洞窟にはまた血なまぐささがフレッドの鼻をついた。
フレ「くっ…」
フレッドはただただ体を横にして目をつぶるほか無かった…
場所は変わって風のエリア森林部…
大剣を背負ったキラとハチの恰好をしているビーは草むらに身を隠しながら移動していた。
彼らの見る先にはヴァルグランとsayaがいる。
キラ「隊長とかいう奴は死んでしまったみたいだな…」
ビー「うん…いくら無理矢理入れさせられたとはいえ、隊長が死んじゃうなんて…」
ビーはどことなく悲しげに隊長の死を表すモニターを見上げていた。
キラは一つため息をつくとヴァルグランたちの方へと歩み始めた。
ビー「どうしたんだい?」
キラ「隊長は死んだんだろ?なら今だったら合流できるはずだ…確かに死んだことは悲しいかもしれないけれど…ここは戦いの世界だ…いずれやられるから仕方ないだろう…」
ビーは何かを言い返したかったが、キラはそれを流すかのように草むらを出ようとした…
しかしその瞬間、一発の銃声が聞こえた。
キラ「ぐっ!?」
銃弾はキラの右足に当たり、キラは草むらの中で倒れ込んだ。
ヴァルグランは銃声に気づき、sayaと共に銃声とは逆の方向へと走り去っていった。
ビー「キラさん!」
キラ「いったい…何が…うっ!」
キラは必死に動こうとしたが体が思うように動かない。
ビーはあたふたしながら毒針を構えている。
するとまた銃声が聞こえた。
銃弾はビーの左にあった木に命中していた。
ビー「なんなんだ…いったい……痛っ!?」
ビーは突然顔に痛みを感じた。痛みのあったところからは一筋の血がビーの頬を伝っていた。
ビー「うぅ…どこにいるんだ!出てこい!」
恐怖のあまり裏返った「出てこい!」というビーの声は森林の中で虚しくこだまするだけで、銃声の主は現れない。
代わりにまたしても一発の銃声と共に銃弾がビーの胸部を貫いていた。
ビー「ぐああああっ!」
苦しそうに叫びながら、ビーもキラ同様に地面へと倒れ込んだ。
ビーは少しの間痛みと苦しみにもがいていたがやがて動きも止まり、光となって消えてしまった…
キラ「ビー…!!」
キラは痛みをこらえながら左足に重心をかけて木を伝いながら立った。
すると目の前には13番の男が無表情で銃を構えていた。
キラ「そうか…お前が犯人か…」
キラは半ば悔しそうに、半ば怒りを覚えながら彼を睨んだ。
13番の男は怯みもせずキラに一歩ずつ近づいてきている…
キラ「くそっ…どうしたら…!!」
13番の男は大剣を手にしようともがくキラにとどめの一発を放った。
その銃声は風のエリア中に広がるような感覚がしていた…
『風のエリアにて36番脱落(13番)』
~氷のエリア~
モル「私にもついに名前がつきましたか…しかし…どうやって持ち帰りましょうかね…さて、誰に潰してもらえるだろうかね…」




