#28.終わった世界
~氷のエリア~
???「ふむ…ここの氷の成分は…だとすると弱点から見ると…ふむ…」
~闇のエリア~
ラリカ「さてと…お腹もいっぱいになったことだし、そろそろ行こっと!」
ここは雷のエリア…
サカーン、ギランザ、アイスの3人はいつ襲ってくるかわからない19番との戦いに備えて洞窟の中にいた…
ギランザ「しかしまあ、物好きなヤツだよなお前は!」
ギランザは持っていたウイスキーをごくごくと飲みながらアイスの方を見た。その顔は赤い。
アイス「物好き?」
ギランザ「おうよ。管理人が気になって戦いに参加するたあさ!サカーンともろかぶりじゃねえのよ~」
ギランザはどうやら酔っぱらっているようだ。
アイスはアハハと笑って顔を下に向けた。
サカーン「まあ実際に管理人が何者かは気になるだろう…」
ギランザ「ああ、聞いたところによりゃXとかいう管理人は元罪人だと聞いたことがあるぜ?」
サカーンとアイスはギランザの突然の情報に驚いているようだった。
サカーン「おいギランザ…何故お前がその情報を知っている…?」
ギランザは酔っぱらっていながらもキョトンとした顔でサカーンを見ている。
ギランザ「俺が前に出てたバトルで19番の野郎がそう言ってたからな…」
彼はどうやら19番と接触していたらしい。
サカーンとアイスはギランザの話に聞き入っている。
ギランザ「まあ俺もそう簡単にゃ信じねえがよ、死刑囚だのなんだの言ってるんだよ…」
???「そうですよ?私は彼を知っているのですから…」
ギランザたちはハッとして謎の声がする方を向いた。
サカーンとギランザの2人はその凍りつくような冷たい声に聞き覚えがあるらしく、その声を睨みつけている。
サカーン「ほう…なかなか面白い事を言うじゃないか…九一…」
19「ほう…私の名前を知っているようですね…」
九一と呼ばれた19番の男はかすかに笑顔を見せている。
アイス「あれが…九一……」
アイスは19番の威圧感で足が震えているようだった。
19番はアイスの方をちらっと見た後サカーンたちの方に目を戻した。
19「いいでしょう…私の名は九一零。皆に終わりを始めんとする者です…」
サカーン「お前の目的は何なんだ!」
サカーンは声をいつもより低めにして19番に吠えた。
九一はサカーンを蔑むような目で見ている。
19「まったく…龍人には教養と言うものがないのですね…私の目的は全てを終わらせること…ただそれだけです」
ギランザ「全てを終わらせるだあ?何を根拠にそんなこと言ってんだよ馬鹿馬鹿しい…!?」
ギランザは一瞬何が起きたかはわからなかった。
気がついた時にはすでに自分は岩壁に激突していたのだ。
サカーンとアイスもまた何が起きたかはわからなかった。
あまりにも一瞬の出来事だったのだ。
19「これでもまだ馬鹿馬鹿しいと言えますか?所詮あなたもその程度なんですよ…」
ギランザはギロリと九一を睨みつけたが九一は何一つ表情を変えない。
アイス『どうしよう…ギランザさんを助けなきゃ…なのに足が動かない…』
アイスは焦っているが、九一はその様子に目もくれずにギランザの方へ足を向けていた。
19「さて…まず貴方から倒すとしましょうか…」
九一はギランザに一歩、また一歩と歩みを寄せている。
ギランザは反撃しようと身構えるが自分の異変に気がついていた。
九一に飛ばされた際に彼の右足が折れてしまったのだ。
ギランザ「ち…畜生!」
19「では、これで貴方は終わりです…お疲れ様でした」
サカーン「!!」
九一がギランザに拳をあげた時、サカーンは一か八かの思いで彼に体当たりを仕掛けた。
九一はそれに気づいたようで何一つ表情を変えずに彼のタックルをかわした。
19「全く…龍人は人の厚意にも手を出すのですか…愚かですね…」
九一は呆れながら一つため息を吐いた。
サカーンは今までに見せたことのないような怒りを露わにしている。
サカーン「ライバルは自分の手で倒すと言うのが俺ら龍化人間の使命だった。だが貴様の所為でその気も失せてしまったわい…愚かは貴様の方だろう!何が終わりだ!何が厚意だ!ただの自己満足だろう!!」
吠えるサカーンに九一は冷静に彼を見ていた。
彼が吠え終わったのを確認すると、彼はまたため息を吐いた。
19「自己満足…ですか。そうですね。確かにこれは私の自己満足かもしれません。しかし私はそれを尽くすのですよ…世界は既に終わっている。貴方たちはその終わった世界で生きているのです…私はその世界をすべて終わらせて、新たなる世界を創り出す…そしてそれを私が終わらぬように管理するのです」
サカーン「管理…だと?」
サカーンは目に怒りを見せながら九一を睨みつけている。
19「そうです…終わりを創り出そうとする愚か者を徹底的に排除し、終わりのない世界を創り出すのです。これほど善きことはありません」
サカーン「…フッ」
サカーンは笑っていた。
その反応に九一は怪訝な顔を見せている。
19「…何が可笑しいのです?」
サカーン「ああ…あまりにも下らないことを抜かすからな…つい笑ってしまったよ…」
九一は下らないと言われたことにも表情を変えなかった。
しかし彼の目には闘気が見えるようだった。
19「下らない…ですか…まあいずれ解ることです…まずは貴方から教えてあげましょう…!」
サカーン「いいだろう…うおおおおっ!」
サカーンは自分の姿を骨龍に変えた。
サカーン(龍)「お主の骨身にしみる一撃を見せてやろう…」
19「いつまでその減らず口をきけるでしょうかね…」
サカーンと九一の戦いを見てギランザはアイスの方へと近づいた。
そしてアイスに耳打ちを始めた。
ギランザ「今のうちに逃げろ…」
アイス「えっ…でも…」
ギランザ「管理人の秘密を知りたいなら生き残るしか方法はないだろ?今ここで巻き込まれたらお前は死んじまう…だから逃げろ!」
アイス「…うん…だけど…」
ギランザ「何なんだよ!」
ギランザは若干イライラしながらアイスを見ている。
しかしギランザはどうやらアイスの様子に気がついたようだ。
ギランザ「何だ?足が動かねえのか?」
アイスは申し訳なさそうに頷いた。
するとギランザはアイスに一本のボトルを渡した。
中には限りなく透明に近い色の液体が入っているようだ。
アイス「…これは?」
ギランザ「俺の世界にある特殊な飲み物だ…俺の世界にいるやつらは皆こうやって震えを取っているんだ…これを飲め…そしたら数分だが震えが取れるぜ…だからその時走って逃げろ…ここは俺らに任せろ…」
アイスは黙って聞いていた。
そしてギランザが話し終えると、力強く頷いてその飲み物を飲んだ。
ほんのり甘酸っぱい味が彼女の喉元を過ぎていく…
それが過ぎると心なしか足の震えが止まったように感じた。
アイス「じゃあ、また会いましょう!」
ギランザ「おう…」
アイスは九一の目を盗んで走り出した。
しかし何故かギランザの元に戻ってきた。
ギランザ「おい!何やってるんだ!」
アイス「あの…生きてまた会いましょう!それだけです!」
アイスは駆け出して洞窟から出て行った。
ギランザはキョトンとしていたがそれを伝えるだけに戻ってきたアイスがおかしかったのか、「ヘッ…」と笑って、右足を引きずりながらサカーンの手助けに戻った。
19「『飛んで火に入る夏の虫』とは言いますが、ここまで容易く入られることに越したことはありません…では…これで貴方たちも終わりです…!」
~風のエリア~
??1「そちらの様子はどうだ?」
??2「準備は万端です…後はあの4人がここを通れば作戦は完了となります」
??1「よし!そのまま待機を続けろ」
??2「了解」




