#26.舞い落ちた奇跡と蠢く影
~雷のエリア~
サカーン「やはり牛乳はええわい…」
ギランザ「馬鹿言え!ウイスキーが一番に決まってんだろ!」
アイス「ジュース美味しい♪」
ここは風のエリア…
ここでは今まさにヴァジェスタスがヴァルグランに対してとどめの一撃を放っていたところだった…
大針と何かがぶつかり、同時にドサッと何かが倒れこむかのような音がした。
ヴァジェスタスはこの音を聞くと勝ち誇ったように残虐な笑みを浮かべていた。
ヴァジェ「ハハハハハ!やはり常識のある私が勝つのだ!弱いものは強いものには必ず負ける!それが常識だ!ハッハッハッハッハー!!!」
???「それはちょっと納得いかねえな…」
聞き覚えのある声にヴァジェスタスの笑みが凍りついた。
そんなはずはない…確かに倒したはずなのに…
そう。まぎれもない彼の声だ…
ヴァジェ「なぜだ…何故まだ生きているヴァルグラン!!」
ヴァル「チーッス…俺はまだまだ運に見放されてないようだぜ…」
ヴァルグランはヴァジェスタスの投げた大針を指差した。
大針の中心部がくの字に折れ曲がっている。
さらにその先では頭を押さえてもがく男の姿があった。
どうやら空から落ちてきた男とヴァルグランめがけて飛んでいた大針とがタイミングよく衝突していたようだ。
その様子を感知したヴァルグランは不敵な笑みを見せている。
ヴァル「まさか、天使が空から降ってくるとはな…お前らも優しい恵みを与えてくれるじゃねえか…」
ヴァジェ「そんな馬鹿な…そんな非常識な事態が起こり得ようか…」
ヴァジェスタスは戸惑っている。
空から人間が降ってくるのはありえないこと…もがく人間には翼も無ければ飛ぶようなエンジンも備えられていない。
ヴァルグランはそれについて予想が出来ていたかのようにフッフと笑っている。
ヴァル「で?常識がなんだって?」
ヴァジェ「おのれ…おのれぇーっ!!!」
ヴァルグランは睨むようにヴァジェスタスを挑発した。
ヴァジェスタスの目には怒りがあふれ出ているようだった。
その時、采とsayaが目覚めた。
采「うーん…あっ!ヴァルさん!」
saya「大丈夫で…あれっ!?」
2人はヴァルグランとヴァジェスタスの他に頭を押さえて転げまわっている男を見つけた。
彼女たちはその男にも面識があった。
采「あの人って、確かカレーパンって人をやっつけた人だよね?」
saya「うん…確かそうだった…行ってみる?」
采「うん!」
2人はもがく男のもとへ近づいた。
その一方で2人の吸血鬼は戦いを再開させたが怒りに満ちたヴァジェスタスの猛攻にヴァルグランは応戦一方だ。
ヴァジェ「弱い者は何年経っても弱い者だ!それが常識だ!」
ヴァル「チッ…なんてパワーだ…」
采とsayaは2人の戦いを気にしつつ、地面をさらに転げまわる男に語りかけた。
采「あの、カレーパンの人をやっつけた時の人ですよね?」
saya「あの時はありがとうございました!よかったら、名前を教えてくれませんか?」
男は2人の声を聴くと転がるのをやめて2人をまじまじと見た。
そしてその2人が『カレーハンター』ロシに襲われていた2人だと知った男、60Bは笑顔で対応し始めた。
60B「ああ!君たちね!俺は60B!2人は?」
60Bは大針に激突した時の痛みを忘れたかのように2人と握手した。
采「私は采!よろしくね!65Vさん!」
saya「それで私がsayaです!よろしくお願いします!」
60B「よろしく…って采さん!俺は65Vじゃなくて60B!」
采は照れ隠しに笑っている。
しかしsayaはヴァルグランの戦況が気になっているようだ。
saya「どうしよう…ヴァルが負けちゃう…」
sayaの身体はフルフルと震えている。
また狂気が彼女に襲い掛かっているのかもしれない…
60B「なあ、ヴァルグランっていうのも仲間っぽかったけど、どっちが本物なんだ?黒い方か?なんか銀色っぽい方か?」
そんなsayaをしり目に60Bは姿の似た吸血鬼が2体いるためどちらがヴァルグランなのかの見当がついていない。
采「黒い方だよ?60Vさん」
60B「ありがとう…だーから『ビー』ね!『ヴィー』はダメだから!『ヴィー』は禁句!」
60Bは采に注意する意味合いを兼ねて胸の前でバツ印を作った。
その時だった…
ヴァジェ「グッ…!!?」
ヴァジェスタスの動きが鈍り、苦しみだした。
いきなりの行動にヴァルグランも戸惑っているようだ。
ヴァジェ「非、非常識な…私の前でそのようなことを………!」
ヴァルグランはヴァジェスタスの苦しみようを見て辺りを探った。
そこには必死にバツ印を作っている60Bの姿があった。
ヴァル『…そうか!その手があったか!』
ヴァルグランは60Bを見て閃いた。
60Bはなおもふざける采にバツ印をかかげている。
ヴァル「おいお前!」
60B「はいぃ!!?」
急に自分が呼ばれたので60Bの声は裏返っている。
ヴァル「そのバツ印を少し回転させて十字架の形としてこの銀髪吸血鬼に見せつけろ!采!saya!お前らも手伝え!」
采・saya「あ、はい!!」
采・saya・60Bはそれぞれ胸の前で十字架のように腕をクロスさせた。
するとヴァジェスタスは更に苦しそうな声をあげる。
ヴァジェ「ウガアアアア!!!やめろ!!!やめてくれ!!!非常識だぞ!!!」
ヴァル「残念でした。これも立派な戦略なんでね…」
ヴァルグランはとどめと言わんばかりに自分も腕を十字にクロスさせて、ヴァジェスタスの目の前に突き出した。
ヴァジェ「ウァアアァァァアァア!!!グオッ…コウナッタノモアノオトコノセイカ…!!!ヒジョウシキデオロカナニンゲンブゼイガ…!!!」
ヴァジェスタスは60Bに狙いを定め、飛びかかってきた!
60Bはその突進を受け止めようとするがその圧倒的な力に押されかけている!
ヴァジェ「ニンゲンゴトキガキュウケツキニカナウワケガナイ!!!ソレガジョウシキダアアアッ!!!」
ヴァジェスタスの目にはもはや狂気しか残っていない。
60Bは吹き飛ばされそうになりつつもまだ彼の突進を耐え抜こうともがいている。
采「60B!」
ヴァル「おいおい…相手は俺のはずだろ?そこのお前、吹っ飛んででもいいからそのいかれたヤツをこっちに寄越しな」
ヴァルグランの催促に60Bは心が折れかけた。
「吹っ飛んででもいいから」これが彼にとって大いに傷のつく言葉となっていたのだ。
自分が何度空中に飛ばされていたか…あれは最早思い出したくもなかった…
60B「俺は…」
しかし彼の目には、いつもは見せない本気の色が見えていた。
60Bは足に力を入れるとヴァジェスタスを押し返し始めた!
ヴァジェ「ナンダト!!?」
60B「俺は…二度と空中になんざ飛ばされてたまるかあっ!!!そーいやあああっ!!!」
60Bはプロ顔負けの一本背負いでヴァジェスタスを地面に叩き付けると、その顔面を打ちつけたまま元々の相手であるヴァルグランに彼を返した。
ヴァル「上等!」
ヴァジェスタスは納得のいかない顔をしているように見えた。
ヴァル「一つ言ってやる…世の中に常識なんざ存在しないんだ…だが、お前の言った常識、一つだけ合ってるぜ…」
ヴァジェ「…?」
ヴァル「弱い者は何年経っても弱い者…つまり、お前だったということだ…」
ヴァジェスタスは負けを悟ったようでそっと目をつぶった。
そこには笑顔のような清々しい表情にも見えた…
ヴァル「じゃあな…兄貴…」
ヴァルグランは自分のレイピアでヴァジェスタスを一突きした。
ヴァジェスタスは光となって消え去って行った…
采「勝った…勝ったんだ!」
saya「わーん!よかったよー!!!」
ヴァルグランは喜んで駆け寄ってくる2人をひらりとかわし、60Bのもとに歩み寄った。
采「にゃー!!!」
後ろで采とsayaがぶつかったようだ。
ヴァル「お前、なんでヤツが十字架に弱いとわかったんだ?」
60B「え?それは…その…まぐれってやつで…アハハ…」
ヴァルグランは彼の思ってもいなかった答えに内心驚いていた。
てっきり、吸血鬼は十字架に弱いというイメージからきたものだとすっかり思い込んでいたからだ。
ヴァル「ククク…ハッハッハッハッハ!」
ヴァルグランは大声で笑った。
采とsayaは大声で笑うヴァルグランを見たことが無かったので驚いて彼を見ている。
60B「え?何?何?俺変な事言った!!?」
ヴァル「お前、面白え奴だな!奇跡だぜ!はあーあ…結局俺自身もイメージに捕らわれていた奴だったか…しかしまぐれとはな!ハッハッハッハ!久々に見たぜそんな面白え奴は!」
60B『な、なんなのこの人ー!!?』
60Bは気づいていないようだったがヴァルグランは彼を気に入ったらしい。采とsayaも同じだった。
それを草むらで見ていたキラとビーは…
ビー「…彼も対象に入っちゃったなあ」
キラ「何のだ?」
ビー「『処罰対象』さ。ここに隊長がいたら、一網打尽だよきっと…」
キラにはさっぱりわからなかったがビーの怯えようからその隊長はさぞかし恐ろしい人物なのだろうと考えるのだった…
さらにその奥では…
??1「対象は4人。その手前に2人待機の様子。一気に潰しにかかるぞ…」
??2「お任せを…こちらの準備は完璧です」
??1「了解…さてと……『共闘狩り』を開始する!」
『風のエリアにて30番脱落(24番)』
『氷のエリアにて9番脱落(12番)』
『光のエリアにて78番脱落(66番)』
『闇のエリアにて92番、95番脱落(51番)』
『闇のエリアにて42番脱落(25番)』
~闇のエリア~
ラリカ「まったく!人の食事中に襲い掛かってくるから悪いんだからね!もちろん石は貰っておいたよ?42番の人♪」
~風のエリア~
ビー「そういえばソーラーパネルってハエの眼から考え出されたって噂を聞いたよ!」
キラ「流石に嘘だろ…」




