↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かわいいって言うな  作者: 灯屋 いと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/18

多数決

「次のホームルーム、学祭の出し物決めだっけ? 俺、寝てるわ」

「伊吹、いいのかー? なんになっても知らねえぞ」

「いいよ。どうせ大して関係ないじゃん」

 ぱたぱたと手を振って伊吹はそのまま目を伏せた。ちょうど予鈴が鳴り、クラス委員が前に立ち「じゃあ、今年の学祭の出し物を決めたいと思いまーす!」と宣言した。

 うとうととクラスの喧騒を聞きながらまどろんでいると、伊吹は背中をバシバシと叩かれ起こされた。

「なに」

「いやー……さすがにこの展開はお前、大して関係なくないんじゃね? 出し物、執事&メイドカフェに決まった。いや、お前が完璧にかわいくなるのは目に見えてるんだけど、餌にされんぞ」

「え。なにそれ。やだ。絶対やんない。いーじゃん、執事で。女子がメイドした方がかわいいって」

 せっかくのまどろみから叩き起こされ、伊吹はぼそぼそとした声で返事すると再び突っ伏した。しかし、クラス委員の女子に「神谷!」と名指しされ、伊吹は渋々顔を上げた。

「……なに」

「神谷さー、メイドしない? 絶対に合うし客寄せにもなると思うんだよねー」

 健吾が予言したとおりになった。クラス委員の女子は一ミリの悪気もなく笑っている。クラスの連中は伊吹を「かわいい」ということを誉め言葉だと思って疑わない。伊吹がいくら「嬉しくない」「やめろ」といっても照れている程度にしか受け取っておらず、本意は少しも伝わらないのだ。

「絶対にいや。なんで俺だけ女装しなきゃなんないんだよ」

「似合うしかわいくなるから!」

 拒否しても、自信満々のクラス委員の一言に伊吹はそれ以上反論ができなかった。

「いーやーだ」

 伊吹が意地になって拒否すると、だいたいこの手の話は分が悪い方へと向く。

「じゃ、民主的にいこっか。多数決。それなら神谷も文句ないでしょ?」

 そんな提案をされ、伊吹は口を噤んだ。

 物は言いようとはよく言うが、数の暴力に伊吹一人が勝てるはずがない。

「伊吹。これは完全にお前の分が悪いぞ。出し物決めるときに寝てただろ。俺忠告したかんな」

 前の席から苦笑いした健吾が言ってくる。

「だからってなんで俺だけ女装メイドなんだよ。むかつくー」

 伊吹が机の上に伸びながらふてくされて文句を言った。

 その後もホームルームはメイド役、執事役と裏方を分けていく話に話題が変わっていった。伊吹は居眠りの続きをしようとして要がクラス委員に強引に執事側に配置されているのを聞いていた。顔だけはいいのだ。目つきがやたらと悪いだけで。要は「あー……」といっただけで反応は薄かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。