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【天使】養殖・第三話(11)

作者: AMAKA

 その言葉に、【天使長】はつらそうに黙りこんでよる。


【天使長】の嫁は、さっきから「海ヨ……海よ!」て【準奇跡】無駄撃ちしてる少女へ笑みを転じ、


「無理どす。無理ンジュえ。あんたらではうちに勝てん。いま起きてることは『正統の復活』『王の帰還』どす。これこそ、あんたら『芝居人間』の大好物ンジュえ? この土地はうちがもらう! うちの領土え! いかに【後アトラン】の【神女皇帝】さまでも止めることはかないまへンジュ!」


「ふはっ。誰が止めるそかり、こんなおもろい見世物!」


 吹き出した【神女しんにょ】に【天使長】が目えむいてうろたえ、


「おもろいことおまっかいな【神女】はん……! わてらほんまにこの土地見捨てなあかんようになりまんがな……!」


 声かすらせて訴えよるんを無視して【神女】は続けた。


「ほめてやらむ! なむちあれをここまで喜ばすとは! 思い至れそかり、この国の昨今の急激なインフレと、その『まことの目的』を! 物価高騰の被害を最も受くるは日々の生活から最もかけ離れた支出、すなわち『旅行』『移動』ぞ。国内の行き来が極限まで制限された果てに起こるは『藩制時代の再現』そかり。『脱藩』は藩命ではなく口座残高によって禁ぜられる。【始天使アヅマエル】とやら、汝の【準奇跡】がいかに力を発揮しようと、その波及効果は一極地方の範囲をけっして越えぬそかり。ならば電波で? デジタルで? いな、【超準語】は肉声でのみ効果をもつ脆弱なる技術! 汝はこの狂いゆく『一極藩』で『笑いものの女王』として君臨するしかないのそかりぞ。……存じおるそかりか、この一見遠回しなインフレ策をそもそもたれが企画したか?」


 笑って、


「【天使長】ぞ! 汝は吾どころか汝が捨てた夫にも敗北したのそかり!」(『【天使】養殖・第三話(12)』に続)

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