表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら伝説の育児師になってた件~現代育児知識で異世界の子供たちを最強に育てます~  作者: ならやまわ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/27

6.俺のスキル

あれから、1ヶ月が経った。

朝、窓から差し込む日差しを浴びながら、俺は育成院のキッチンでステータスを確認していた。


-----


【育児実績】


- この世界での育成人数:1人(進行中)

- 育児経験値:185/200

- 育児師レベル:Lv.2


【保有称号】2個


【アリア・フォンブラウン 成長記録】

育成期間:1ヶ月と1週間

現在の状態:良好


-----


「1ヶ月か…早いな」


ステータス画面を眺めながら、ふと思い出す。

1週間前、育児師レベルが2に上がったときのことを。

あのとき、俺は初めてスキルへの追加効果付加というものを知った。


-----


【1週間前の回想】


深夜、アリアを寝かしつけた後。

レベルアップの余韻に浸りながら、新しく解放された機能を確認していた。


-----


【新機能解放】

スキル追加効果付加システムが利用可能になりました

保有称号の数に応じて、スキルに追加効果を付加できます

※ 付加回数が増えるごとに、必要な称号数が増加します

※ 称号は消費されません


現在の保有称号:2個

1回目の付加条件:称号2個以上(達成)

2回目の付加条件:称号7個以上(未達成)


-----


「称号の数…?」


俺は称号リストを開いた。


-----


【保有称号一覧】


1. **「初めての食事」**

- 取得条件:初めて子供に食事をあげた


2. **「成長の目撃者」**

- 取得条件:子供の初めての魔法発動を見届けた


-----


「2個…ギリギリだな」


ちょうど、1回目の付加ができる数だ。

でも、2回目の付加には7個必要になる。

あと5個も称号を集めなければならない。


「称号は消費されない…実績として残るのか」


つまり、真面目に育児をしていれば、称号は自然と増えていく。


「今は2個ある。1回は強化できるしやってみるか」


俺はスキルリストを開いた。


-----


【付加可能なスキル】


必要称号数:2個(現在:2個保有 - 条件達成)


**【育児眼ペアレント・ビジョンLv.2】**


▼ 追加効果候補A:範囲拡大

- 効果:同時に2人まで詳細情報を視られる


▼ 追加効果候補B:情報精度向上

- 効果:成長予測の精度上昇、潜在スキル候補表示


▼ 追加効果候補C:常時簡易表示

- 効果:視界内の子供全員の簡易情報を常時表示


-----


**【父の温もり(コンフォート・オーラ)Lv.2】**


▼ 追加効果候補A:範囲拡大

- 効果:半径5m → 半径10m


▼ 追加効果候補B:成長加速強化

- 効果:成長速度ボーナス +10% → +20%


▼ 追加効果候補C:体調回復

- 効果:軽度の体調不良を緩和


-----


**【愛情促進アフェクション・ブーストLv.2】**


▼ 追加効果候補A:発動条件緩和

- 効果:必要信頼度 50 → 30


▼ 追加効果候補B:効果強化

- 効果:開花速度 +20% → +35%


▼ 追加効果候補C:守護の加護

- 効果:危機察知・軽微な危険回避能力付与


-----


次回の付加条件:称号7個以上(現在2個 - あと5個必要)


-----


「…悩むな」


どれも魅力的だ。

でも、今の俺に一番必要なのは…


「アリアの成長速度だ」


ペルカとの対決まで、あと3ヶ月を切っている。

限られた時間で、アリアを最大限成長させなければならない。


「決めた」


俺は、ひとつの選択肢を選んだ。


-----


【追加効果付加】


スキル:父の温もり(コンフォート・オーラ)

追加効果:成長加速強化


付加しますか? → はい


-----


【付加完了】


父の温もり(コンフォート・オーラ)に追加効果が付与されました


**成長速度ボーナス:+10% → +20%**


保有称号:2個

次回の付加条件:称号7個以上


-----


【父の温もり(コンフォート・オーラ)Lv.2】

- 効果:半径5m以内の子供に安らぎを与える

(泣き止む・よく眠る・**成長速度+20%**・情緒安定)

- 範囲:半径5m

- 消費:なし(常時発動)

- 追加効果:成長加速強化


-----


「よし…これで、アリアの成長が加速する」


称号は消費されていない。

2個の実績は、そのまま俺の中に残っている。


「次は7個か…あと5個、称号を集めないと」


それまでに、どんな実績を積めばいいのか。

考えるだけで、少しワクワクした。


-----


【回想終わり】


「あれから1ヶ月…効果は、予想以上だった」


成長速度+20%。

その効果は、アリアの全てに表れている。

言葉の習得、魔力の制御、運動能力。

全てが、驚異的な速度で伸びていった。


この1ヶ月、俺は毎日アリアと向き合い続けた。

朝の体操、散歩、知育、魔力訓練、食事、お風呂、寝かしつけ。

その全てが、アリアの成長に繋がっている。


「ぱぱ、おはよー!」


元気な声が聞こえて、振り向く。

アリアが部屋から出てきた。

1ヶ月前とは、別人のようだった。


「おはよう、アリア」


「今日は、なにするの?」


流暢に話す。

以前は片言だったのに、今では普通に会話ができる。

身長も少し伸びた。頬もふっくらとして、健康そのものだ。


「そうだな…午前中に公園に行って、午後は魔法の練習だ」


「やった!まほう!」


アリアの目が輝く。

そう、アリアは今、簡単な魔法が使えるようになっている。


「じゃあ、まず朝ごはんにしよう」


「うん!」


アリアが椅子に座る。


その動作も、以前よりずっとスムーズだ。

バランス感覚、運動能力、全てが向上している。

俺はキッチンで朝食を準備しながら、この1ヶ月を振り返った。


**1週間目**


基礎的な育児を徹底した。

食事、睡眠、運動、知育。

毎日同じルーティンを繰り返す。

アリアの言葉が少しずつ増えていった。


「ぱぱ、すき」「ありがとう」「おいしい」


そのたびに、胸が温かくなった。

すると視界にメッセージが表示された。


-----


【称号獲得!】


称号:**「信頼の証」**

取得条件:子供から家族として呼ばれた(「ぱぱ」「まま」)


保有称号数:2個 → 3個


-----


「3個目か…」


称号が増えていく。

それは、アリアとの絆が深まっている証でもあった。



**2週間目**


魔力の基礎訓練を本格化。

呼吸法を毎日30分。

アリアは真剣に取り組んだ。


**3週間目:**


運動能力が飛躍的に向上。

走れるようになり、階段も一人で登れるようになった。公園で他の子供たちと遊ぶ姿は、もう完全に健康な子供そのものだった。


ある日、公園で同じくらいの年の女の子と仲良くなった。


「あそぼ!」


「うん!」


2人で手を繋いで走り回る。

その姿を見て、俺は安堵した。

社会性も、ちゃんと育っている。


-----


【称号獲得!】


称号:**「社会性の芽生え」**

取得条件:子供が他の子供と友達になった


保有称号数:3個 → 4個


-----


近所の人々も、驚きの目で見ていた。


「あの子、本当に1ヶ月前と同じ子…?」


「信じられない…」


そして、ちょうど1ヶ月が経った日。


-----


【称号獲得!】


称号:**「献身の日々」**

取得条件:同じ子供を30日間連続で育てた


保有称号数:4個 → 5個


-----


「5個…あと2個で、次の強化ができる」


称号は、確実に増えている。



**4週間目:**


知育が大きく進んだ。

数を10まで数えられるようになり、簡単な足し算もできるようになった。

色も10種類以上認識できる。

絵本を読むと、内容を理解して感想まで言えるようになった。


「うさぎさん、かわいそうだったね」


「どうしてそう思ったんだ?」


「だって、おうちがなくなっちゃったから」


感情の理解、共感能力。

全てが、驚異的な速度で成長している。


【ーーー振り返り終わり】



朝食を食べ終えると、俺はアリアに声をかけた。


「よし、じゃあ公園に行こうか」


「うん!」


外に出ると、近所の人たちが声をかけてきた。


「おはようございます、イクメンさん」


「アリアちゃん、今日も元気ね」


「ええ。元気すぎて、こっちも負けてられないです」


1ヶ月前とは、まるで違う。

以前は冷たい視線ばかりだったのに、今では皆が笑顔で挨拶してくれる。

そしてなにより変わったことが…。


「あの、イクメンさん」


中年の女性が声をかけてきた。


「はい、何でしょうか?」


「うちの息子を、数時間だけ預かっていただけないでしょうか?」


「預かり、ですか?」


「ええ。今日、どうしても外せない用事があって…でも、息子を連れていけなくて」


女性は困った顔をしている。


「分かりました。お預かりします」


「本当ですか!ありがとうございます!」


女性は安堵の表情を浮かべた。

これで、3件目の短期預かり依頼だ。

1ヶ月前は誰も信用してくれなかったのに、今では依頼が来るようになった。

アリアの成長が、何よりの証明になっている。


-----


【称号獲得!】


称号:**「近隣の信頼」**

取得条件:預かり依頼が3件以上になった


保有称号数:5個 → 6個


-----


「ぱぱー!はやくー」


公園に着くと、他の育児師たちがいた。

皆、女性だ。

以前は俺を見ると、露骨に距離を取っていた。

でも、今日は違った。


「あら、イクメンさん」


一人の育児師が声をかけてきた。


「おはようございます」


「アリアちゃん、本当に成長しましたわね。1ヶ月前とは別人みたい」


「ありがとうございます」


「どんな育児をされてるんですか?私も教えていただきたいわ」


他の育児師たちも、興味深そうに聞いてくる。


「そうですね…まず、毎日ステータスを確認して、その子に最適な訓練を」


「ステータス…?」


育児師が首を傾げた。


「え?ほら、子供の才能とか体調とか、ステータス画面で見えるでしょ?」


「ステータス画面…って、何ですの?」


他の育児師たちも、同じように困惑した顔をしている。


「…え?見えませんか?」


「何が見えるんですの?」


「子供の才能とか、成長予測とか…」


「そんなもの、見えませんわよ?」


育児師たちが顔を見合わせる。


「才能を知りたければ、王立魔法測定所で検査するしか…」


「あれ、高いですものね。50シルバーもかかるし、結果も曖昧だし」


「そうそう。『魔力は平均より少し上』とか、そんな程度しか分からないのよ」


俺は、じわりと理解し始めた。


「(まさか…ステータス画面が見えるのって、俺だけ…?)」


「イクメンさん?どうかなさいまして?」


「あ、いえ…すみません、何でもないです」


俺は慌てて話題を変えた。


「あの、皆さんは育児師として、どんなスキルをお持ちなんですか?」


「スキル?ああ、私は『包容エンブレイス』ですわ。抱っこすると、子供が少し落ち着くの」


「私は『子守唄ララバイ』。寝かしつけが少し早くなるわ」


「私のは『着せ替え(ドレッシング)』ね。着替えが少し楽になるの」


どれも、補助的なスキルばかりだ。

才能を見たり、成長を予測したり、そんなスキルは誰も持っていない。

…俺のスキルは、この世界では異常なのか?

言われるまで気が付かなかった。

前の体の持ち主の記憶を辿ってみるが…。




ーーーステータス画面のことは出てこない。

つまり、これは転生特典みたいなものか?

だから、俺は子供の才能が一瞬で分かるのか。

彼女達の言うことが本当なら、この世界の育児師は才能が見えない状態で育ててるということだ。

それじゃあ、表面的に才能がある子しか見つけられない。平凡な子は、見過ごされてしまう。


「…なるほどな」


ペルカが英才教育に特化している理由も分かった気がする。才能が見えないから、最初から才能がある子を選んで育てる。それしか、方法がないのだ。


ーーーでも、俺は違う。


育児眼があれば、隠れた才能も見つけられる。

平凡に見える子でも、可能性を引き出せる。


「あのー、イクメンさん?」


「…あぁ!すみません、少し考え事をしていました」


「あら大丈夫ですか?お疲れなんじゃ?」


「いえいえ!大丈夫ですよ」


俺は笑顔を作った。

でも、心の中では、自分の能力の異常さを理解するのでいっぱいだった。



だが同時に少しずつ、認められ始めていることも実感していた。男の育児師への偏見は、まだ完全には消えていない。でも、アリアの成長が、少しずつ人々の心を変えている。


「ねーねー!」


アリアは他の子供たちに話しかけていた。


「あそぼー!」


「うん、あそぼ!」


どんどん友達が増える。

笑顔で走り回る姿を見ていると、ふと前世の娘の姿が重なる。今頃、兄ちゃんたちと元気にやってるかな。胸が少し痛む。

でも、ここにはアリアがいる。


この子を、全力で守る。

それが、俺の使命だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ