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転生したら伝説の育児師になってた件~現代育児知識で異世界の子供たちを最強に育てます~  作者: ならやまわ


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5.スキルアップ



午後、アリアが起きると、魔力の基礎訓練を始めた。


「アリア、今日は特別なことを教えるぞ」


「とくべつ?」


「うん。魔法の練習だ」


「まほう!」


アリアの目が輝く。

この世界では、魔法は憧れの対象だ。

俺も魔法の仕組みはよく分かってないが、最低限の知識は転生した時点で備わっていた。


「魔法を使う前に、大事なことがあるんだ」


「なに?」


「集中すること。そして、体の中の力を感じること」


俺はアリアを座らせて、自分も向かい合って座る。


「目を閉じて、ゆっくり息を吸って…」


「すー…」


「そして、ゆっくり吐いて…」


「はー…」


呼吸法。

これは魔法の基本でもあり、集中力を高める方法でもある。前世でも、子ども落ち着かない時に、一緒に深呼吸をしていたっけな。


「いい感じだ。もう一回」


何度か繰り返すうちに、アリアの呼吸が安定してくる。


「次は、目を閉じたまま、体の中を感じてみて」


「からだのなか?」


「うん。何か温かいものが、あるかな?」


アリアは真剣な顔で、じっと集中している。


「…ある!」


「本当か?どこにある?」


「ここ!」


アリアは自分の胸のあたりを指差した。


「それが魔力だよ。アリアの中にある、大事な力」


「まりょく…」


「そう。これから、少しずつその力を大きくしていこうね」


「うん!」


まだ2歳。本格的な魔法は使えない。

でも、魔力の感覚を掴ませることはできる。

これが、将来の才能開花に繋がると信じて。


【経験値+5獲得】



夕方、雨が止んだので、少しだけ外に出た。


「ぱぱ、おそと!」


「ああ、でも水たまりがあるから、気をつけてな」


アリアは俺の手を握りながら、嬉しそうに歩く。

雨上がりの空気は、清々しい。


「見て、虹!」


アリアが空を指差す。

確かに、薄く虹がかかっていた。

ふと死ぬ前にみた虹が頭によぎった。

あの時見た虹も今の虹も綺麗なのは変わらなかった。

生きる世界が変わっても、変わらない美しさはあるんだなと改めて実感した。


「きれいだな」


「きれい!」


こういう何気ない経験も、子供の感性を育てる。


「アリア、あそこに花が咲いてる」


「あー!かわいい!」


「綺麗だね。何色か分かるかい?」


「あか!」


「すごいな!正解。じゃあ、あっちの花は?」


「きいろ!」


色の認識も、遊びながら学べる。

2人で家に帰るまで、それをやりながらすごした。

散歩から帰ると、夕食の準備に取りかかる。

アリアは目の届く範囲で遊んでもらっていた。

お気に入りの絵本を眺めている。

なんて微笑ましいのだろうか。


「さてと、やりますか」


【必要食】で出現した新鮮な野菜を使って、栄養満点のスープを作る。スピーディーに、だけど正確に。

俺がアリアに出来ることは限られている。

その出来ることを全うするのが俺の役目だ。


「いいにおい!」


「もうすぐできるからな」


夕食を食べ、お風呂に入り、寝かしつける。

忙しくて時間があっという間だった。

今日も終わろうとしている。


「ありあ、たのしかった…」


「そうか、良かった」


「ぱぱ、だいすき…」


「俺も、アリアが大好きだよ」


アリアは満足そうに目を閉じた。


【経験値+6獲得】


それからというもの、アリアと充実した日々が毎日のように続いた。

晴れた日には、市場に買い物に行き、公園で遊ぶ。

他の子供たちとも少しずつ交流させる。

社会性を育てるのも、大事な教育だ。

雨の日は、室内でじっくりと知育と運動。

毎日、朝から晩まで、アリアと向き合う。

食事、遊び、学び、睡眠。

その全てが、アリアの成長に繋がっている。


【育児経験値:98/100】



ある日の午後。


「ぱぱ、見て!」


アリアが両手を前に出す。

呼吸を整え、集中する。


「…できる、かな?」


「大丈夫、ゆっくりでいいから」


すると…ふわり、と。

アリアの手のひらに、小さな光の玉が浮かんだ。


「…!」


俺は息を呑んだ。

間違いない、あれは魔法だ。

魔法には適性があり、才能がある子でも5歳以降にようやく出せるのがこの世界での常識だ。不完全な形のエネルギーを球体にするのは簡単ではない。

だがアリアはたった2歳でそれをやってのけたのだ。


「すごいじゃないか、アリア!」


「えへへ…できた!」


アリアが嬉しそうに笑う。


その瞬間、視界にメッセージが表示された。


-----


【称号獲得!】


称号:**「成長の目撃者」**

取得条件:子供の初めての魔法発動を見届けた


保有称号数:1個 → 2個


-----


称号なんてどうでもいい。

今はアリアを抱きしめる。


「アリア、本当にすごいぞ」


「ぱぱも、すごい!」


アリアが抱きついてくる。

その温もりを感じながら、アリアの成長を見れた感動で涙が溢れて止まらなかった。


【経験値+5獲得】

【育児経験値:98/100】





その日の夜、アリアを寝かしつけた後、ステータスを確認している時だった。


アリアが横で寝言を言った。


「ぱぱ…だいすき…」


温かいものが胸に広がった。

なんて、愛おしいのだろうか。


【経験値+2獲得】

【育児経験値:100/100】


ーーーその瞬間、視界が光に包まれた。


【レベルアップ!】

【育児師 Lv.1 → Lv.2】


【全スキル レベルアップ!】


- 育児眼ペアレント・ビジョンLv.1 → Lv.2

- 父の温もり(コンフォート・オーラ)Lv.1 → Lv.2

- 愛情促進アフェクション・ブーストLv.1 → Lv.2


【新機能解放】

スキル追加効果付加システムが利用可能になりました。


【育児経験値上限増加】

次のレベルまで:0/200


「レベルアップした…!」


体の中に、力が満ちていく感覚。

スキルの効果が強化され、視界がクリアになる。


「これが、レベル2か…」


窓の外を見る。

夜空に、星が輝いていた。


「…まだ始まったばかりだ」


ペルカとの勝負まで、まだまだ時間がある。


「全力で、アリアを育てる。そして、この世界に証明してみせる…育児の、本当の価値を!」


俺の決意は、さらに固まった。


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