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プロローグ


「お父さん、学校遅刻しちゃうよー!」


娘の声で我に返った俺は、慌てて玄関へと向かった。


朝の7時半。いつもの時間、いつもの光景。8歳になる娘のミサキと一緒に家を出る。途中まで通勤するのが、俺の日課だった。


「はいはい、今行く」


シングルファーザー歴8年。妻は娘を産んですぐに亡くなった。双子の息子たちは今年18歳。大学に通いながらコンビニでバイトもして、本当によく頑張ってくれている。


「兄ちゃんたち、今日もバイトなの?」


「ああ。朝の品出しがあるから俺達も行かなきゃ」


双子の長男が、娘の頭を撫でた。


「ミサキ、父さんの言うこと聞くんだぞ」


次男も優しく微笑む。こいつらは本当にいい子に育ってくれた。妻がいなくても、俺たち4人は何とかやってこれた。それが俺の誇りだった。



「父さん、あれ見て!」


横断歩道の手前で、娘が空を指差す。


「虹だ!きれいだね!」


「本当だな。ミサキが喜んでくれて、母さんも嬉しいだろうな」


娘の笑顔を見ながら、俺は心の中で妻に語りかける。

おい。見てるか?ミサキはこんなに大きくなったぞ。


青信号に変わった。


「よし、渡ろうか」


娘の手を握って、横断歩道に足を踏み出した。


その時だった。


「危ないぞ!」


誰かの叫び声。


視界の端に映ったのは、猛スピードで突っ込んでくる大型トラック。


ブレーキの音。


間に合わない。

せめて娘だけでも!


考えるより先に、体が動いていた。

娘を突き飛ばす。自分の体がトラックの前に。


(ドガッ)


鈍い衝撃。


空が回る。


地面に叩きつけられる感覚。


「お父さん!!!」


娘の泣き叫ぶ声が遠くなる。

良かった…ミサキは無事か…。


視界がぼやける。体が冷たくなっていく。

遠くで誰かが俺に駆け寄る音。救急車のサイレン。


息子たち…すまない。娘を…頼んだぞ…。


娘の笑顔が脳裏に浮かぶ。息子たちの顔。妻の顔。


みんな…ありがとう…。

初めまして!この物語は、ベビーシッターならぬ「育児師」が異世界で子供たちを育てる成長譚です。

バトルよりも、子供たちの成長と主人公の奮闘を描いていきます。

温かく見守っていただけると嬉しいです!

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