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酸いも甘いも

作者: 歌川 詩季

 ほんと、ことわざ好きね。

 明日(あす)は我が身の(いまし)めで

 変わる世界でもあるまいし

 のどもと過ぎた煮え湯も腹に

 届くころにゃぬるいのさ


 口に(にが)いほどいい薬だとは

 ヤブ医者どものへたくそなロジックだね


 ()いを()けて 甘いを(かじ)

 おまえが振りかざすものは(かしこ)さか (さか)しさか

 どちらか見抜く(すべ)もないおれたちじゃ

 こまかいことは言いっこなしでいこうぜ



 勝って締まるは兜の緒

 そこで(おご)(たかぶ)るのなら

 自分の首を()めるとなるが

 ()りるようなタマじゃねえさ


 耳に痛い言葉は黄金(おうごん)とは

 説教好きのでたらめなこじつけだよ


 (とげ)()けて 蜜をすする

 あんたが振り乱すものは(ずる)さだか (こす)さだか

 どっちか(さば)く杖もないおれたちじゃ

 ささいなことは恨みっこなしにしようぜ

「老いも若きも」とかも好き。


挿絵(By みてみん)

制作:ひだまりのねこ先生

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