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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

枯れた花びらの落ちた先

作者: ねこもち

 本作品は少し重い内容になっています。もし本作品を読んでいる最中に気分が悪くなったり、辛くなったら迷わずサイトを閉じることを推奨します。自分のメンタルを最優先でお読みください。


 それではどうぞ。

 もし、眠っている間に死ねるなら僕は幸せになれるだろうか。


 そんなことを目が慣れて見えるようになった天井の電球を見ながら思う。暗闇が僕を思考の世界に連れ去って睡眠から突き放す。死にたいとは思わないけど、生きることに執着があるわけでもない。生と死の境界が曖昧で、少しどうでもいいと思ってしまう。でも誰かが死ぬのは嫌で、知らない誰かが死んだニュースで喉が詰まる。誰かにそんな思いをさせたくないから生きている気もする。それなのにもし僕が死んだらひどく悲しんで欲しいと思うのはきっとわがままなんだろう。

 空が白んでいる。今、世界で一番心が死に近づいている気がする。


 まな板で何かを切る音が聞こえる。お腹が空いた。でも誰とも目を合わせたくなくて、窓越しの空を眺める。世界は動いている。なのに僕は進んでなくて、世界から切り離された気分になる。

 この空は好きだけど、外を見るのは嫌いだ。


 テレビを見ながらご飯を食べる。番組が終わって、ニュースが流れたからチャンネルを変える。ニュースは苦手。悲しかったり、考えたり、感情が揺さぶられてしまう。そういうニュースほど必要なもすのだとわかっているけど、今の僕に受け入れることはできない。だから避けている。

 わざわざ傷つく選択肢を取る必要性は、今の僕にはないんだろう。


 ご飯を食べ終えて、自分の布団に潜り込む。一気に体が重くなって、指一本動かすのに必要なエネルギーが数倍になった感覚になる。本当に体が動かないのか気になって最小限のエネルギーで指を動かす。体は重いのに頭は軽い。矛盾してるみたいな感覚に胸が高鳴る。

 好奇心が、脳を麻痺させる。


 結局動画を見ていたら昼になっていた。また寝れなかった。どうせ今寝てもお腹がすいて途中で起きるからご飯を食べる。別に甘いおかずをたべたことはないけれど、今日のおかずはしょっぱい。でも、それがおいしいのかはわからない。味を感じないわけではないけれど、味を感じてもなにも思わなかった。だからおかずが足りなくなったお米に塩をかけて食べた。

 水が欲しくなる。


 ご飯を食べ終わって、テレビを見ている。吐き気を伴う眠気が瞼を閉じさせる。脳が瞼を開けさせる。睡眠は布団でするものという先入観が睡眠を阻害する。テレビの内容は頭に入っていない。思考だけ違うところにいるみたいだ。ソファーにもたれかかった体が溶けていく。重力が軽くなって、物体との接触が薄くなる。まるで幽体が空間に溶けていくようで楽しくなる。このままにしたらどうなるのか気になって、放置してみるが、一通り溶けきったところで我に返された。そこで寝なきゃいけないことを思い出して、歯磨きをする。

 ルーティンが不眠を悪化させている気がする。


 布団に潜ったころにはもう夕方と言っても差し支えのないような時間で、罪悪感がべっとりと張り付く。毛布を頭まで被って視界を暗くする。暖かさと薄く広がる恐怖が体を包みこむ。瞬きで眠れそうなほどの眠気に身を任せて無理矢理目を閉じる。沈みゆくように眠りに落ちていく。

 きっと今日も悪夢だ。

 お読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字等教えていただけるとありがたいです。

 よろしければブックマーク、評価、感想など、気軽にしていってください。


 最後に皆さんの生死を預かる覚悟はないのでこれだけ書かせてください。


 あなたの行く先に心からの笑顔がありますように。

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