溺れたっていい
カキーン!!!!
グラウンドに響き渡る金属音。
大和が渾身の力を込めて放った打球は、美しい弧を描き、ホームランとなった。
歓声が爆発し、校庭全体が熱狂に包まれる。
私も、声を嗄らして彼の名を呼んだ。
私は、確かに変わり始めている。
孤独を埋めるための、あの宇宙人との夜は、もう遠い過去の出来事だ。
勉の温かい愛と、美咲と大和の揺るぎない友情が、「青春」という鮮やかな文字となって、私の心の隙間をゆっくりと、けれど確実に埋めていく。
まだ、根無し草のクラゲかもしれない。
それでも、勉の手を握るたびに、冷たい触手が、温かい人間の手に変わっていくような気がする。
「お前がクラゲなら、俺がどこまでも連れて行ってやるよ。どんな深い海だって」
「ふふ、勉って泳げるの?」
「溺れたっていいさ」
秋の優しい風が、図書室の窓をそっと揺らす。
愛と友情の光を浴びて、クラゲの私は、未来という名のまだ見ぬ海へと、確かに流れていっている。
全てを解決しなくてもいい。
未完成で、不確かでも、私達の持つ希望は、明日へと進むための確かな力となるから。
これにて完結!ありがとうございました。
後日談や、勉視点での話をこれからも書く予定ですので、ブックマークしてお待ち下さい。
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