あいつのきもち
数日後、校庭で大和と会った。
野球部の練習後、彼は汗だくでベンチに座ってる。
「よ、夕凪! なんか最近、考え事してんな? 新開と何かあったか?」
そのニヤニヤした笑顔に、ドキッとする。
「え、なんでわかるの?」
「ハハ、顔に出てんだよ。でさ、夕凪、新開のこと、どう思ってんの?」
「わかんない……好き、なのかな。でも、最低なやつなのに、いいのかなって」
「夕凪ってめっちゃいいやつじゃん。まあ、いいや。新開の話、してやるよ」
彼は少し照れながら、話し始める。
「新開さ、夕凪のこと、塾の窓から見たときから、めっちゃ気になってたんだって。駅前のコンビニで、夕凪が変なやつらと一緒にいたとき。俺と美咲もいたけど、新開、夕凪のこと、ガン見してた。学校でも。」
胸が締め付けられる。
「新開くん、私のこと、そんな前から?」
「マジだよ。あとさ、新開、バスケ部のケガ、実はとっくに治ってんだ。なのに、図書室で勉強とか言って、サボってる。なんでだと思う? 夕凪と一緒にいるためだよ。あいつ、夕凪のこと、めっちゃ好きだから」
頭が真っ白になる。
新開くん、私を、そんな風に?
大和は真剣な目で、続ける。
「新開、ああ見えて、ぜんぜん完璧じゃねえよ。頭いいけど、めっちゃ不器用でさ。夕凪のこと、好きすぎて、黙ってたり、キツく言ったり。俺、アイツのこと、応援してんだ。付き合えとか、押し付ける気ねえけど、夕凪、新開が夕凪を大好きだってこと、わかってやってくれ」
新開くん、私を、ずっと見ててくれたんだ。
クラゲの触手が、もっと光に近づく。
毒を持つ私でも、彼の光に触れていいのかもしれない。




