表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
漂流のシルエット  作者: 木里 いつき
本編 漂流のシルエット
17/33



「夕凪、待てよ!」

新開勉の声が、背中で響く。




校庭に逃げ出すように出ると、野球部の練習が終わった後だった。


大和がグラウンドの隅で仲間と笑ってるのが見える。


美咲の告白を思い出す。

彼も、ずっと前から私の宇宙人との夜を見てた。なのに、黙ってた。


大和が私に気づき、ニヤニヤしながら近づいてくる。


「よ、夕凪! なんか顔やばくね? どうした?」

その軽いノリに、少し胸の締め付けが和らぐ。


答える前に、勉が図書室から追いかけてくる。ティラノサウルスの威圧感が、校庭に影を落とす。


「夕凪、話聞いてくれよ!」

勉の声に、大和の目が鋭くなった。


「おい、新開、どうしたんだよ? 夕凪、泣いてんじゃん! 何したんだよ!」

大和が勉に詰め寄る。

猿の騒がしさが、今日は守るような力強さに変わる。勉は苛立ったように髪をかく。


「 夕凪が変なやつらと関わってるから、話しただけだよ! ほっとけないだろ!」


大和の顔が、みるみる怒りに染まる。

「ハァ? それで泣かせたのかよ? お前、頭いいくせにバカなんだな! 夕凪がどんな気持ちか、考えたことあんのかよ! 黙っとけって言ったのお前だろ! なのに、なんで今さらそんなこと言うんだ!」


その言葉に、勉が一瞬、言葉に詰まる。

大和の声が、校庭に響く。


「夕凪、よく知らねぇけどさあ。ずっと一人で頑張ってたんだぞ! お前が勝手に正義感振りかざして、傷つける権利ねえって!」


大和の怒鳴り声に、胸が締め付けられる。

私のこと、考えてくれてた?


騒がしいだけの猿だと思ってた彼が、こんな風に私のために怒ってくれるなんて。

涙が、またこぼれる。


勉は唇を噛んで、目を逸らす。

「俺は……ただ、夕凪が危ない目に遭うの、嫌だっただけだ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ