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漂流のシルエット  作者: 木里 いつき
本編 漂流のシルエット
12/33

しずけさが

昨夜のことが頭から離れない。

駅前の塾の窓から見下ろしていた村田大和——猿、斎藤美咲——羊、そして新開勉——ティラノサウルス。



あの三人の視線。

タコの宇宙人に肩を抱かれ、ホテルに向かうみじめな私を見た彼らの目。


軽蔑されてる。嫌われた。

なのに、なぜか足は図書室に運ばれる。


ドアが開く音。


振り返ると、勉が立ってる。

ティラノサウルスの威圧感。

でも、今日はメガネを外して、どこか疲れた顔。長い指で目をこすりながら、軽く笑う。


なんで、来るの。


見られたくないけど確かめたい。

昨夜の視線が、頭の中でリプレイされる。

タコの腕に抱かれた私を、彼はどう思ったんだろう。

軽蔑? 失望? それとも、無関心?

どの可能性も、胸をズキズキと痛ませる。


「よ、夕凪」


彼はいつものように軽く笑って、反対側の席に座る。私は目を逸らす。声が出ない。


知ってるよね。昨日のこと。


その恐怖が、胸を締め付ける。なのに、彼は何も言わない。

参考書を広げ、長い指でページをめくる。沈黙が、図書室を支配する。

クーラーの低い唸り声と、遠くの蝉の音だけが響く。



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