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第5話:子供同伴?






「主、ノートとペンをください」

「いいよ~はい、どうぞ!」


 白たまはお絵描きでもするのだろうか、おねだりしてきた。


 もちろん可愛い愛息子の願いだ、叶えてあげる。


 すると白たまはその辺のロープでノートとペンをまとめると、それを抱えて立ち上がった。


「さて授業に行きますよ、主」

「へ?」


 彼は授業の準備をしていたらしい。


「か、可愛い……?! でもごめんね。 教室には生徒しか入れないことになってるからさ。 お留守番しててくれるかな?」


 どんなに可愛い白たまの願いだろうと、ルールを破るのは良くないことだ。


「でも……僕が卵の時は一緒に学校も仕事も言ってたのに」

「いやあ、卵はセーフというか」

「じゃあ使い魔ということで」

「うーん……」



――――



――



「では授業を始めます! 使い魔くんも大人しくしててね!」

「はーい、先生」


 教室に黄色い悲鳴が上がる。


「可愛い~!!」

「尊すぎて辛い」


 結局連れてきてしまった。


 言葉巧みに詰められ、最後はうるうるおねだりに折れてしまったのだ。


「……主、主。 みなさんお優しいくて良かったですね!」


 白たまがこそこそ話すので耳を寄せると、彼はその可愛い声でそんあことを言う。 白たまの賢さを思うと、私はつい彼は計算してるのではと邪推してしまうのであった。


 それを機に私は、というか白たまはクラスの人気者になった。


 休憩時間になるとたらい回すように撫でられ、抱きしめられる。


「はーい、最後尾はこちらですよ~」


 恋人なら嫉妬で狂う状況だ。

 しかしなぜか白たまがちやほやされるのが嬉しくて、もっと色んな人に彼を好きになってもらいたい気持ち――布教するようなニュアンスが一番強いだろうか。


「あ、主~」

「ん~でもさすがに本人が嫌がるならいけないよね。 なんにせよキリがないし……すいません、次の授業があるのでこれで終わります!!」



 私たちが逃げ込んできたのは食堂だ。


 まだ昼前なので、人はまばらである。


「主~ひどいですよ!」

「いやあ、白たまの愛しさを一人で独占するのは世界に申し訳ない気分に駆られてしまって……」

「僕は別に主だけでいい……!! いや! 今のはわわわ忘れてください!」


(うむ、やはり白たまは至高である)


 顔を真っ赤にして照れる白たまをニヤニヤと眺めていたが、あまりいじめるのも可哀そうだろう。


「ごめんって。 お詫びになんか好きな物頼んでいいから……許して、ね?」

「はあ、まあいいですけど。 これは何ですか?」


 渡したメニューを見ながら白たまはフルーツとプリン、そして生クリームたっぷりのデザートを指して難しい顔している。


「これはパフェだね」

「パフェですか……なんだか美しい響きですね、これにします!」


 メニューの絵を見て目を輝かせる白たまは、素直でとても可愛い。


 何が美しいのか全く私には理解できないけど、可愛いから細かいことは気にしないのだ。


「いただきま~す!」

「はい、どうぞ!」


 そして注文したパフェを頬張る白たまの口元に付いたクリームを拭きながら、私はデザートよりも甘い時間を過ごすのであった。








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