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震度8  作者: そらのき
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4話「言いたいこと」

4話「言いたいこと」

気づくと夜になっていた。早苗がいない夜。いつも通話していた。学校の愚痴とか部活のこととか。もう話せる相手なんて…いない。いつも「おやすみ」って言っていたのに。もう当たり前のことも伝えられない。いつも一緒に登校する時に最初に言っていた言葉「おはよう」って言葉も。駄目だ。早苗のことを考えると辛くなってしまう。もう考えることはやめよう。



4階は無事ということが分かり、4階にある倉庫から布団をだし、それぞれ図書室、音楽室、理科室で眠ることになった。私は図書室で眠った。図書室には15人くらいが寝ていてその中にお父さんと坂本くんがいた。なぜ女子と男子を分けないのか、これを決めた人に言ってやりたい。私は目を閉じた。今日のことを思い出さないようにしていたが、目を閉じると思い出してしまう。そしてまだ涙が(こぼ)れる。


気づくと朝になっていた。どうやら私はぐっすり眠れたようだ。とりあえず坂本くんに「おはよう」と挨拶をする。また早苗が頭をよぎる。そしてまた涙が零れる。私は挨拶をするごとに涙を流さないといけないのだろうか。私は生徒手帳から元カレのプリクラを取り出す。屋上から水の中に投げ捨てる。もう何も思い出したくない。だから私はポケットに入っていた財布、メガネケース、生徒手帳を続いて投げ捨てる。その時左ポケットにメガネケースの他にもう1つ本のようなものが入ってることに気がついた。それは私が今日の2時間目の休み時間、読もうとしていた本だった。この本には世界の全ての事が沢山書かれている。たとえば「安楽死の方法」とか「人と仲良くする方法」とか。私は早苗と話す時にしおりを閉じたページを開く。気分転換読もうと思った。そのページは「人を呪う方法」という物騒なページだった。私はそこを読み終わり次のページをめくる。そこには「時を巻き戻す方法」と書かれていた。私は早苗のことを思い浮かべた。私は早苗に言いたいことがある。どうしても言いたいこと。私は15ページの説明を何度も読み返し実際にその方法を行った。絶対に戻れる。そう信じて。




私はボーッとしていた。私は美術室にいた。私と坂本くん以外は皆スマホを弄っている。先生がチョークを持ちデッサンの基本について書こうとした時、激しい揺れが起こった。私は確信した。時が戻ったと。私は授業など気にせず急いで理科室に向かった。

早苗に会うために。

次回 5話「死んで。」

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