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エスタシア帝国皇族

……………………


 ──エスタシア帝国皇族



 誰か重要な人物がいるだろう部屋を警備している反乱軍の兵士たち。


「僕が突入します。援護お願いしますね」


「わ、分かりました」


 アレステアが“月華”を構え、その後ろでアリーチェたちが魔道式銃を構える。


「行きます!」


 一気に加速してアレステアが反乱軍に向けて突撃。


 これまでの戦いの中でアレステアは学び、そしてその体も戦いに適応していた。より優れた反射神経を、より強力な力を、より人間から乖離した肉体を得ていた。


「敵が──」


「恨みはないですが、やります!」


 警報を発しようとした反乱軍の兵士をアレステアの“月華”が引き裂く。血が舞い、“月華”の漆黒の刃に赤い血が滴る。


「クソ! このガキ──」


「まだやれます!」


 アレステアが反乱軍兵士が纏っているボディアーマーすら引き裂く力で“月華”を振るい、次々に斬撃で敵を倒す。


「アレステア卿が交戦を開始した! 援護しろ!」


 ゴードン少佐が叫び、シグルドリーヴァ大隊が反乱軍に銃弾を浴びせた。


 小部隊だった反乱軍部隊は奇襲を受けたことで一瞬で壊滅。アレステアは“月華”についた血を振って払い、反乱軍が守っていた部屋の扉を見る。


「アレステア少年。突入はシグルドリーヴァ大隊に任せよう。敵が人質を盾にしてる可能性もある。訓練を受けている人間に任せておこう」


「ええ。分かりました」


 アレステアはシャーロットに言われて扉から下がり、代わりにシグルドリーヴァ大隊の兵士たちが突入準備を始めた。


「爆薬セット」


「3カウント」


 扉を吹き飛ばすための爆薬を設置し、3秒のカウントの後に扉が爆破される。


「スタングレネード!」


 すぐさまスタングレネードが部屋の中に放り込まれ、炸裂音と閃光が生じるとすぐさまシグルドリーヴァ大隊の兵士たちが部屋の中に突入した。


「撃つな! 撃つな! 敵じゃない!」


 部屋の中には軍服を纏っているが非武装の帝国陸軍大佐と同じく非武装の30代ほどのスーツ姿の男性がいた。スーツ姿の男性はかなり疲労しているようだ。


「まさか、あなたはラインハイトゼーン公殿下ですか?」


「ああ。そうだ。彼は私についている武官で私の護衛をしてくれていた」


 ゴードン少佐が確認するのにスーツ姿の男性は自分が反乱軍によって拉致されたラインハイトゼーン公オイゲンであることを明かした。


「殿下。我々は司令部より殿下を救出するように命じられています。一緒に来ていただけますか?」


「分かった。君たちと一緒に行こう。ドゥメール大佐、行くぞ」


 ゴードン少佐の求めにラインハイトゼーン公オイゲンが応じる。彼は護衛の陸軍大佐に呼びかけ、椅子から立ち上がりゴードン少佐に合流した。


「ゴードン少佐さん。まだ僕たちは反乱軍の指導部を撃破できていません。その状況で殿下をお連れするのですか?」


「危惧することは分かる。戦闘に巻き込まれれば危険であるということだろう。だが、殿下をここに残していくわけにはいかん。我々が可能な限りの安全を確保し、このまま同行していただく」


「そうですか……」


 アレステアはゴードン少佐の判断に少し暗い表情を浮かべる。


「君。君がゲヘナ様の加護を受けたアレステア・ブラックドッグ卿かな?」


 そこでラインハイトゼーン公オイゲンがアレステアに話しかけて来た。


「はい、そうです、殿下」


「君のことはハインリヒからよく聞かされていたよ。あの子と友達になってくれたそうだね。ありがとう、アレステア卿。あの子はずっと孤独だったからね」


「いえ。僕の方こそ皇帝陛下に友達になっていただけて嬉しいですから!」


 ラインハイトゼーン公オイゲンが礼を述べるのにアレステアがはにかむような笑みを浮かべて返す。


「あの子にとって君の存在は大きな助けになっていることだろう。皇帝という地位は孤独なんだ。求められるものは多いが、それを成す力は与えられない。本来なら私があの子を支えるはずだったんだが……」


 ラインハイトゼーン公オイゲンはそう呟き、首を横に振った。


「皇帝陛下は殿下のことを凄く心配されていました。無事に陛下に会えるよう僕も努力しますので、頑張りましょう!」


「ああ。あの子に辛い思いはさせたくない」


 アレステアが励ます、ラインハイトゼーン公オイゲンは小さく微笑んだ。


「少佐殿。空軍から連絡です。反乱軍の空中艦隊がヴァイゼンナハト・ダンテ・アリギエーリ空港を離陸し、動き出したとのこと!」


「まさかヴァイゼンナハト城から指導部を脱出させるつもりか? こちらの航空戦力は応戦するのか?」


「まだ分かりません」


 ここにきて反乱軍の空中艦隊が動き始めた。


「ゴードン少佐さん。反乱軍の空中艦隊が来たら脱出できなくなります。急いで目標を撃破しましょう」


「ああ。急ぐぞ」


 アレステアは脱出に失敗してラインハイトゼーン公オイゲンが死亡することを恐れていた。ハインリヒが自分の叔父である彼を心配しているのを知っているからだ。


 再び部隊は前進し、ヴァイゼンナハト城内を進む。


「殿下。反乱軍の指導者たちの居場所について何か情報をお持ちでないですか?」


「私がここに連れて来られたときはトロイエンフェルトとフライスラー上級大将が会議室にいたが。しかし、その後すぐにあの部屋に監禁されたため、その後どうなったかは分からない。すまない、少佐」


 ゴードン少佐が尋ねるとラインハイトゼーン公オイゲンが首を横に振った。


「止まって」


 そこでアリーチェが警告を発する。


「敵か、アリーチェ?」


「う、うん。でも、屍食鬼じゃない。帝国陸軍の兵士たち。15名ほどいる、かな。何か急いでいるみたい、です」


 エトーレの警告でアリーチェが廊下の陰から先を覗き込んで報告する。


 完全武装の反乱軍部隊がヴァイゼンナハト城の廊下を駆け足で進んでいた。何かに警戒しているかのような動きだ。


「侵入に気づかれたか? 時間的に警戒されてもおかしくはないが」


「どうします、ゴードン少佐さん?」


「部隊を分けて先にラインハイトゼーン公殿下には脱出していただく。残る我々は引き続き反乱軍指導部の排除を目指す。レギンレイヴ大隊も捜索を行っているし、目標まではそこまで時間はかからないはずだ」


 アレステアが緊張した様子で尋ね、ゴードン少佐が素早く指示を出す。


 部隊が分割され、ラインハイトゼーン公オイゲンを護衛する部隊が先にヴァイゼンナハト城からの脱出を始めた。


「前方の反乱軍を排除し進むぞ。攻撃開始だ」


「了解」


 そして前方にいる反乱軍の小部隊への攻撃を開始。


「確実に、と」


 まずアリーチェが反乱軍部隊の指揮官を狙撃。魔道式猟銃から放たれた高威力のライフル弾が指揮官の頭を弾き飛ばした。


「中尉殿!?」


「敵襲、敵襲! 司令部に警報を──」


 さらに通信兵がアリーチェに狙撃される。


「やれ! 射撃開始!」


「行きます!」


 そしてシグルドリーヴァ大隊が射撃し、アレステアたちが突撃を開始。


「警報だ! 警報を出せ! 敵はヴァイゼンナハト城内に侵入している!」


「やらせません!」


 反乱軍部隊の下士官が叫ぶのをアレステアが“月華”で切り倒した。


 これまでの戦いで成長したアレステアは銃を持ち、訓練も受けている軍人であろうと、その手に握る“月華”で撃破できるようになっていた。銃弾ではもはやアレステアを止めることはできない。


「ほいほい! やっちゃうよー!」


「援護します、アレステア君!」


 シャーロットも“グレンデル”で反乱軍を銃撃し、レオナルドもアレステアを守るようにしてクレイモアを振るう。


「クリア」


 そして、反乱軍部隊は撃破された。


 だが──。


「少佐殿! 空軍から緊急連絡です! 反乱軍の空中艦隊がヴァイゼンナハト城に急速に接近中! 空中艦隊の中には空中戦艦フリードリヒ・デア・グロッセも存在するとのことです!」


「指導部を脱出させるためにしては規模が大きすぎる。何をするつもりだ」


 ヴァイゼンナハト城に向けて帝国空軍最大の飛行艇である空中戦艦フリードリヒ・デア・グロッセが接近しつつあった。その快速を誇る空中戦艦フリードリヒ・デア・グロッセは急速にヴァイゼンナハト城に近づいている。


「友軍の航空戦力は?」


「こちらには連絡がありません」


「クソ」


 ヴァイゼンナハト城に向けて反乱軍の巨大な飛行艇が迫る。


……………………

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