会えるの?
ロゼと同種のジュエルグリフォンを育成している魔女か。興味はあるが――
「会いたいからって会えるもんなのか?」
「気難しい方でもないし大丈夫ですよ、約束は必要ですけどね。木原さんが会いたいならお婆ちゃんに確認を取ってみますよ?」
ふむ。俺的には会ってみたいところだけれど、ロゼはどうだろうか。できればジュエルグリフォンに関して有識者である魔女に会うのであれば当事者のロゼは連れていきたいところ。
俺は足元で抱っこを催促するロゼを抱えあげ、俺の方へ注目させた後話しかける。
「ロゼ、お前が強くなるヒントを得るためにジュエルグリフォンを飼っているらしい魔女に会えるかもしれないんだけど……行きたいか?」
「ぴぁー!」
「イキタイだって!」
だろうな。俺はまだ「ぴぁ」から得られる情報は読み取ることは出来ていないが、やはり目は口ほどに物を言うということか。ロゼの目からはオーロラが訳したようにそんな意志を感じ取れた。
あ、うんロゼ?行きたいってのは分かったからね。その目で理解したからね。身体をジタバタさせて気合を表現しなくても大丈夫だから!一旦ステイ!
「フフ……分かりました。それではお婆ちゃんに確認してみますね?ちょっと待っててください」
そんな俺達を微笑ましげに見つめていた麻鬼要は、収納魔法から見覚えのある封筒と便箋、そしてペンを取り出し一筆したためる。そして封筒に便箋を差し込むと庭へ向かって放り投げた。
なーにやってんだと思えば宙を舞った封筒は光り輝き、鳥の形へと姿を変え空へと飛び立っ――待ちなさいロゼ。あれはハントの対象ではない!あれには勝てるからって行こうとするんじゃない!よし、便箋鳥はさっさと行ったな。
「さ、これでOKです。1時間もしないうちに返事が返ってくるでしょう……何やってるんですか?」
「いや、ロゼはどうにもその便箋鳥を狩りの対象と見てるらしくてな」
「ぴぁー!!」
「今の魔法は"文鳥化"っていうんですけど。お婆ちゃんが木原さん家に飛ばすときにポストに入る前に反応が消失するって言ってたのロゼちゃんの仕業だったんですね。納得しました」
それはそれはとんだご迷惑?を……俺としてもいつの間にかロゼが持ってきてるもんだからね。実際に届いてはいるからそこはOKですと。むしろロゼのおもちゃになるのならさらにOKですと。
……ところで返信までの時間を知らなかったとはいえ約1時間も我が家にいることになったのだけれど大丈夫なの?いや、別に俺達今日は予定は特にないんだがどうするつもりなの?親分の畑見たい?あぁ、いいけど。
「おっと、当初の目的を忘れていました。お土産のお礼を渡しに来たんでした」
「いやいやそんな、そんなつもりで渡したわけじゃ――なにこれ?」
ポンと手を打って収納魔法から何かを取り出した麻鬼要。最初は断ろうとしていたが、差し出されたものを思わず受け取ってしまう。そしてその渡されたものに対してそんな言葉が出てしまった。
キノコチップス……?ポテチのような袋に色とりどりのキノコが描かれて、デフォルメ調の魔女っ子っぽいキャラクターが「美味しいよ!」って台詞吐いてる……
「お婆ちゃん監修のキノコチップスです。ダンジョンで採れた食用のきのこをその名の通りチップスにしているんです」
「女々さん手広くやってんな!?それに結構劇的な色をしたキノコ描かれてるんだが……?いや、ダンジョン産ならそんなものか」
「はい。ただ、美味しいのに見た目のせいで全然売れないので、コーヒーの香りが漂う世界の食べ物を集めた店とかじゃないと見ないんですよね」
それなんて……いや、ツッコむのはよそう。しかし、このキノコチップス自体は大変興味がある。あれ?こういう監修するやつってパッケージに名前とか書いてるものじゃ……いや、女々さんは名前出せないか。
「ちなみにその魔女っ子のイラストのモデルはお婆ちゃんです。当時本人無許可でした」
「作った会社肝座ってんな?」
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「……木原さん、この苗なんですか?」
「じゃがいも」
「じゃがいも?」
「北海道で買ってきたじゃがいもの種芋を親分に育ててもらってるんだよ。この前植えたのに結構成長してきてるんだよな」
「ピギッ!」
親分の畑を案内していると麻鬼要が視界に入ったじゃがいもの苗に手を伸ばしそっと撫でる。じゃがいもということを説明すれば、傍にいた親分がすごいでしょと言わんばかりに腰?部分に手を当てふんぞり返る。実際すごい。
「……これじゃがいもなんですか?」
「ん?じゃがいもでしょ」
「ピギ?」
「あー、いや……そう、なんでしょうかね?」
そんな感じで口をモニョモニョと動かしなにか言いたげな麻鬼要。少し気になるがモニョる辺り絶対に言わなければいけないというわけでもなさそうだから追求するようなことはしないでおこう。流石に危険なことが分かって何も言わないほど薄情な魔女ではないことは分かってるからな。
「ぴぁー!」
そんな中、少し離れたところからロゼの鳴き声が聞こえてきた。……ハッ、まさか!手紙を飛ばしてからそろそろ一時間――!
はい、結論から言いますと案の定、便箋鳥のハント成功していました。なんでこいつに対しては毎回ミスしないんだ……?
「はーい、ロゼちゃんありがとうねー!えーっと、何々……?あ、木原さんOKだそうです!流石に今すぐには無理ですけれど、2週間後以降なら会えるだそうです!なんと向こう側も乗り気だそうです!」
お、そりゃ良かった。ところで、その人と会うためにはどこに向かえばいいの?住所とか教えても大丈夫な人なの?え?当日女々さんが連れてってくれる?……滅茶苦茶助かります。




