【爆発物処理班】嗚呼、いと恐ろしきボム【出動!】
『爆弾!?』
『通報しました^^』
『いつかやると思ってました』
「俺の配信の中で爆発物所持することを確信させる要素どこにあったんだよ」
視聴者の関心を引くために爆弾というワードを使ったが、もちろん火薬とかの爆弾をこのアルミホイルの球の中に用意しているわけがない。ンなもん爆発させりゃ家の中がめちゃくちゃになっちゃうからね。この中に入っているのはれっきとした料理だ。
さて、視聴者――というかオーロラとロゼが待ち遠しそうにこちらを見ているからさっさと開封しようか。
配信直前までオーブンレンジで焼いていたため普通の人がなんの警戒もなしに素手で触ったら火傷を負ってしまいそうなほどの温度だ。だがこのハイエルフハンド、その程度の温度では火傷などしない!
ペリペリと指先でアルミホイルを摘みながら剥がしていく。何重にも巻いたから一度剥いた程度ではその姿が露わにはならないが――お、見えてきた。最後の1枚を捲り終わりアルミホイルの下に現れたのは……
「ベーコン?」
「ぴぁ」
『ベーコンだ』
『すごいベーコンだよコレ!』
『かなりベーコンだな!』
「そこまでベーコンに反応するかね――って待て待てロゼ分けてやるから食おうとするな」
俺の手を頭で押しのけてアルミホイルの中に入っていたものを食べようとするロゼを優しく引き剥がす。
中に入っていたのは球体の形を取ったベーコンだ。えーっと、このベーコンは少し赤いからワイルドオークの方のベーコンだな。
さてこのベーコン、何もベーコンだけで丸を形成しているわけではない。薄切りにしたベーコンをとあるものに巻き付けて焼くことでこのような姿になっている。いやぁアルミホイルから解放されたおかげでこんがりと焼けたベーコンの匂いがまさに爆弾のように部屋の中に充満する。
「この料理の名前はポテトボムってんだけど――知ってる人いる?」
『知らん』
『どっかの合成音声実況動画で見たな』
『名前からしてそのベーコンの下はまたじゃがいもか?』
「大正解ー」
『今日の主役ってベーコンとソーセージなのでは……?』
「いや、主役とまでは言ってないしこれにも使ってるからな?」
ポテトボムとは簡単に言うと穴を開けたじゃがいもの中にチーズとかソーセージとかを埋めた上にじゃがいも全体にベーコンを巻き付けてアルミホイルで包んで焼いたものになる。
どちらかというと屋内ではなくバーベキューとかの場で作られることのほうが多い料理だな。
「ジョージ、ハヤクハヤク!」
「ぴぁー!」
「オイオイ腹ペコ達、君たちにはデカすぎるんだから切り分けるのを待ちなさい」
『ジョージも腹ペコやろがい』
「否定しない」
という訳でオーロラ・ロゼ用にポテトボムをカットしていく。その断面からは詰め込んだソーセージが覗かれ、さらには北海道で買った特産チーズがドロリと滴る。……待ってよく考えれば俺切り分け終わるまでポテトボム食えないの?くっ、生殺しか……っ!
「ワァッ……!美味しいよジョージ!」
「ぴぁー!」
「そうか、それは良かった……ほら酒も飲みねぇ」
……まぁオーロラたちが先に食べて味の保証をしてくれたと思うことにしようか。切り分け終わったことだしそれじゃ俺も食べるとしようか。
俺の分のポテトボムのアルミホイルを剥がして素手で持ったまま、そのまま齧りつく。
「うンま!」
『うっわ、チーズが溢れてやがる』
『すんごい濃そう』
「うん、濃い」
やばいやばい、勢いよく齧りつきすぎたせいで口の周りがチーズでベトベトになってしまったな。拭かなければ。
さてさて、ポテトボムだが――すごいジャンキーだ。まぁじゃがいもにチーズとソーセージ詰めてベーコン巻いて焼いてるんだからジャンクじゃないわけ無いよな。そしてジャンキーなものが酒に合わないわけがない!
ビールを……ちっ、グラスは空っぽか!ええい、缶から注ぐ暇も勿体ない!
カシュッと音を立てながらビールのプルタブを開封し、グラスには注がず直接俺の口の中へビールを流し込む。あー、背徳の味……生きているという確かなる証明……天にも昇るこの心地よさ……うん。
「俺、エルフになってなかったら早死していたのでは?」
『うわぁ、急に冷静になるな』
『否定しにくいのやめろ』
『むしろハイエルフの今、肝機能とか大丈夫なのかよ』
「これが正常判定なんだよね。人基準ではだけど」
本当にどうなってるんだろうね、この体。まぁ体に悪い食べ方しても問題ないというのであれば、やらせてもらおうじゃねぇか……!
ポテトボムにマヨネーズも追加じゃあ!オーロラはケチャップ?ロゼは何がいいとかあるか?あ、一旦このままでいいと。それもまた良きだな。
『ベーコンとじゃがいもなら粒マスタードとかでもよくない?』
『サワークリームとかどうや』
おぉ、素晴らしきかなネット集合知。言われてみれば粒マスタードも合いそうだしサワークリームのさっぱり感はポテトボムのこってりさを打ち消し食べやすくさせてくれることだろう。
ただ惜しむらくは――サワークリームは流石に手持ちにないことだろうか。次スーパーに行った時探してみるか……
あ、ジャーマンポテトもたいへん美味しゅうございました。いやぁこんな美味しいじゃがいもが今後も継続的に収穫できればいいんだけれど……親分、可能な限り頑張ってくれ――!




