【ジョインジョイン】合体鎧って名前じゃなかった【ヨロイィ】
「ぴぁ!ぴぁ!」
「はいはい、タタキね。ちょいと待ってな。ほら、あーん」
「ぴぁー」
次を催促するロゼの鳴き声に答えてスノーウルフのタタキを一切れ箸で摘み、大きく広げられたその嘴に運んであげる。少し厚めに切られたものだったが、ロゼは気にする素振りも見せずにもぐもぐと咀嚼する。
『ワイもあーんしてほしいんだが?』
「せめて動物的に可愛くなって下心なくして出直してこい」
『そんなー(´・ω・`)』
「ワタシは!?」
「オーロラならいいぞ?ほら、あーん」
「アーン!」
オーロラには……流石に俺用のタタキは切らないと彼女には大きいので、脆い故切り分けやすい氷縫草の天ぷらを箸で小さく砕いてやってオーロラの口に運ぶ。うん、俺の選択は間違いなかったようだな。無事オーロラの口内に収めることが出来た。
動画の方は――おっと、丁度ワイルドオークの群れの討伐に終了したころか。スワイプの中の俺が一息ついた様子が流れている。いくらかワイルドオークの返り血が服に着いてはいるが、自分の血は一滴として流れてはいない。
『群れ相手に無傷かー。ジョージ本当に戦えたんやなって』
「戸中山ダンジョンの写真とか上げてたことあるだろうに」
『基本罠って言ってたじゃん!』
「そうだもん」
基本罠猟なのは事実である。今回の雪原ダンジョンであるネイムル牧場ダンジョンとトラバサミ君では相性があまりよろしくなかったから使わなかっただけで、普段は罠とか弓だからね?正面からモンスターと戦うだなんてそんな……
『ってかワイルドオーク狩ったのに今日のメニューにはないのね?』
「ワイルドオークはね……ちょっと加工してから作りたいのがあるんだよ。だから次回とかかな?」
『オークで加工?ソーセージとかベーコンとか?』
「そうそうそれそれ。で、作りたいのはさらにその先の料理」
まぁこれ以上話すと次の配信のネタバレになってしまいそうなので、ここいらで打ち切るか。
話を逸らすために次の天ぷら――氷柱の露草だな。これは1本しかないので頑張って3等分にしました。俺たちの中でどれが大きいとか喧嘩になることはないが、まぁ気持ちの問題である。さて、その味だが……
「え、冷たっ?」
「アマイ?」
「ぴぁ?」
まさかの氷柱の露草の天ぷら、衣の方はまだ熱が残ったままだというのに、その身の方はまるで氷のように冷たかったのだ。そしてどこか砂糖に近い甘さを感じる。なんだろう、アイスの天ぷらみたいな感じか?実際のアイスの天ぷらを食べたことはないからあくまでも予想の話になるが。
だが甘いからと言って不味いわけではない。味については面食らったのは事実だが、よくよく味わってみれば存外悪くない。如何せん量が少ないのがな……もう少しあれば長く味わうことが出来たかもしれないのに。
『あの、もっと採ってもっと食べたいって思ってません?』
「はい」
『はいじゃないが』
『本当に貴重な薬草なんで食べずに卸してもろて……』
『冒険者組合とか薬師の人絶対いるだろw』
『いますが?』
とは言ったものの、次にネイムル牧場ダンジョンに行く予定は未定なのでね。行く予定もなければ採ることも出来ないわけで。もし取れる機会があったとしたら2本以上とれるといいね。それなら俺も大手を振って食べられるんだから。
おっとスライドショーの方は本日の目玉、合体鎧君の合体シーンだな。さて、視聴者たちの反応はというと――
『賛否分かれる合体方法だな』
『回転しながら合体するのはロマンがあるが、言ってしまえば鎧が引っ付いていくだけだからなぁ』
『もうちょいガシャコンしてくれ頼む』
『ワイは好きやで』
『これスライムが本体なの?』
『そもそもこれゴーストウェポンなのか?』
こんな感じ。やっぱり俺同様に某戦隊のロボットのように変形しながらの合体を望む意見が結構多いようだ。まぁ合体鎧君からしたら知ったこっちゃない話だろうが。
おっと、そうだったそうだった。このモンスターの名前、分かりやすいから合体鎧と呼んでいたんだが、正式名称が判明したんだったな。えーっと、結構格好いい名前だったと思うんだけど……そうだ思い出した!
「ダンジョン省によるとこいつの名前は"レギオン・ハルニクス"ってらしい。んでもってネイムル牧場ダンジョンの大ボス」
『強かった?』
「強かった。多分一人じゃ無理だったなぁ……」
そう呟いた瞬間、合体シーンの動画が終わり、柊と共にレギオン・ハルニクスに対峙する動画に切り替わる。柊――というか薫風サイドは隠している情報はないから別に公開しても構わないと許可はもらっている。ただ、初めのヤドリギの矢をぶん投げての救援と須藤さんが合流してからの動画は当然なし。どっちもトップシークレットなんでね。
『柊じゃん!』
『ネイムル牧場ダンジョン行くって言ってたもんね』
『え、じゃあ薫風サイドからのジョージの行動とか聞けるわけ?』
「聞けるんじゃない?もちろん話しちゃダメなところは言わないようにお願いしてるけど」
っと、最後の料理であるグラキエル・ペンギオスのカツのことを忘れていた。
今回、カツに用いたのは翼部分だが……カットしてみたところ断面は白い。匂いは――悪くないな食欲をそそられる匂いだ。ではいただきます。
「おっ?んー?いや、これは……むー?」
『どしたし』
「美味い、美味いんだが……なんだこれ?鶏肉で作ったかまぼこ?はんぺん?」
「フシギな食感だねー」
「ぴぁー」
当然鶏ではなく、グラキエル・ペンギオスの肉だから普通の鶏肉とは味が違うのは当然なのだが、その食感は思った以上にもっちりとしていた。美味しい筈なのに食感のインパクトで拍子抜けしてしまった。
……これはソース?いや、七味マヨネーズが合いそうだな!
『うわぁなんか写真になって鎧真っ白になってバラバラになってる!』
『鎧「燃え尽きちまったよ……真っ白にな」』
『2人でやったんか……すごいな……』
「HAHAHA、凄かろう凄かろう」
正確にはこの場には須藤さんもいたのだが、彼女は俺以上にトップシークレットだからな。下手にぼかすと勘繰られてしまうからな。いっそここは俺と柊の2人で斃したことにしようと、俺・須藤さん・薫風で話は固まっているのだ。あ、だからと言って須藤さんの報酬までなかったことにはなってないのでそこはご安心!




