現状確認
「ハァ!?」
マズい、合体ゴーストウェポンの巨大さに驚愕している場合ではなかった。迎撃のために放ったウォーハンマーの空気砲が手甲に当たった感覚がしなかった。その代わりに奴の胴部分に鈍い音が響いた。つまりそれは、迎撃できていないということになる!
慌てて硨磲の盾を取り出し拳を受け止めるが、その衝撃はワイルドオークジェネラルの突進の比ではなかった。しかも一撃食らったはずなのに間髪入れずに二撃目の衝撃が走る。何とか吹き飛ばされずには済んだが、硨磲の盾には深い罅割れが刻まれていた。これは次の一撃もらおうものなら破壊されてしまうな。残念だがAカードにしまっちゃおうね。
にしてもだ、空気砲の命中する場所が急に手甲から胴に変わったのはもしかしなくても、胴部分のゴーストウェポンを装備したペンギオスと戦ったときに見たあのスキルだ。可能性としては考えられなくもなかったけど、合体したゴーストウェポンすべてのスキルを扱うことが出来るのか、あの合体鎧。
「すまない、咄嗟で伝えきれなかった。あの鎧は遠距離攻撃を吸い寄せる!」
「知ってる!あの胴部分退けたの俺!」
へたり込んでしまった仲間を距離の離れた場所へ置いて来たのだろう、柊が隣へやってきて合体ゴーストウェポンを睨みつけながらも情報共有してくれた。
「さっきの矢らしきものは?スキルをものともしていなかったようだが」
「あんま連発したくない!」
やはりヤドリギの矢見られたか。まぁその点はしょうがない。あの場面では仕方のなかったことだし、撃ったのが普通の矢だったら助からない可能性の方が高かったことだろう。そして今だからこそわかるが、ヤドリギを投げた時に一瞬軌道がブレたように見えたのは、胴のスキルに引っ掛かりかけたからか。そこは天下のヤドリギ先生、スキルの効果になんて絶対に負けない!って勢いだったな。
それも見られた故、柊の期待する言葉も分かるのだが、得体の知らないもの相手にポンポンと使ってられるほどヤドリギの矢は優しくない。なら一撃必殺は?と思えるがそれも無理そうだ。
おっと、そんなやり取りをしている間に次の拳が迫ってきていた。回避するかウォーハンマーの素殴りか、手段を選んでいると眼前に差し込まれる腕が。柊?
「そう――か!」
俺の前に立った柊は居合の構えを取るとすぐに抜刀――したのか?キィンという音に俺が気づいた時にはすでに鞘に納刀されていたはずの刀は振り切られており、拳も弾かれていた。俺なんてもうポカーンだよ。「( ゜д゜)」だよ。いや、この場に呼ばれるんだから強いのは分かっていたけどね?強いモンスターと戦っている場面は見たことなかったから驚きはある。
「なら仕方ない。あの胴が稼働している限り、遠距離攻撃はほぼほぼ無意味ととらえてもいいだろう。まずはアレを叩きたいが問題ないな?」
「こちとら遠距離が主軸だからな、当然だわな」
「ん?主軸?」
「そうだが?」
何をそんな変な目で見てくるのだこの侍女。そりゃウォーハンマーぶん回しているハイエルフが何を言っているんだとなるのも分かるが、どちらかというと遠距離だわ。さっきのヤドリギ見ただろ。
そういえばこの場にいるのは柊だけだけど他のパーティとかいないのか聞いてみたが、どうにも合体鎧の最後のパーツ、もう1つの手甲ゴーストウェポンを装備したモンスターを撃破したのが彼女ららしい。だからこそ、この場でゴーストウェポン共が合体して鎧となったわけらしい。
「君が最速の援軍という訳だ。助かるよ本当に」
「じゃあまだ他は時間かかりそうか……!」
しかも俺が来るまでの間に薫風はほとんど崩壊しているらしく、さっきの避難させた奴を含む他のメンバーは休んでいるらしい。つまるところ援軍が来るまでの間、戦えるのは俺とオーロラと柊だけのようだ。
「いや?まだいるぞ?」
「まだ?」
「――!!」
「ア、イタの」
オーロラ、そういうことを言うんじゃあありません。俺も少し思ったけども。そう、声を聞きつけやってきたのは妖精クリス。彼と組んでいるシーフの冒険者は休んでいるメンバーの護衛として離れているが、クリスはこの場に残ったようだ。猫の手妖精の手も借りたいこんな状況だからいてくれるのはありがたい。
「とりあえずオーロラは胴のゴーストウェポンと戦った時のアレをやって少しでもダメージを稼いでくれるか?」
「アレ!」
「アレ?」
「――?」
「奴の足元から魔法を範囲的に攻撃するんだよ。あれなら吸い寄せるとか関係ないからな。オーロラ、クリスにもやり方教えてやれ」
「ワカッター」
ペンギオスの時は奴のスピードで効果範囲からすぐに出てしまうため攻撃の有効時間が少なかったが、目の前の合体鎧のスピードはそうでもない。ならば少しは足しになるだろう。クリスはあまりピンと来ていないようだが、オーロラが教えてやれば大丈夫だろう。
さて、とりあえずはこの4人で頑張るしかないか。援軍、はよきて援軍。主に須藤さん、来てくれ頼む。もしかしたらまだ寝てる可能性だってあるけど……!待てよ?合体鎧は各パーツのスキルを使うことが出来るんだろ?
えーっと、兜の視覚共有でしょ?胴の遠距離攻撃吸引でしょ?両脚甲の罠化でしょ?確か一番最初に倒された手甲のスキルは確か「追撃」だったか?一度の攻撃の直後に同程度の衝撃を与えるというもの。硨磲の盾で受け止めた時の衝撃の正体がそれだったな。じゃあもう片方の手甲も脚甲に倣って追撃なのかな?
「いや、私たちが降した手甲のスキルは――分身だ。その時も最初から分身せずに戦闘中に分身していたから条件が分からないけどね」
「マズくない?」
「マズいね、非常に」
須藤さん――!!はやくきてくれ――!!!
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「ところで俺が重点的に狙われているのは何で!?」
ヤドリギ先生のせいか!?




