【この配信は】ダンジョンって知ってるぅ?【酒飲み配信です】
北海道にダンジョンが生える。
まるで植物のような物言いだが、実際に草や木のようにダンジョンがニョキニョキ生えてくるわけではない。人によっては「発生した」とか「生まれた」とか「還ってきた」ともいうらしい。
「ダンジョンか、そりゃ珍しい。日本に最近出来たのって何年前だっけ?」
『2年前の群馬じゃなかったっけ?』
『グンマー』
100年前、突如として発生したダンジョンだが、何もその大量発生以降にダンジョンが出現しなかったわけではなく、不定期に世界各国に出現し続けていた。それが今回、実に2年ぶりにダンジョンが日本に現れたようだ。
ダンジョンが発生すると、その地点に俺が戸中山ダンジョンに入場するときと同じような入り口が突如として出現する。そう、突如としてだ。何の予兆もなくいきなり出現するのだ。
さらに困ったことにこの入り口、出現する場所を厭わない。誰も使用していない空き地に出現すれば一番いいのだが――山、海、平原、これらもまだいい。ヤバいのが公共施設や商業施設、果ては個人宅の敷地内に出現することもあるというのがね……
「北海道の出現した場所は?」
『牧場だって。草原のところだからまぁ、ね』
「あー、そりゃ牧場主さんにはご愁傷様としか」
どうやら今回は最悪とまではいかずともあまりよろしくない出現場所だったようだ。
ダンジョンは出現すると出現地点から一定の範囲内が国の管理下に置かれる。もちろんその土地の所有者には相応の補償金が支払われ、その後の国からのサポートもしてもらえるそうだ。
「ジョージ、次食ベタイー」
「ぴぁー」
「お?悪い悪い……ってロゼお前配信直前にご飯あげただろうが」
「ぴぁ」
「まぁいいか……」
『ロゼちゃんキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!』
『いつか来ると思ってました』
オーロラの催促に思考を切り替え、次の準備をしようとしたところで机の脚のそばでお行儀よく座ってこちらを見上げていたロゼと目が合った。
嘴のところに食べかすがついていることからちゃんとご飯は食べたのだろうが、その後すぐにおやつの催促に来るとは……お前も俺たちと一緒で生きてくうえで大食いが必要というわけじゃ無かろうに。あげるけども。
さてさて、おにぎりの具に使用した後、半分余ったツナマヨ。さらに用意しますのはポテトチップスうすしお味。なんてこたぁない、ツナマヨをバゲットに見立てたポテチの上にのせて食べる、それだけ。
カニミソ缶で試したことから始まり、ポテチに色々なものをのせながら食べていたがカニミソに次いでこれが美味いんだ。サクサクとしたポテチの食感と塩味にツナマヨのまろやかさと歯ごたえがマッチして美味い。軽く食べられて酒も進む、結構なおつまみだ。
「ジョージ、タバスコかけたい」
「むっ、その発想はなかったな。わかった、かけようじゃないか」
「ぴぁ」
「え?ロゼの分も?」
妖精女王様の素晴らしき提案を受け、ツナマヨにタバスコを数滴――もうちょっとかけちゃダメ?あざます。――かけてから、今一度ポテチにのせてからパクリ。おお、一気に様相が変わった!先ほどまで食べてた味にタバスコのピリッとした味わいが追加され別のおつまみのように思えてしまう。流石妖精女王様だ、その舌信用できるぜ!
『ダンジョンって個人で持てるの?』
『敷地内に出たのを隠して国に報告しなきゃまぁ保有はできるっちゃできる。けどあんまり旨味ないんだよな』
『どゆこと?』
『本当に自分たちだけでダンジョンの危険値測れて討伐出来て完結できるならいいけど、解体とか買取とか潜るための装備の充実とかどうするんだって話。20年前とか報告しなかったダンジョンに潜った若者数人が死んだってニュースあったじゃん』
『20年前とか産まれてないっす』
『う゛っ(心臓発作)』
何やってんだこいつら。いやまぁ視聴者同士で教えあってくれている分には俺も助かるけども。
……オーロラさん、あなたポテチの上にタバスコツナマヨのみならずさっきのアボカドチョレギサラダをのせているな?とどまることを知らないな?試してみようか……
「……メキシコだ」
「メキシコ?」
『こっちがダンジョンについて話してんのになんかハイエルフメキシコ行ってるんだけど?』
『意味わからん』
いやなんかよく分からないけど、おぼろげながら浮かんできたんです、メキシコという文字が。実際にメキシコ行ったわけでもないしメキシコ料理もどっかのお祭りの屋台でタコスを食べたことがあるくらいだし。でもなんか知らんけどメキシコを感じましたまる。
『今回その北海道にできたダンジョン、調査のためにダンジョン省が実績のある冒険者に声かけてるっぽいんだよね』
『それどこ情報?』
『Twitter』
『せめてダンジョン省のHPをソースにしろよ……そんな記述ないけど』
『ジョージとか声かけられんの?』
「ないでしょ」
俺なんて所詮、山ダンジョンでちびちび薬草採取しながら木々鹿や角兎狩っているだけのケチなハイエルフでごぜぇやすよヒッヒッヒ
『ワイバーンや月の貴族を狩れるハイエルフがなんか言うとる』
『お前絶対裏で色々やってるだろ、俺には理解』




