【アイディア】あンのクソボケ箱【求】
「という訳でアイディアを募ろうと思う」
『どういう訳だってばよ……』
『ってかベーシックと海は確保したんならよくない?』
「ダメダメ、そういう妥協がよろしくない。食べたいと決めたときは狙わなきゃ、期間限定メニューとか逃しちゃうよ?」
『ちょっと刺さるのやめろ』
戸中山ダンジョンに出現するミミックこと山ミミックを探し始めて5日経過したのだが――現状何の成果も得られませんでした状態だ。正確にはアオオオダイショウ並びにユニコーンとかそこそこ強いモンスターという成果はあるのだが、通常宝箱2個出た程度で山ミミックは1体も現れなかった。
視聴者の言ったように、一度はベーシックと海でOKということにして配信に取り掛かることも考えたのだが、それをしようとすればするほど山ミミックを獲らなかったことを後悔する未来しか見えなかった。
しかし、現状見つかる気がしない。ならばどうするか、インターネット集合知に頼ろうという訳だ。
『ってか目的の食材手に入らなくても配信するんだな』
「そらそうよ、義務じゃないし」
「オイシーオイシー」
『オーロラちゃんもよう食べよう飲んどる』
ちなみに今日のおつまみはアオオオダイショウの皮チップスだ。その名の通り適切に処理したアオオオダイショウの皮をカラッと揚げたものだ。鳥皮チップスと異なりパリッとした中にもちもちした食感もあり、一つ、また一つと手を伸ばしたくなる。
『でもミミックが出やすくなる方法なんてあるん?』
『モンスターをおびき寄せる方法ならあるけど、特定のモンスターをポップさせる方法は見つかってないのでは?』
『もう運上げるしかないのでは?お守り持ってくとか』
「お守りねぇ……」
お守り――という訳ではないが、一度俺の幸運の源の一つである"幸福招来のぬいぐるみ ぴょんちゃん"を戸中山ダンジョンに持ち込もうとしたことがある。が、それを止めた存在がいた。その存在とは普段ぴょんちゃんを依り代としているカルーアだ。
オーロラを介して伝えられたのは、"幸福招来のぬいぐるみ ぴょんちゃん"は自宅に置いておくだけで効果があるアイテムだから持ち出したところで運の上昇値は変わらないからやめた方がいい――とのこと。そういやぴょんちゃんを鑑定してもらったときに武道さんそんなこと言ってたなと思い出し、その計画は中止となった。
持ち出すことをやめたことをカルーアに伝えると、魚の状態で表情が読めないはずなのにどこか安堵しているように見えた。……あれ、そういやカルーアにぴょんちゃんの効果伝えたことあったっけ?
『やはり強いモンスターを狩るしかないのでは?』
『下手に探すよりそっちのが確率あるのがなぁ』
『ぶっちゃけジョージなら楽では?』
『そんなあなたにおススメ!このリンクのツボを買えばたちまち』
「ンなコテコテな詐欺広告引っかかるか」
『でもたまに本当に運気あげるアイテムとか売られてるから分かんねぇよな』
『そういうアイテムも総じて高額だし』
そんなこんなで視聴者からいろいろな簡単にできる運気のあげ方のアイディアが取り寄せられた。
玄関をきれいにする→カルーアがやってくれてます
水回りを清潔にします→カルーアがやってくれてます
スマホの待ち受け画面を変えます→……ロゼの写真にしとくか
自然に触れる時間を作る→親分と触れるのはアカンか?もしくはユグの木……最悪ユグドラシルと……?
早起きして太陽を浴びる→まぁ早起きは得意ですしおすし
「とりあえずまぁ、すぐにできそうなものはこんなところか。みんなありがとうね、期待せずにミミック料理配信待っててくれな。――まぁ、すぐにまた相談配信することになるかもしれんけど」
『ピピーッ!ネガティブ発言は運気を遠ざけますよ!』
『乱数の女神は気まぐれだからなぁ。割とあっさり出たりして』
「HAHAHA、それだったら嬉しいんだけどなぁ!」
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「オーロラ」
「ナニ?」
「乱数の女神ってヤドリギの矢でブチ抜けると思う?」
「ムリじゃない?」
「そうかぁ」
出ました、山ミミック。配信の翌日ユグの木と触れ合おうといつもの隠しエリアに向かおうとしたら、その隠しエリアの入り口付近に宝箱――もとい山ミミックがポップしてました。ふふっ、今頃乱数の女神様は腹抱えて笑ってるんだろうなぁ。
まぁ乱数の女神に呪詛を送るのは一旦保留にしておいて、山ミミックだ。
ベーシックミミック同様に、宝箱部分も含めてモンスターの山ミミックの特徴は開封した瞬間、中から弾丸のように種を放出するところにある。避けたり防げればいいのだが、撃ち込まれ種が体の中に侵入すると種が獲物の生命力を吸って弱らせにくる。
で、弱らせて獲物が地面に伏したら宝箱の中から木の根っこのような触手が這い出て絡みついて直接生命力をいただいて、残りかすは他の植物の栄養と化すという各種いるミミックの中でも厄介な存在なのだ。……はい。
「"最小限の損傷で斃して"」
「エー……」
そんな目で見ないでくれ、オーロラ。俺はもう疲れたんだ……ヤドリギ先生に頼らせてくれ。
哀れ山ミミックは自らの意思で開封することなく、そのモンスター生涯に幕を閉じることとなった。正確に言うと、閉じた状態で細く鋭く変化したヤドリギの矢に貫通されました。
さ、これでミミック三英傑(仮)が揃った!これで次の配信はミミックを出すことができる!ククク、すでに構想は出来上がっているのだよ。さぁ家に……の前にここまで来たんだからユグの木と触れ合っておくか。
この数日間、冒険者組合戸中山ダンジョン支部はジョージの卸した素材でウハウハだったそうな……




