【飯テロ】オーロラもロゼも止まらない【不可避】
「ほれ、急いで食べるなよー?」
「ぴぁー!」
流石に塊のままだと食いづらいと思い、ほぐしにほぐしたワイバーンチャーシューをロゼ用の皿に取り分けてあげるとロゼは嬉しそうな声を上げて顔を埋める勢いで食べ始める。気に入ってくれたようで何よりだ。
『動物の食事シーン本当に助かる。救われる命がある』
『モンスターやぞ』
『すごい勢いだけど、ご飯食べさせてるの?』
「人聞きの悪いことを……ちゃんと食べさせてるっての。一日三食おやつ付きだぞ?」
このロゼの食べっぷりを見ているとそういう考えが出てくるのも分からんでもないが、ちゃんと食べさせているつもりだ。さすがに俺やオーロラほど食べるわけじゃないが、おおよそ子猫や猛禽類の雛が摂れる食事量は優に超えているだろう。
ちなみにロゼのおやつとはそれこそ鳥用ボーロだったり猫用の舐めて食べられるペースト状のフードだったりする。
「じゃあこっちも次行こうか」
「ツギ!?ナニ食べるの!」
「ふっふっふっ、ズバリチャーシュー丼だ」
作り方はいたって簡単。ホカホカのご飯を用意します。チャーシューの漬けダレをご飯に濃くなりすぎない程度に回しかけます。厚すぎず薄すぎずカットしたチャーシューをご飯の上にのせる。さらにその上に卵黄を優しくのっけて、マヨネーズを細く線上にかけて刻みネギと刻みのりをパラパラっと振りかけてやれば――
「ホイ、完成」
「イタダキマス!」
『着丼してからのとりかかりが早い』
『早く食べたくなる気持ちはわかる』
ロゼに負けないほどの勢いでチャーシュー丼を掻き込む妖精女王様。いや、俺が作る丼ぶり料理はお上品に食べるものじゃない。オーロラの食べっぷりこそが正解なのだ。そこに女王とか関係ないのだ!
なんてことを考えながら俺も遅れを取り戻すかのようにチャーシュー丼を口にする。
「うンま……っ!」
さっきと同じチャーシューを食べているはずなのに、口にした瞬間そんな言葉が漏れ出てしまった。とろとろの卵黄がチャーシューと絡んでまた違った味わいを楽しませてくれる。おっと、これは卵黄だけの功績じゃないな。刻みネギや海苔もまたおいしさの一助を担っている。
『そりゃ美味いでしょうよ』
『多分それタレだけでもご飯1杯は固いよな』
そう、このチャーシュー丼の中で陰の主役ともいえるのが、ご飯に染み込ませたチャーシューのタレだ。いつも通りネットに公開されているレシピを参考にしたのだが、これが俺たちの舌に見事にマッチングした。
視聴者のコメントの通りタレだけでご飯は余裕でイケるし、なんならチャーシュー以外でも流用できそう。唐揚げとかよさそう。もっと言えば、タレをつまみに酒――はさすがに引かれるだろうし止めておこう。配信外でやろうね。
「ジョージ、おかわり!イッパイ!」
「いいけどあと1品あるぞ?」
「ジャア少な目で!」
『おかわりしない選択肢なくて草』
ぶっちゃけ約1年オーロラの食べっぷりを見てきた立場から言わせてもらうと、チャーシュー丼が大盛だとて次の料理も問題なく食べることはできると踏んでいるが念のためね。そして俺もお代わりだが、オーロラに倣って小盛にしておこうか。……気持ち多めに。あ、紅ショウガのせてもいいな。
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「はい、本日最後の料理でございます」
「ラーメン!」
『カップ麺なんだ』
「今回自家製はチャーシューだけで限界。棒ラーメンとかも作る気力ないしいいだろ」
やっぱりチャーシューといえばラーメンのトッピングだよなぁ!ということで、某有名ラーメン店監修の少しお高目なカップ麺。俺が醬油ラーメンでオーロラは豚骨ラーメンをチョイスだ。
待ち時間の約5分間は酒を飲みながら雑談をしていればすぐに終わる。開封後、蓋の上で温めていた液体スープを入れて――ここからオリジナルチャート、略してオリチャー発動です。厚切りチャーシュードーン!ネギドーン!大きめに切った海苔ドーン!煮卵――はないからゆで卵ドーン!
「ヘイお待ちぃ!」
「イタダキマス!」
まずは麵を啜る。うん、生麵タイプだからもちもちツルツルとして滑らかな触感がなんとも心地いい。スープもよくできており、醤油の味わいの中に鰹節の風味が利いているのもいい。
そして――主役だ。すまない、監修したラーメン屋さん。すまない、メーカーさん。俺は今日、チャーシューを自分で作ったチャーシューを味わいたいがためにカップ麺を食べます――!
「優勝――!」
「カッタね……!」
チャーシューにスープが染み染みしてさらに柔らかくなり、それが口に入ったらもう、ね。いかんいかん、ご飯に手が伸びてしまう。あぁ、オーロラの分もよそってしまう!悔しい、食べちゃう!
『ドカ食い気絶部ムーブやめろ』
『これで配信中寝落ちがほとんどないのがすげぇよ』
個人的にはカップ麺みたいなお安めなラーメンについている薄いチャーシューも好きなんだけど、ここまで厚いのはある意味ロマンだからな。あっ、ロゼが羨ましそうにこちらを見ている!ほら、食べな。
『チャーハンとかにはしないの?』
「チャーハンは思いついたけど配信中に作るにはちょっと時間かかるだろうし、明日の昼飯にでも作るさ。写真でもあげたろ」
「チャーハン!楽しみ!」
「ぴぁー!」
『ロゼちゃんチャーハンも食べるのか……』
そこはチャーシューやラーメン、漬け卵を食べているから今更だとは思うのだが。
さて、いよいよカップ麺もスープまでしっかり飲み干し、ビールも切りのいい最後の一口を煽って締めに入るのだが……ちょっとここで視聴者に相談事。
「ちょっと今度は少し変わったもん食べたいと思うんだけどさ、何かいいアイディアない?」
『またローパー食べるとか?』
『ドラゴンとか!』
「ローパー悪くないけど違うなぁ。ドラゴンは気軽に行くもんじゃないだろ……」
一瞬、ドラゴニアである須藤さんが脳内をよぎり、言葉尻に「多分」という言葉を付け加えそうなところを何とかこらえた。いや、実際気軽なのは須藤さんというより、須藤さんを行かせているヤマダだろうが。
『いっそのこと毒食材とか』
「ありっちゃありだが、素人がやっていいものじゃないだろ」
『ありなのか……』
『ミミックとかどう?』
「ほう?」




